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俺のKINTAMAが腫れた


ビジネスマンの朝は早いーー。

朝食をとり、身支度を手早く済ませ、出勤しなければならない。

アラームが鳴る。

布団を跳ね除け、飛び起きるのが僕のルーティーンだ。勢いつくんですよね。

さぁ、今日もプロビジネスマンとして、始動しますか…

布団を跳ね除けた途端、下腹部に激痛が走った。

 
「ゲッガァァァッ!!!」

…現代のビジネスマンらしからぬ、野生の獣じみた声を朝から出してしまった。

なんだ?僕の体にナニが起きている!?

しかし、ビジネスマンたるもの、これしきのことで動じてはいけない。
 
慎重に布団から抜け出し、細心の注意を払いながら、冷静に己が体の異変を確認する。

これは……

もしかしなくても……



KINTAMAが腫れている!?!?!?!?!?!?!?!?


正確には左のKINTAMAが腫れている。

途端に血の気が引く。

左のKINTAMAが腫れるってなんか良く無いって聞いたことあるな…

怖…死…

怖すぎるうううう!!!!!!!!!

どっどっど、どうしようどうしようどうしよう

あばっあばばっあばっあっ痛!!!


 
…痛みで多少落ち着いたので上司に連絡する。

社会人はやっぱり報連相ができてなんぼですよ。

「すみません、ちょっと体調悪くてお休みをいただきたいんですが…」

「昨日は元気だったじゃない?どうしたの」

「あ〜いや〜その〜…睾丸が腫れてめっちゃ痛いんですよね…」

「え?睾丸…金玉か!!大丈夫かぁ~?遊ぶのもほどほどにしとけよぉ〜」

にやにやとした声が聞こえてきた。

ナニをだ!?ボケ!!!こっちは痛えんだよ!!!!!!!クソ!!!!!!!!!!!



こうして有給をもぎ取り、痛む股間を抱えて病院に駆け込む。

泌尿器科に行くのも初めてだし、病状を説明するのもなんだか恥ずかしい。

なんたって部位が部位ですからね。

「あの~睾丸が腫れまして…」
「分かりました~こちらの問診票を書いてお待ちください」

…プロは流石だ。クスリとも笑わない。一日にこういう患者ばかり来ているから当たり前か。
でも、この仕事に真摯な姿勢はビジネスマンとして見習うべきところがあるな…

 
少しの間があり、診察室に通される。
威厳あふれる男性が椅子に腰かけていた。横に看護師の女性が控えている。

「左の睾丸が腫れてるんだって?じゃあちょっと診察しますのでズボンとパンツを脱いでこちらに横になってください

恥ずかしさはあるが、先生に言われるがまま丸出しになり、ベッドに横たわる僕。
男の丸出しを見ても誰も動じない。素晴らしい。これがプロフェッショナルか…  先生、アンタに命預けさしてもらいます…

「エコーで見ますので、ジェルを塗ります」

じぇ、じぇ、じぇ、ジェル!?KINTAMAに!?

突然だが僕は「冷たい」という感触が大の苦手だ。

サウナ後の水風呂にも入れないし、プール前のシャワーでも声をあげてしまう。
湿布も貼るにも相応の覚悟がいる。

「ちょっと冷たいけど我慢してね~」

むんずと僕のKINTAMAをつかみ、ジェルを塗りたくる先生。

 

「あひゃっ…♡」


気張っていたものの、ジェルの冷たさと、そのゴツい手からは想像できないソフトタッチに、思わず声が漏れてしまった。

静かな診察室に響く成人男性の嬌声。

でも大丈夫、この場にいるのはプロフェッショナル達だ。
これは医療行為、絶対に僕を笑いやしないー-

「ンフフ」

看護師の方が笑いを堪えきれていなかった。先生も再度「我慢してね」と半笑いで言った。

おどれら、プロフェッショナルじゃないんか、畜生!!!!!!!!!

 
でも仕方ない。確かにあの声は艶めかしすぎた。笑えばいいと思うよ。

KINTAMAも突然あんなことされたら敏感になっちゃうよね~

結果、姿勢の悪さやストレス、血行などでリンパが腫れ、それがなんやかんやで炎症を起こし、KINTAMAが腫れているとのことだった。
薬ももらったが、基本的には日にち薬で治るらしい。最悪。

でも重大な病気じゃなくてよかったな…この程度で済んだことに今は感謝しよう…

健康って大事だな!!


これが2年くらい前の話だ。

この炎症は再発もしやすいらしく、現在も年2~3回程度の頻度で僕を襲う。
なんなら、今も少しその兆候がある。

そのたびに僕は「ゲッガァァァッ!!!」と叫び、検査のため泌尿器科へと駆けていく。

ジェルを塗られることには、いまだ慣れない。

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