縦巻き横巻き理論とは? #1
◎はじめに
みなさんは身体のクセと聞いたときにどんなことをイメージしますか?
つい無意識のうちにしてしまう行動のことをクセと言うと思いますが、
利き手・利き足
猫背・反り腰など姿勢のクセ
寝方や座り方のクセ
向き癖
投げ方や蹴り方などフォームのクセetc...
色々あると思います。
ジッとしていて楽な体勢や姿勢は人によって異なりますし、運動のフォームも基本はあれど人それぞれ細かくは違う動きをしていて、人の動きはまさに千差万別です。
ではその「人それぞれ」の部分はどうやって決まるのでしょうか?
実はその疑問を解明するためのヒントになる人間の身体に対する考え方があります。
それは生まれたときから身体に刻み込まれている運動特性のパターンです。
そのパターンを発見し、まとめたものを縦巻き横巻き理論と言います。
◎縦巻き横巻き理論とは
身体の左右は質的に縦と横に分かれている
ということを表した考え方です。
質的にと言いましたが、身体には目のような、流れのようなものがあり、左と右で縦と横に分かれます。肌を撫でると違いがあるのですが、木製バットの木目のようなイメージが分かりやすいかもしれません。
また、縦巻き側は身体を縦に動かしやすく、横巻き側は横に動かしやすいという特徴があります。
例として、立位前屈をしてハムストリングスにストレッチをかけたときの筋肉の伸び具合は、通常縦巻き側は伸びやすく、横巻き側は伸びにくい傾向があります。
筋肉の発達具合、各関節運動にも左右で違いが出てきます。
分類としては、
①右縦巻き左横巻き
②左縦巻き右横巻き
となり、必ず左右一方は縦でもう一方は横です。
◎縦巻き横巻きは整体発祥の考え方
この理論は鹿児島県の徒手療法家、内司和彦先生が発見した整体における身体の見方であり、施術の方法でもあります。
これまでの徒手療法業界の慣例として身体の左右を同等に施術することが常識でしたが、
人間の身体の特性が縦と横に分かれているという前提を持って施術することで逆に身体のバランスが取れるということに気づき、提唱したのが縦巻き横巻き理論です。
身体の縦と横に合った方向で刺激を入れれば身体のバランスは整い、合わない方向へ刺激を入れればバランスは崩れるという特徴があるため、
施術ではその身体の縦と横の目に合うように「さする」「ゆらす」「振る」などの刺激を加えることで身体のバランスが整います。
まだ世に出てからは日が浅い理論なので、現在は整体など施術の領域でまだ限られた徒手療法家にしか用いられていないものですが、
基本的に身体を整えるということを前提に考えられた理論だということが重要なポイントです。
◎縦巻き横巻きは動作に影響している
また「ゆらす」「振る」など動きによって身体のバランスや動きが変わるということは、縦巻き横巻きは普段の動作にも影響します。
歩くときの腕の振り方や、足の運び方、座り方や寝方、話す際の顔の角度など日常の動きはもちろん、
スポーツだと投げる、蹴る、パンチする、スイングするなどの、身体を素早く動かす、大きな力を発揮する際には、本来的に人間含む動物は自分にとって心地良い動きをしたがりますから、無意識の動きは身体のクセが作用した動きになります。身体のクセに反しては良い動きはできません。
縦と横に合わせて動くとバランスが取れるのだからそれが身体にとっては楽だし心地良いということです。
縦と横の特性を人間の動きをかたちづくる要因として考えると非常に面白く、まだまだ発展途上ではありますが自分はこの理論をスポーツ、現在は特に野球に応用していこうと考え研究しています。
◎縦巻き横巻きのスポーツへの応用
スポーツの現場で使われている例はまだごく少数だと思われますが、アスリートやスポーツの指導者など身体に関わる分野の人は絶対に知っておいた方がいい理論だと思います。
この理論を知ることで人間の身体がどう動くかをより立体的に理解しやすくなります。選手は自分がどのタイプなのかが分かれば、自分にとって効率の良い動きがどういうものなのかが分かるようになり、監督・コーチは選手ひとりひとりの個性に合わせて最適な指導がしやすくなります。
まずは自分の身体のクセを知りましょう。
そして自分の得意な動きを投球・打撃フォームやトレーニングに取り入れて、不得意な動きは避けるようにしましょう。
そうすることで効率の良い動きを身につけ上達する近道になりますし、怪我をしにくい身体を作る手助けにもなります。とても面白い理論です。是非楽しみながら学んでみてください。
最後に縦巻き横巻きのセルフチェック法をひとつ掲載しておきます。
左右の違いがわかりにくいという方は座ってやってみるなど体勢を変えてチャレンジしてみてください。
次回からは有料にする予定ですが、縦巻き横巻きについてもう少し具体的に踏み込んで書きたいと思います。
お読みいただきありがとうございました!
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