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市立吹田サッカースタジアム -欺かれる人々(8)

 スタジアムの土地は大阪府が所有している。本来払われるべき年間3億円の賃借料の内の1/2が支払われることはない。それも47年間契約。おかしくはないだろうか?

 大阪府の知事に就任したハシシタ氏は、年間の運営費が1億円にも満たない施設を閉鎖してきた。残してほしいという何万、何十万の署名が市民の声が陳情書とともに提出されても一切無視してきた。

 2015年9月末、吹田市は完成した市立吹田サッカースタジアムの所有権を「スタジアム建設募金団体」より移譲をされた。

 「サッカー専用スタジアムとしてだけでなく、公共施設を寄附金などの民間資金で建設し完成後の指定管理を任せることで、公金を使わずに公共施設を建設・保有する公民連携の新しいモデルケースとして全国的に注目を浴びている。」
 と、いえば聞こえはいいが、肝心のグラウンドを吹田市民が使う事はできない。会議室などの施設はレンタルスペースとして有料で使用する事が可能だ有料だが、グラウンドは芝の都合で使えないのだそうだ。

  
 ガンバ大阪がホームスタジアムとして使用することを前提に建設されたが、吹田市が所有することで様々な優遇を受けている。

 確かに建設費、ランニングコスト、委託費などで行政の負担は発生していないが、同時に一般の民間企業であれば支払うべき、賃借料は3億円が1/2となり、吹田市への固定資産税も支払っていない。
 所有者が吹田市であることで、1/2の免除を受け、固定資産税も発生しない仕組みなのだ。
 入場収入は誰の収入になるのか?

 しかも、吹田市はガンバ大阪の親会社である株式会社ガンバ大阪を指定管理者として47年6カ月という長期指定管理者として契約をしている。委託料は全額ガンバ大阪に負担してもらっているので、こちらも行政の負担は発生していない。大阪府の土地も47年間契約していると言われている。
 47年は、どう考えても異状な長さではないか?契約は随時見直しをされるべきではないのか?

 建設費用は、ガンバ大阪が主体の任意団体である「スタジアム建設募金団体」が、140の寄附金を集めた。

 寄付を集める際も、企業は法人個人税で優遇を受けている。「国等に対する寄付金の確認」を利用したのだ。建設資金となる140億円の大半は法人からの寄附が占めている。そのうち約7割、建設資金の約5割をガンバ大阪のスポンサーであるパナソニックが出資しているが、パナソニックはその分の税制上の優遇を受けているのだ。
 助成金の全体額35億のうち85%は、国土交通省のTOTOによるもので、そのほかには環境省からのエコ対策への助成金などがあるが、TOTOくじのスポーツ振興くじ助成金は、行政が申請して行政を経由しないと受け取れないのである。

 ガンバ大阪を中心とした任意団体が寄付と補助金を集め建設しているので、建設資金の一部に行政に限定されている助成金を使っているのに入札などの制約がなかったのである。(これと同じ手法が、「こども本の森」の建設の時に使用された。環境アセスメントなど環境などを守るために設けられた必要な手順を誤魔化した。法律の隙を突いたやり方ではないだろうか?)

 設備まわりも。完成した市立吹田サッカースタジアムのVIPルームにはホームシアターの音響設備などがカタログとともに置かれており、パナソニック展示場のようだと視察に行った議員の報告書に書いてあった。行政のチェックが入っていないので、言葉は悪いがやりたい放題ではなかったのだろうか。
個室のVIPルームは1シーズン1000万円で販売されており、最大20人で利用できる。金額は1試合に換算すると1座席約2万円で、売り上げの約5割はスポンサーが購入しているが販売は伸び悩んではいるようだ。
 しかし、自社の展示場の空間に付加価値がついたような施設なのだ。
 サッカーの試合観戦だと言ってスポンサー企業たちが、顧客たちをサッカー場のVIP席という名の展示場に連れてくるのだ。

 また、ガンバ大阪側にしてみれば、通常プロのサッカー試合を開催すると、一試合ごとに400万から500万円を行政に納めていた。それが市立吹田サッカースタジアムの建設により無くなったのだ。


 地域が賑わえばいいではないかという意見もあるだろう。
 大阪府、大阪市でハシシタ氏は、数多くの事業、施設を破壊してきた。吹田にあった国際児童文学館を壊してしまったのだ。サッカー好きにとって、地元にあるグラウンドが聖地なら、本が好きな人にとっては、とても貴重な施設だったのだ。

 市民の声は一切無視するのに、企業にはとても親切にふるまう。

 ガンバ大阪のホームがエキスポに来ると聞いた時は、うれしかったのに、とても残念だ。