今だからこそ考える。本当に「ニューダンガンロンパV3」は非難されるオチだったのか
今回の記事においては、ゲーム「ニューダンガンロンパV3」及びダンガンロンパシリーズの致命的なネタバレをしていますので、プレイ中・プレイ予定の方はまだ読まないようにしてください。
また、文中で「某あ行の文字から始まる、9文字のゲーム及びそのコミカライズ作品」との関連性も組み込みます。関連性を匂わせるだけで察する可能性があるので、「某あ行の文字から始まる、9文字のゲーム及びそのコミカライズ作品」を楽しんでいる方も、ネタバレとなる可能性がありますのでご留意ください。
購入者の賛否両論 ダンロン世界は○○劇だったというオチ、黒幕が○○犯であるという白状
ダンガンロンパシリーズは、あの世界において出場者を募った「リアルゲーム」でありV3はその第53回である、という展開。ある意味全てをぶち壊したオチであり、この世界を「劇中劇」として終わらせたという「やらかし」。
そりゃもう大炎上ですよね。考察もなにもねえよ! ちゃぶ台返しにも程がある! ここまで引っ張って茶番かよ!
ええ、わかりますわかります。私もプレイ中なかば放心で展開を飲み込んでいました。展開の上澄みを飲めば、確かにこれは「茶番」です。でも、これをそう単純に飲み込んでいいのでしょうか……?
裁判中は徹頭徹尾、ダンガンロンパ世界がフィクションであることを刷り込もうとしてきた黒幕の白銀つむぎですが、いざ退場手前になって、「模倣犯としては、胸を張っていいはずだよね」という言い残しとともに退場していきました。
これがしっくりこなくて、考えていました。「模倣犯」ってことはやはり模倣する犯罪が過去にあったのでは。それこそ1・2の世界のような。
やっぱりなんだかんだこの世界においては「ある程度」ダンガンロンパ世界の「事件」は起きたのではないでしょうか。
すべてが事実ではないでしょう、でも、すべてが嘘でもないのでは
「ある程度」の意味。それは、すべてが本当だとは思えないという意味です。どれが本当なのかは情報が少なすぎて断言はできません。
「希望ヶ峰学園史上最悪の絶望的事件」という名前がないとしても、それに準ずる規模の学内デモがあったのかもしれない。
事件は実際に起きていないとしても、江ノ島盾子という極悪犯罪者はいるのかもしれない。別にそれはギャルの形をしていなくていいわけです。
その逆でもいいでしょう。実在するギャルカリスマ極悪犯罪者がいて、ゲーム化する上において「江ノ島盾子」というネーミングをしたのかもしれない。
それらの要素を継ぎ接ぎしてパッチをあてて、それこそ「コスプレ衣装」を作った結果、V3ができたという解釈もできるのではないでしょうか。
あの世界において、一般人に「設定を植え込んで」振る舞わせるにしても、あまりに不自然な才能が多いのも事実です。
入間の工作性能・アンジーの蝋人形作成技能・キーボのロボットとしての出来あたりが特に顕著です。思い込みだけであんな技能は発揮されないでしょう。「超高校級(ギフテッド)を集める施設なんて実際にはない」とくくるには疑念が残ります。
私の解釈としては、あの世界において過去のダンガンロンパシリーズにおける事件は「小規模ながら」あった。それをドラマチックに膨らませてゲーム化したのが、チームダンガンロンパの作成した1・2なのではないかと感じています。
それこそ、「信長の野望」とか「シヴィライゼーション」のような。実在する歴史があるうえで、味付けをしたゲームを作った結果、設定が盛々になったのではないでしょうか。
この解釈、どこかでみたような
結局、あえて開示していない情報が多すぎて「正解」はスパイク・チュンソフトの胸の内と言わざるをえません。
この、開示されてない情報があるから、結論は貴方次第という「シュレディンガーの猫箱」の考え方、過去にも他のノベルゲーでありました。
それが「うみねこのなく頃に」。V3プレイヤーの中には、言わずともプレイ中に関連性を見出した人が数多くいると思います。
「うみねこのなく頃に」は「避暑地(別荘地)である島が爆発して、訪れていた一族が全員爆死したという事実のみがあり、あらゆる解釈で何が起きたかを描写する」作品でした。
何があったかなんてわからないから、クローズドサークルミステリーのような推理小説じみた殺人があったかもしれないし、一族は実は魔法の使い手であり、島内で魔法を打ち合ったバトルライトノベルな展開があったかもしれない、はたまたただラブロマンスが展開されたかもしれない。どんな展開を提示されても、否定できませんね? 証拠ないですもんね? そのうえで、貴方は何を信じますか。という作品でした。
色々なところでV3のオチに対する考察は見るのですが、なかなか見応えがあるうえに、枝分かれしている印象です。叩かれているイメージが強いのは、この「ゲーム内説明」を素直に受け止めてちゃぶ台返しをされたと受け止めている人達からです。私はもちろんそれも「アリ」だと思いますし、スパイク・チュンソフトもそれは想定のうえだった思います。ある意味、手のひらの上。
次作を出すために乗り越えるべき「壁」はめちゃくちゃ「堅い」作品です
壁は高くはないんですよ。だって、これ「ゲーム」ですから。割となんでもアリにできます。
しかし、このシリーズを続けるのであれば、そこをもう一歩ひっくり返さなければいけない展開となりました。
「白銀つむぎの虚偽」を合理的に説明し、実在する事件人物を提示すること。あえて「4作目〜52作目」にあたる作品を出し、なおかつそれをゲームでしょと諦観させないようにすること。「ダンガンロンパシリーズは終わった」として、根っこを受け継ぐ新作を出すこと。
他にも色々手はあるでしょうが、ただ「4作目を出す」だけでは素直に受け止められないのも事実です。
私は、次は「V2」をあえて出すと思いますね。天海は引き継げるのですから、そこで何かトリックスターとしての役割を見てみたい。
個人的にはこのV3のクオリティは評価しています。展開はもとより、各チャプターに満ちている驚きには、膝を叩かれっぱなしでした。「叙述トリック」「捜索時殺人」には本当にもっていかれました……。
※この記事は他媒体で公開したものを、再編集し、リブート公開したものです。
いずれいっぱい記事を書いた暁にでも、コーヒーでもおごってやってください……!