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「ドラゴンクエストライバルズAce」が臨終するにあって、元ユーザーが思った理由

2021年4月2日、ゲーム業界にとってそこそこなビッグニュースが飛び込んできました。それが、デジタルトレーディングカードゲーム(以下、「DTCG」といいます。)「ドラゴンクエストライバルズAce」(以下、「Ace」といいます。)のサービス終了告知。なんだかんだハースストーン・シャドウバースとともに日本でファンが多いDTCGゲームと思っていただけに突然のニュースでした。
ツイッターのフォロワーも12万を超えていた(執筆日現在)ゲームであるだけに、正直終わる雰囲気が全く見えていませんでした。しかし、そう決められたからには採算が取れていなかったのでしょう。私自身は、ドラクエファンかつDTCGファンということもありリリース当初はプレイしていたのですが、第6弾パック「小さな希望のシンフォニー」あたりで引退していました。ユーザー側としてのプレイ感に思ったところは過去執筆しており、それらのストレッサーが長期的にはゲームを蝕んでいたのかなと思います。それらをリブートして引用・執筆しつつ、Aceが残念なサービス終了となった理由を考えてみたいと思います。
(引用記事が過去のプレイ感にのっとって執筆したものであることから、現時点でそれらのストレスが解決されていたとしたら申し訳ありません)

「演出」と「ユーザビリティ」が蝕んだ毒

ドラクエライバルズは良く言えば演出が「しっかりしている」んですが、数をこなすカードゲームとしては演出はくどいんですよね。
例えばモンスターやキャラクターが攻撃をする際にしっかりと剣をふりかざしたりアクションをしたりします。テンポよく進めたいことを考えれば、演出が多すぎる点は否めません。
ハースストーンにおいてはカードの「駒」がどん、と0.5秒程度動くだけで攻撃を表現(多分うまく伝わらないので下記動画を見てほしいです)することから、数を重ねる毎にそのテンポの差が身にしみてきます。
また、ライバルズにおいてはレジェンドカードにおいても登場時に5秒程度の演出があります。ターン毎の制限時間があることを考えれば、この差が大きく響きかねないのですから、せめてそこはON/OFFを選べるべきでは?と感じました。
また、ライバルズのデッキ構築画面はなぜこうなった!と憤慨すらするほど不便さを感じました。
一つの画面内で「現在構築しているデッキにおいて何を採用しているかをひと目で確認できない」という致命的なユーザビリティの悪さを抱えており、これは一から作り直さなければいけないレベルの構造だと思います。
デッキ全体を眺めることは可能ではあるものの「デッキ確認」のボタンを経由しなければならず、全体のバランスを注視しながら投入を試行錯誤できないという構造は、カードゲーマーのニーズを全く無視したものと言わざるをえません。
しかしこれはカードゲーマーとしてのノウハウがないと気づきにくい弱みであり、スクエニというこのジャンルにおいては経験値がない企業であったから、やむを得ないところだったのかもしれません。
ハースストーンのデッキ構築のつくりが全く文句ない出来だったことも、そこの不満に一役買っています。
一つの画面でたった10枚しかカードを表示していないからこそ、不足が出てしまうのですよね。デッキ構築画面においては、ビジュアルより文字を大事にしてほしいものです。
(2017.11.10に他媒体で執筆した「「DQライバルズ」「ハースト」二刀流が見る、独自性と快適さのジレンマ」より引用)

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(ライバルズ(上段)とハースストーン(下段)、視認性が違いすぎませんか!?)

課金意欲のくすぐり方が蝕んだ毒

ここまではプレイ的な観点。また、肝心の売上につながるところでも難色を示せざるをえなかった。

ドラクエライバルズ……非常にゲスい考え方になってしまうのですが、パックを購入せずとも、人並みのゲームプレイが十分できるのです。
これは、他のゲームがドラクエライバルズに比べて無料プレイヤーに対するボーナスを渋っているからではなく、もう少し込み入った理由があるから。
それが、「中立カード(どのデッキにも使えるカード)」に強力なカードが多いこと。中立カードに汎用性の高い強力カードが多いということは、ヒーローごとにクラフトするカードがそう多くなく、それは潜在的に購買意欲への意識が向かないことを指します。
かつては、遊戯王が「そう」でした。スタンダードとかグッドスタッフとか名付けられたデッキが画一的に環境を支配し、プレイヤーごとの差を出すのは、数枚の「想定外」の仕込み。その意味ではあまりパックを買わずともゲームについていけたのがかつての遊戯王であり、昨今のテーマデッキ偏重のそれとは別の趣があります。それがゲーム的に良いとか悪いとかそういうことを語るつもりはありませんが、少なくとも商売的には今のようにテーマ的に必要資源が散らばっていることが「正道」なのでしょう。(それでも全盛期の遊戯王が化物コンテンツだったのは、集英社の後押しがあった単純なるスケールメリットがあったから。このご時世で同様の売り方をしていた場合に通用するとは到底思えません)
また、これについてはシャドウバースも同様のジレンマを抱えている節があったとのことですが、一時よりはその支配は緩まっているとのことであり、そうなると、先駆者の反省点を反面教師にできなかったドラクエライバルズ、単純に痛手でしょう。

さらに、ドラクエライバルズにおいては、フレンド機能が実装されるのが非常に遅かった!(私が引退してから大分あとに実装された模様です)
リリース当初においては、ギルド機能、いわゆる「チーム」はあるのですが、ピンポイントに交流・メッセージを送る手段がないことから、例えば貴方が友人をゲームに誘いこんで切磋琢磨をすることはハードルが高かった。
できないことはありません。ルームマッチ機能という、鍵をかけたうえでパスワードを友人に教えて、それを入力してもらって入室したうえで勝負をできる仕組みはあるのですが、ルームに入るためのパスワードをメッセンジャーアプリとかで教えなければいけないという手間がかかります。
出来るからよい、ではなく、出来るべきことにこれだけ障壁がある時点で、それは限りなく出来ないに近いものなんです。アプリというプレイしやすいゲームであるからこそ、そこのハードルが高いことは非常に厳しい評価を下さざるをえません。
(2018.6.13に他媒体で執筆した「ドラゴンクエストライバルズが三番手に甘んじている理由」より引用。後半部フレンド機能については、執筆時はフレンド機能がなかったことについて執筆していたことから、現在のフレンド機能実装状況に文脈が合うように補筆訂正しています)

究極的には、全ての導線が以下の結論につながってしまった。

不満点は、どれもこれも「だからお金を使わない」につながります。
パックを買う必要があんまりない、から、お金を使わない、は言葉のまま。
準備の意欲を削ぐからデッキ創作の意欲を持ちづらくカードを欲しがらない、から、お金を使わない。
切磋琢磨をするフレンドを相手にしづらいからデッキ作成モチベがあがりにくい、から、お金を使わない。

事実、私はライバルズは無課金でした。一方、ハースストーンは今も楽しんでおり、パック購入もある程度リアルマネーによる投下をさせてもらっています。今であってもなお、色々とデッキを組みたくなる意欲をくすぐるゲームです。
きっとそれぞれは細かな差だったのでしょうが、その導線の差の積み重ねが臨界点に達してしまったのでしょうね。ライバルズ自体は所々称賛したいセンテンスもあったゲームでした。大会優勝者に対する「優勝者が指定した一枚のカードを別イラストとして実装し、ユーザーみんなに配ってくれる」という強者の承認欲をブチ上げさせる「伝説のカード」サービス、世界観をちゃんと汲み上げたカードの効果等。

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このゲーム性と完成度で覇権を取れないのなら、もうスクエニはこの分野で殴り込みをしてくることはないだろうと思えるほどの決断だろうと思います。
もちろん、DTCGというジャンルがもはや成熟していて、さらにここから全くの新ゲームが生まれるにはかなりハードルが高いわけですが、今後生まれるゲームにはこれらのユーザビリティをしっかりと咀嚼及び解決したゲームを生み出してほしいと願ってやみません。

いずれいっぱい記事を書いた暁にでも、コーヒーでもおごってやってください……!