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ギアファンde日常。「エミルとフォーと菜の花畑」

日常にギアファンキャラを降ろす遊び。

エミルとフォーと菜の花畑

「わぁ…!」
見渡すと、辺りは一面の菜の花の黄色。

街でのおつかいが終わり、あたしとフォーはギルドに帰る途中だった。

空は青空。風もそよそよと穏やかに吹いている。
心地よい陽気の中、あたしたちはちょっと回り道をして帰ることにした。
父さんたちみたいに、フォーに何か言われるかな?と思ったけど、フォーはいつもと変わらない平坦な口調で「了解」とだけ返す。

そうしていつもは通らない道を歩いていたら、この光景に出会ったのだ。

「すごい!フォー見て、すごいよ!菜の花!」
こんなにたくさんの菜の花が咲いてる場所があったなんて!
あの街は何度も行ったことがあるのに、全然知らなかった。

興奮しているあたしの横で、フォーは無言でじっと菜の花を見ている。
やがて、フォーの顔がこちらを向く。
「解析完了。この植物はセイヨウアブラナと断定。セイヨウアブラナは、アブラナ科アブラナ属の二年生植物。食用油の原料として、世界中で広く栽培され…」

うーん、情緒がない。
あたしは拍子抜けしてしまった。
「フォー、そういうのいいから…もっとこう、ないの?」
「ない、とは?説明を求める」
無機質な声で返される。
そりゃそうかぁ。フォーはヒューマンじゃなくて、ギアだもんね。

「もっとこう、綺麗だなーとか、こんなにたくさん咲いててすごい!とか。あとは…」
そう言いながら、フォーの顔を見つめる。

こちらを見つめ返す、ふたつの黄色い瞳。

「…フォーの色」
ぽつり、と言葉がこぼれ落ちる。

やだ、あたし、なんか恥ずかしいこと言っちゃったかも。
なんだか照れくさくなって、えへへ、と笑う。

「…他大陸の料理、『フォー』の麺は米でできているとデータベースにある。白いはずだが?」

斜め上の回答を返され、今度こそぽかんとしてしまう。
フォー、あんた…いくらギアだからって。
そういうの、モテないわよ?

「…ま、いっかぁ」
あんたはあたしの相棒なんだから、別にモテる必要ないもんね。
そう、心の中でひとり納得する。

辺りは、一面の菜の花の黄色。
その黄色の中、あたしはフォーの手を引く。

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