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「スーパーボンバーマンRオンライン」は「ボンバーガール」のコンシューマー化への足がかりか

2021.5.27、クロスプラットフォームでボンバーマンの超多人数対戦ソフトとなる「スーパーボンバーマンRオンライン」が各種プラットフォームでリリースされました。
昨今レトロゲームの超多人数対戦によるリバイバルが枚挙に暇なく「テトリス」「マリオ」「パックマン」ときてのこれ。私もプレイしましたが、やはり楽しい。他のレトロゲームに比べてスキル的には適正があったのか、他のゲームでは成し遂げられなかった1位、ボンバーワンを取ることもできました。

さて、そんな「スーパーボンバーマンRオンライン」。16枚のマップにプレイヤーを押し込んでのわちゃわちゃ感。アイテムとキャラクターのスキルバランスはいずれも申し分なく楽しいのですが、一点だけ物申したいところもあったりします。
それが、「キャラ設定と挙動の古臭さ」。バタ臭さと言い換えてもいいでしょうか。キャラクターの台詞回しであったり、TIPSで見ることができるキャラクター設定の書き回しであったり、そういうものがちょっとこの年度に出すゲームにあっては違和感を感じるんですよね。
復活セリフやKOセリフで「不死鳥のように復活!」とか「そこをどきなさ〜〜い!」とか言われたときに、「ちょっと露骨に90年代コロコロコミック感を残しすぎてない!?」と思ってしまったし、アピールポーズのシグネチャームーヴその他、定型セリフでの「Noooooooo!!」や、ボンバー8兄弟の設定TIPSの言い回しの「狙った」感、いずれもちょっと悪い意味で唸ってしまいました。私のように共感性羞恥が発動してしまう人もいるかもしれない……!
もちろん、私は旧来からのボンバーマンガチ勢ではないことから、上記らが従前のソフトから使われてて、だいぶん前に収録されたセリフであり、その意味で古いままだとすれば仕方ありません。でも、あえて令和3年にリバイバルするのであれば、何十回も、何百回も聞くセリフなんだから手を抜いちゃいけなかったとは思うんですよね。
他メーカーで比較するのは申し訳ないんですが、任天堂の「ARMS」の初プレイ時の感情と同じなんです。あちらもゲーム性は新しく、光る可能性があったのに、プロモーションにバタ臭さがあって私は受け付けなかった。任天堂としても看板コンテンツとしては育成できなかった印象です。

あえて語弊を恐れず言うなら、ツイッターのプロモーションがとてもアメリカB級コメディっぽいんですよね!
正直これは、元々「OverWatch」路線なのかなと思わせてたキャラデザインを考えれば狙ってる気はします。
しかしそれでも、表現が気恥ずかしい気がしないでもないです。

また、ニンテンドーダイレクト 2017.5.18より、
11:42 リボンガール紹介「むしろ弄ばれたいっ!」
12:32 ミェンミェン紹介「この、きつーい目つきと足さばき! 性格もさぞやバリカタなことでしょう!」

キャラクターのフェミニン性を紹介するコメントがちょっとエッジが効きすぎてるんですよ……。
今回のダイレクト映像だけでなく、過去のティザー映像でも似たようなテンションであり、コブッシーは「こういう軽い奴」で通されているんですが、だからこそ、これには嫌悪感がある人は少なくないと思います。実際私はちょっとツラい。
オーバーでバタっぽいテンションと、嫌悪感のあるアダルト表現。中年のオッサンくさいんですよ!
スプラトゥーンがイカ研究員という設定で情報を出していった手法のノウハウがあったのだから、うまく利用できなかったかなと思わざるを得ません。コブッシーが前線でグイグイやっている姿は、スプラトゥーンでいえばブキチが最前線でブキオタクトークしてるようなものなんですよね! ちょっと重い!
ゲームは硬派で高クオリティなだけに、宣伝と噛み合っていない気がします。
私は買います! が、上手く面白さを紹介出来るかが疑問ですねえ。映像で、一発で魅力がわかったスプラトゥーンは本当に偉大だった……!
(2017.5.18他媒体で執筆した「ARMS「のびーるウデだめし」の感想&◯◯の◯◯◯◯臭い宣伝について」引用)

さすがに、ボンバーマンにセクハラはないんですが、細かい違和感の棘が散りばめられてるという意味で近しいところがある。
私個人としては定型セリフとして用意されている「いじめないで」とかは冗談でも入れちゃいけなかったと思うんですよね。なんで止まらなかったんだろう……?

一方、称賛できる点も多々。ゲームバランスを筆頭に、開始時演出(同じルームの4人を紹介)とか、メニューの配置・色彩センスは唸った。とてもテンションがあがる。キャラクターリデザインもミニマルに、めりはりがついててとてもかわいく仕上がっている。

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(桃鉄もそうだったんですが、昨今のコナミの平面的リデザインは非常に素晴らしくレトロコンテンツの昇華に貢献していると思います。)

そういう素晴らしい点も目立つゲームだからこそ高低差に耳がキーンとしてしまう。すごくもったいない。

だからこそ、思うのが、これ。

ボンバーガール、これとシナジーしてほしい。
エロのことばかり話題になりがちなゲームですが、ボンバーマンシステムとして見たときのゲームデザインやキャラデザイン、バランスが実は意外と申し分ない。2018年にリリースされたコナミ傘下ボンバーマンとしては先輩であり、積み上げられたノウハウもある。(スーパーボンバーマンRオンラインにおけるキャラクターごとのスキル性、戦術に応じたアイテム取得限度の調整等はボンバーガールのシステムを踏襲しています) 懸念しているレトロ臭さは全く感じない。唯一エロが濃すぎてSwitchの認可が通るかだけが難点か。

でも……だからこそ、ボンバーガールのグラフィカルデザイン感覚と、今回のオンラインRのゲームデザインのいいとこどりを望みたい。希望的観測ですが、今回のボンバーマンRオンラインは、ボンバーガールをコンシューマーに下ろすためのデータ収集、一の手ではないかと思ってやみません。
ボンバーガールがゲーセン限定のコンテンツであり、このコロナ禍において厳しい環境に置かれていることにあって、コンシューマーにスライドするための可能性を模索しているのではないか、そんな風に思います。もちろん、これはゲーセンでボンバーガールのようなエロっぽいコンテンツをやるのが気恥ずかしい中途半端なゲーマーの願望を良いように言い訳した観測である側面は否定しません!

少なくとも、多人数対戦として今回の「スーパーボンバーマンRオンライン」の試みは成功してると思います。ここで展開を終わらせることなく、次の一手を見せてほしいものです。


いずれいっぱい記事を書いた暁にでも、コーヒーでもおごってやってください……!