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住吉市民病院ー欺かれる人々(6)

はじめに

 地域医療、周産期医療、小児2次救急を守ろうとする市民の切なる願いは打ち砕かれました。ハシシタ氏にとっては「ミクロの部分でそういう声が沸騰している」なんだそうです。

 地域を支えてきた総合病院。その診療科目は減らされ、残された周産期医療、小児2次救急、医療型短期入所(重度心身障害児短期入所事業)さえも廃止されてしましました。

 年間700件の分娩を扱い、大阪市立助産師学院も併設していましたが、ハシシタ市長によって閉鎖されてしまいました。

 現地での建替えを求める署名は7万を超えました。専門家の意見は無視し続け計画は二転三転しました。吉村市長が議会に費用の一部のみを提示するなど、議会、医師、住民を欺き騙し続けました。

 ハシシタ氏の当初の提案通りの名ばかりの統合が行われ、2020年住吉病院は閉鎖されました。吉村氏の提案した再編計画のうちの仮だったはずの住吉診療所が正式な住吉の周産期小児医療の施設とされ、跡地には、認知症の施設が出来ます。 

一連の経緯 新聞記事、市議のサイトより

■ 2013年3月27日 しんぶん赤旗 より抜粋
 2012年5月「府市統合本部」が「府市病院経営統合」計画を発表
 ステップ1」として打ち出されたのが住吉市民病院を廃止し、府立急性期・総合医療センター(住吉区)に統合する計画です。
  同病院で現在13ある診療科のうち、産科・小児科系以外は今年秋をめどに外来診療を停止、2015年度末で閉院するとしています。すでに3月で入院の受け入れ停止を通知。
 住之江区、西成区、住吉区を中心に地域医療を担ってきた同病院は1950年に開設され、施設の老朽化から、小児・周産期医療に特化して現地で建て替えることになっていました。
 小児2次救急の機能を持つ同病院の廃止は、患者受け入れを依頼している周辺の開業医にとっても困難をもたらします。
 二つの病院の現行分娩数と統合後の分娩数はほぼ現状維持とされていますが、小児・新生児科のベッド数は、現行105床(府立50、住吉市民55)に対し、統合案では79床。26床も減少します。
 橋下氏は2月、「小児・周産期医療の空白化に区民の不安が多数ある」と認め、「民間病院の誘致」を打ち出しました。しかし、橋下氏はその狙いを「単純に(病院廃止条例案を、反対の多い)議会で通すための条件」と自ら語っています。

 市病院局が「市民病院の役割は、採算性の面で民間医療機関では対応が困難な小児・周産期医療や救急医療など、地域に不足する医療を提供していくこと」と議会で答弁したことを指摘し「いまこそ公立病院の存続が必要」と主張。公立のままで現地存続を求める世論が、再び急速な広がりを見せています。
 統合先の府立急性期・総合医療センターでも、患者から「こちらの病院では今でも待たされる。統合されれば、さらにかかりにくくなるのでは」との声が上がっています。

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 突然の閉鎖の決定、維新の常套手段です。
 この時の住民の不安は結果的に現実のものとなりました。
   この時資料として提出された見積もり30億が総額でなかったことが後に発覚します。その金額が決め手になったのに、吉村市長は問題ないという立場をとりました。最終的に89億円となり、市民病院の建て替え案(57億)よりはるかに高額になっています。(20170920 産経新聞)
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■ 2016年5月18日 尾上市議のサイトより抜粋

再編計画

 尾上康雄大阪市議は18日、市議会民生保健委員会で質問に立ち、市立住吉市民病院の廃止に伴う病院再編計画を見直し、現地建て替えを吉村洋文市長に求めました。

  再編計画は住吉市民病院を廃止し、府市共同住吉母子医療センターと、市が市民病院跡地に誘致する南港病院に再編するものです。
 住民の理解が得られたとはとても思えないと指摘。「住吉市民病院がこれまで担ってきた機能を府市共同住吉母子医療センターと民間病院でどう分担していくのか明確でなく、地元医師会の理解も得られていない中で、南港病院と基本協定書を結ぶのは時期尚早だ」と批判しました

 尾上市議は、南港病院に産科を開院させるために、住吉区内の他の病院が産科を閉じて、辞めた産科医師が南港病院に行く事態となっていることを指摘し、「これでは南部医療圏で不足する小児・周産期の提供体制の構築にはならない」と強調。「民間病院には小児・周産期医療は担えない。住吉市民病院の医療機能を役割分担でごまかしてすすめたら、共倒れになる」述べ、「公立として、現地建て替えが合理的で理にかなったものだ」と主張しました。

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 再編計画では民間の病院の誘致となったそうですが、最初から非現実であることが指摘されています。
 これは、悪徳不動産がよく使う手段です。一等地の地主に言葉巧みにビルを建てさせテナントを誘致しない。結果オーナーはビルを手放します。
 結果的に民間病院の誘致は頓挫しています。地域住民が求めた事は何一つ実現されませんでした。補助金を削除する嫌がらせも。
 逆に住吉病院の医師が、南港病院に行く事態に。

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三度目の公募失敗 (792)

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■ 2017年5月21日付より 大阪民主新報 抜粋

2017 空白を (797)

◇ 市の責任で公的医療を

 大阪市立住吉市民病院(同市住之江区)の廃止が来年3月末に迫っています。大阪市は跡地に民間の南港病院を誘致し、府市共同住吉母子医療センター(仮称、同市住吉区)とともに住吉市民病院が担ってきた小児・周産期の医療機能を継承・拡充するとしてきましたが、来年4月の南港病院の開院がとん挫。このままでは医療機能の継承はおろか、重大な医療空白が生まれる危険があります。
 来年3月末で廃止される住吉市民病院。「医療空白」の危険が生まれています。

◇ 未受診の妊婦を受け入れて
 住吉市民病院が公立として果たしてきた医療機能の一つに、未受診妊婦の受け入れがあります。
 望まない妊娠、住む家がない、パートナーからのドメスティックバイオレンス(DV)など、「民間病院では受け入れてもらえない、さまざまな困難を抱えて未受診の妊婦さんを支えてきました」と語るのは、石黒和代さん(62)。助産師として住吉市民病院で19年間、十三市民病院で9年、再び住吉市民病院で2年間働き、2年前に退職しました。
 住吉市民病院に戻って驚いたのは、「大変な状況の妊婦さんがいかに多いか」ということでした。以前はなかった医療ソーシャルワーカーが配置され、看護師や助産師も含めて毎日時間を取って、個々の妊婦の状況に応じて支援方針などをチームで討議してきました。

◇ 医療は利益優先でできない
 「地域の保健センターと連携し、府立急性期総合医療センターと分担する形で、住宅の確保や経済的自立の支援など、妊婦さんの意思や選択も尊重しながら、安心して出産・育児ができる環境を保障してきたのです」と石黒さん

 住吉市民病院に併設の大阪市立助産師学院も橋下前市政の「市政改革プラン」で14年3月で廃止。石黒さんは言います。「命に関わる医療は利益優先ではできないし、赤字が避けられない分野は公立でしか担えない。住吉市民病院は、助産制度による分娩やレスパイト(小児在宅医療支援としての短期入所事業)の受け入れなど、地域の要望に誠意を持って応える実践をしてきました。大阪市はその機能を維持・発展させると約束したのです。民間ができないというなら、市の責任でやるべきです」

◇ 専門家の反対無視し民間病院誘致を推進-産科・小児科の実績がない
 大阪市が住吉市民病院の廃止後の跡地に南港病院の誘致を決めたのは15年10月。大阪市南部保健医療協議会や府医療審議会は、同病院には産科や小児科の実績がなく、医師確保の見通しがないことから反対。ところが松井一郎知事(日本維新の会代表)はこうした声に耳を貸さず、厚生労働省に南港病院誘致を前提にした「病院再編計画」を申請し、同省が同意しました。
 2016年4月、日影規制の影響による建築位置の変更で新病棟の開院を、2018年4月から20年4月へと2年延期。その間、南港病院が住吉市民病院の病棟を利用して暫定運用を行うことから、市は補助金・貸付金計約12億円の支援策を打ち出すとともに、現在の病棟改修費7千万円の予算を、ことし3月市議会に提案しました。
 これに対し議会からは「南港病院がいまだに全体計画を示していない」「小児科や産科の医師確保ができていない」などの批判が続出し、改修予算は削除されました。にもかかわらず吉村市長は南港病院の誘致に固執してきました。
 母親(38)=住之江区在住=は、「昨年、長男は胃腸炎などで2回入院し、次男は10回以上受診。いつ行っても小児科はいっぱいで、市民病院なしでは生活は成り立たない。」と怒ります。
 4歳の長男、3歳の次男、2歳の三男、0歳の長女を出産した別の母親(30)=同区在住=も、「市は子育てする人のことをもっと考えてほしい。公立でなければできないのではないか。」と話します。

◇ 民間病院誘致断念し公的医療機関設置を
 「医療空白をつくらないためには、南港病院を支援するしかない」と説明していた大阪市。しかし13年3月の大阪市議会で住吉市民病院の廃止が可決された当時の付帯決議では、住吉市民病院の機能存続と、住之江区・西成区はじめ大阪市南部医療圏の小児・周産期医療の充実へ、市が責任を持って民間病院の早期誘致を実現するよう求めています。

◇ 障害ある子どもも預かって
 住吉市民病院のかけがえのない機能では、未受診妊婦の受け入れ・支援以外にも、「重度心身障害児短期入所事業」があります。重い病気や障害がある子どもを預かり、家族の負担を軽減するもので、大阪市内では3病院でしか実施されておらず、現在でも受け入れ先は不足。府医師会は機関紙「大阪府医ニュース」(4月26日号)で、「現在、大阪市には新たな対応が求められているが、付帯決議が形骸化しつつある」と警告しています。

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 いかに重要な役割をはたしてきたか、地域の事を第一に考えるなら決して閉鎖などあり得ません。維新に地域医療を守るつもりがない事が、若い世帯を追い出しにかかってたことが伝わってきます。

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■ 2018年3月12日 朝日新聞より

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  「入院して出産できる病院を地域に残して」「民間病院を誘致する約束はどうなったのか」。住民ら約250人が出席し、病院再編計画を説明した市と府の幹部らに意見をぶつけた。
吉村市長は「晩婚化が進み、ハイリスク出産に対応できる病院が必要だ」と再編に理解を求めた。
 住吉市民病院は建て替え案が決まっていたが、府と市は2012年、約2キロ離れた府立急性期・総合医療センターの敷地に共同で母子医療センターを新設する方針を決めた。母体胎児集中治療管理室(MFICU)6床を備え、医療の高度化を図る。

 市議会は13年、住吉市民病院を廃止する議案を可決したが、「責任を持って跡地に民間病院を早期誘致する」と付帯決議をつけた。だが、市の民間病院公募は3回失敗。吉村市長は昨年11月、代わりに市立大医学部付属病院を誘致する方針を示したが、大学側との協議は終わっていない。跡地には4月以降、暫定的に市立診療所を開設するが、小児科と産婦人科の外来のみで入院はできない。

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 「市議会は、跡地への民間病院の誘致を条件に閉院を認めた」が守られることはなかった。「3回失敗」ではなく、そもそも民間病院など誘致する気などなかったのだ。「暫定」と言いつつ、それを押し付ける。住民の声を聞く気など一ミリもないのである。いつも通り。
 高度医療が必要な赤ちゃんは大学病院が受け入れてくれる。地域は日常の医療を必要としている。
 ハコものが大好きなのは維新だ。
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高度ハイリスク 視察(794)

■ 2018年5月22日付しんぶん赤旗

 日本共産党の尾上康雄大阪市議は18日の市議会民生保健委員会で、今年3月末で閉院した住吉市民病院の医療機能の継続について質疑しました。
 3月議会では、住吉市民病院跡地への暫定診療所の設置にあたり、
▽病院跡地への新病院整備を確実なものとする
▽新病院の開設を待つことなく病床を確保すること
▽診療所および府市共同住吉母子医療センターのアクセス改善策について府市で検討する

との付帯決議を可決しています。

 尾上議員は、新病院の誘致についてただしたのに、市は「検討会議で検討を進め、秋までには基本構想案の中間骨子をまとめ、今年度中には正案としたい」と答えました。
 診療所への病床確保について市が「検討する」と答えたのに、尾上議員は「検討するのは当たり前。6年間待たずにどれだけ早く病床をつくるかだ」と指摘しました。
 尾上議員は、住民の要望にこたえ直通バスの始発時間を早めることや増便を要望し、「市バスが民営化されたから、要望は伝えるが、あとは民間次第というのは無責任だ」と批判しました。
 また、相談窓口の設置など閉院にともない社会的・福祉的医療で困っている人たちをちゃんとケアする必要があると要望しました。

最後に

 維新の治政の足跡をたどると、いつも同じ言葉に行き当たります。
 「騙された」
 議会で否決されても、しつこく提出してきます。仕方なく付帯決議をつけて可決したら最後守ったことはありません。陳情書とともに反対の署名を届けても、聞き届けられる事はありませんでした。
 ハシシタ氏が退場し吉村氏になってからの方が、住民を欺く方法が巧妙になっています。さすがスラップ訴訟が得意な弁護士さん。どれだけの人を苦しめれば人の心を取り戻すのでしょうか?