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「彗星書架」おさななじみ感想

BL俳句を詠む「彗星書架」の第2号ネプリを読みました。感想を書かせていただきます。


さう言へば見たことなくて裸足かな
みやさと


顔はよく見ますよね。
手も好きな人なら見るかもしれません。
でも素足ってちょっと仲がいいくらいじゃ、なかなか見ない。それにサンダル履いたり、ペディキュアを塗ってお洒落を楽しむことが多い女性より、男性だと余計裸足を見る機会が少ないのかも。
見たことがないんじゃなくて、意識して見たことがないってこともあるのかもしれないし。
体の一番下の裸足にまで目が行くようになるって、本当に好きってことなのかもしれません。

氷菓ふたつ卓に溶けゆく子供部屋
松本てふこ


急がないと溶けてしまうのに、それより夢中になることが二人にはある。「子供部屋」という言葉を出すことによって、禁断感が強くなります。

祈るゆび解くよ泳ぎにでも行こうよ
星野いのり


指を伸ばさなければ、泳ぐことはできません。
固く結ぶ指をほどかせる、呼びかけ方、目線の反らせ方が好きです。

紫陽花やひねつて逃げる指相撲
西川火尖


逃げ場のすごく少ないゲーム。
その中で精一杯逃げたり、指一本で捉えたり、また逃げ出したり、その距離感に「おさななじみ」感があるような気がします。

もどれなくなるあさがほのちぎりかた
佐々木紺


「おさななじみとは、それ以外の関係性よりもずっと、恋愛によって失うものが多い関係性だと思っています」という紺さんの言葉が響く句です。
「あさがほ」なので、前の句から一晩明けた様子と読みました。少し冷静になって、自分達の関係を見ているような、後悔と覚悟を感じました。

蛍狩たくさん呼吸して告げる
楠本奇蹄


ドキドキと蛍の煌めきが重なる、素敵な句です。
緊張を「たくさん呼吸」という言葉で表したのがいいです。

夏痩せを神に代わって抱き締める
相田えぬ


いたわりの気持ちを「神に代わって」という言葉で表したところに、大きな愛情を感じました。
自分の中の力を相手に与えて、相手を癒してあげたいと願うような抱き締め方がとても印象に残ります。

「眼鏡」「袖」「えりあし」「骨」、第1号のテーマ「先生」でも体や衣服の部位が多くでてきたBL俳句ですが、第2号「おさななじみ」では「手」や「指」「抱」など手に関わる言葉が多く、その他にも「裸足」や「唇」など、より肌に近い言葉が多いですね。その距離感がおさななじみ、なのかもしれません。

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