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「十三機兵防衛圏」が発売1周年を迎えたので、かつてのプレイ感想を再掲する

つい先日、プレイステーション4発売ソフト「十三機兵防衛圏」が発売一周年を迎え、発売メーカーである「アトラス」から一周年の記念放送がYou Tubeで公開されました。
このゲームは近年のゲームの中でも「口コミで広がった傑作」という評価が非常に高く、私もプレイしていました。その時の熱量を他媒体で公開していたのですが、せっかくなタイミングであるのでリブートで公開させていただきます。
重厚なアドベンチャーゲームであるので、楽しみきるのに相当の体力が必要ではあるのですが、その価値があることは確約いたします。そしてプレイ後に、公開された記念生放送を見れば感無量になれること請け合いだと思います。

このゲームとの出会い

はじまりは、この公式からの一報でした。

スマブラでおなじみのディレクターである桜井政博に大絶賛をされたゲームがある、と。
そりゃもちろんファミ通掲載コラムであることからマーケティングであるという側面もあるだろうし、真に受けずに構えるべきところはあるかもしれません。
しかし有象無象の業界人と違い、その発言の真贋が自身の今後の信用力にかかってくるである次元の知名度があるディレクターである桜井政博の絶賛とあっては、生半可ではないと思ったのです。

「特徴的なシナリオの見せ方」
「映画や小説のお話は基本的に”線”。サウンドノベルはそこに縦軸を加え平面的に」
「十三のシナリオは立体的。3Dになっているかのような構成」
「13人の主人公がいて複数の時代の彼らがいて最初は混乱し把握が大変だったがプレイし続けると組みあがっていき理解の楽しみ、その深さに驚く」
「時間軸も時代も人も絡めた多元的な構成はどうやって組み立てたのかとさえ思う」
「それでいて行動原理の描写に一貫性がある」
「多くの作品のオマージュが含まれているがそれを隠そうとしないのが潔い」
「舞台設定はとあるアニメの落ちと同じで描くだけでネタばれ」
「シミュレーションパートを分けたのも大正解」
「アーカイブ機能も必要最低限で最大の効果。よくできている・・・」
「こういった見せ方は無限の可能性がある。ただし普通は真似することすらできない。唯一無二」
「こういった作品が今まで世に出ることは無かったし続くものが出るとも思えない。遊ぶなら今しかないのでは!!」
(※「ゲームよりどりサブカルみどりパーク」の概略解説より引用)

ここまで語っている作品、無視するわけにはいかないじゃないですか!?
なら、体験してやろうじゃないか!と発売から2ヶ月が経った1月に購入し、1ヶ月かけてゆっくりと攻略、ついに全貌を読み遂げました。

即落ち2コマ

「そのとおりでした……(脱帽)」というエンディング後の脱力感と充実感。凄まじいレベルの縦軸をよく破綻なく紡ぎきったなあという感嘆。
やはり思うのが、13人の主人公の話が「横」に平行して進みつつもその思惑や背景、事件等が絡み合った影響で「縦」に事態が絡まりだし、結果的に『面』となって襲いかかってくるストーリーテリングがとにかく秀逸でした。
そして、ほとんどすべての事象が伏線として作用し、またミスリードによる予想の誘導がいくつも地雷として埋め込まれていることからそれに引っかかり正しい展開を眼前に展開されたときは「やられたなあ!」と幾度も膝を叩くこととなりました。
何も言ってもネタバレになるんですが、全ての展開を効果的に使うプロットの流れには、最近完結した一つの漫画が思い描かれましたね。なんの漫画か、すら言いませんがこのゲームに手を付けた人ならきっと手を付けてあるであろうあの作品です。

そして、伝えておきたい魅力はそのてんこ盛りさ。表向きはロボットもののアドベンチャーですが、ラブコメでもあり、メカニックな面も多くあるSF要素も高く、第二次世界大戦をテーマにした戦時モノでもある。
そしてそれら全てを取っ散らかして破綻させたということは断じてなく、きっちりかっちり「豪勢な幕の内弁当」に調理したわけです。
しかし、昨今流行りのきれいなCGの映画調な表現ではなく、丁寧に描かれたアニメ、もしくは紙芝居というべき作風であることから、生粋のヴァニラウェアファンである人以外にはなかなか手を付けづらく、実際私も1月に入るまでよく知らなかった。
だからこそツイッターによる世間の「バズリ」は非常に効果的だった。割とツイッターは「剥き出し」な媒体であることから、そこでベタ褒めされていることは私みたいなゲーマーには「いってやろう!」と後押しになったわけです。
さらに、そのベタ褒めツイートにおいてもネタバレに対する配慮が非常に高く「魅力は語ってあげるから是非プレイしてみてくれ!」という熱意を強く感じたんですよね。ネタバレへの配慮と愛され方は、かつてのダンガンロンパを彷彿とさせましたね。

最後に、PlayStation.Blogにおいて、軽やかに、しかし的確に記された紹介文をもって語るのを終わりたいと思います。

本作では13人の主人公の視点から、さまざまな手法をもって謎の究明に奔走することになる。それはあるときは安楽椅子探偵モノの推理小説であり、あるときは時間を何度も繰り返すタイムループモノの物語であり、さらにあるときは夢と現実が混濁するホラー・ミステリーでもある。ひと言でアドベンチャーといっても多彩な手法で物語は彩られており、プレイヤーは飽きを感じる暇もないだろう。
(PlayStation.Blog「『十三機兵防衛圏』は、なぜ人に勧めたくなるのか?──3つの魅力解説と初心者も安心のプチ攻略トピックス」より引用)

人のふんどしで魅力を語るのは恐縮ですが、これらセンテンスに一つでも興味がある人は手を付けてみてください。こんな重厚なシナリオ、久方ぶりに体験いたしました。



いずれいっぱい記事を書いた暁にでも、コーヒーでもおごってやってください……!