送れない、送るはずの無かった手紙

ほんとは秩父にいるはずの日
私は代官山にいて
昼下がりの白々とした下弦の月を
右の肩越しから眺めています

ほんとは秩父にいくはずの日
私は代官山にいて
蔦屋書店の物販コーナーにて
ドライブに行く時のライフスタイル提案を受けています

雲が見当たらない代わりに
満ち欠けする白がアクセントになった
水彩画のような空
いつもの、がなきゃないなりの
個性的な、瞬間的な美しさが溢れて

そこに時折、ゆっくりとフレームインする
秋の陽気を写し取ったかの様な銀杏の黄金色混在するのは、染まり切らない若草色
アスファルトの隅に無造作に落ちた
それはまた刹那的な綺麗さで
それはまた私たちのようでした

なんとまあ、眩しいのだろう世界は
この世界の美しさを摘み取って
大切にそうっと押し花に、
それをまた栞に
私は新しい章へと続く、ページを巡りました

埋もれて、埋もれてしまうまえに
自分にとっての正解を
いまからの最適解を…
ペンを取り書き出そうとしてもまだ、筆は進まないのです

しみじみと、一人寝の淋しさを
ぎゅっと抱きしめて
大切に胸に刻み込んで
生きてゆきます

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