スタイルは早めに決めるべきなのか
前回のnoteがあまりにも長く、意味不明なものと思われても仕方のない駄文だったので、フリースタイルフットボールの話に落とし込んで話そうと思う。でも、今回書くnoteの元になっているので、暇で暇で仕方ない人はぜひ。
タイトルの問いだが、まず結論から言うと
全部はできないのだから、腹括って自分が選んだ道を全力で進むのが良い
ということ。
早めにスタイルを決めた方が良いのか、満遍なくいろんな技をマスターすることをまずは考えるべきなのか。
答えは人による。
早い段階でスタイルを決めて上手くなった人もいるし、あとからスタイルが決まった人もいる。日本のフリースタイラーで例を挙げるとすると、前者で言えばIbuki、後者で言えばHiro-kさん。
Ibukiは割と早い段階でクリッパーを主軸にしたスタイルが出来上がっていて、初めて出場した大会で既に「クリッパーの上手い子」みたいな認識をされていたと思う。おそらくアッパーとシッティングの練習量はだいぶ少なかったのではなかろうか(ちゃんとやっていたらごめん)。一方でHiro-kさんは、基本的にはエアムーブが得意でありながら、どのジャンルの技もこなせるオールラウンダー。2014年あたりまでそんな感じで、その中でも時折オリジナルの技を挟んでいた。2015年からは細かいタッチと音ハメが顕著にヤバくなってきたという印象で、今のスタイルに至る。
どっちが正解のルートですか?と聞かれて、どちらか一つに答えを絞ることはできないだろう。
でも、どっちかを選ばなければならない。なぜなら時間は有限だから。自分はブロックのスペシャリストになるんだ!と決めればIbukiの歩んできたような道を進めば良いし、他のジャンルが疎かになるのは避けたいと思うならHiro-kさんの歩んできたような道を進めば良い。
どっちも選ぶという選択肢も無くはないが、それを叶える方法は、寝ずに取り組むか圧倒的時間効率を図るかのどちらか。
日中の練習はオールラウンドにやって、深夜練や朝練は自分の目指すスタイルに特化する。起きてる時間を増やせば練習時間を増やせる。これまでより多くの時間で練習できるようになるから、これまではできなかった「どっちも選ぶ」という選択ができるようになる。これが寝ずに取り組む方法。
もしくは、今まで通りの練習時間の中でオールラウンドもやるしスタイル特化の練習もする。その場合、これまでの練習の密度が下がるから、もっと効率よくマスターするにはどうするべきかをめちゃくちゃ考える必要がある。これが圧倒的時間効率を図る方法。
でも、普通の人は8時間程度の睡眠が必要だし、圧倒的時間効率を図るには相当な量の知識と的確に実行へと移す能力が求められる。端的に言えば、脳筋になるか超エリートになるか。大抵の場合はその両方とも困難だ。
だから、腹括って自分が選んだ道を全力で進むのが良い。
ここからは少し主題とはズレるが、スクールやレッスンの意義について話したい。
前段で述べたように、我々は限られた時間の中で生きているから、何かを選んだり選ばなかったりして自分の進む道を決めなければならない。とはいえ、進む道が険しく前途多難かというと、そうではない。自分が決めた道を進むための情報はYouTubeとかInstagramにいくらでもある。技のやり方はエアテクもボールビートもアルティもブライアンさんもTRICkSTAR5のYOさんもマタギニキもアップロードしている。昔は基本的な技しか無かったけど、今は3dexの技の解説まである。
ありがたいことに、大会で成績を残しているわけでもない私にアドバイスを求めてくれる後輩たちがいる。もちろん苦手なジャンルはあるし、知識が不足している部分も多々ある。エアーはA2までしかやってないし、15年の歴があるのに未だにコメカミにボールを乗せることもできない。ただ、YouTube(私の場合は特にYOさん)から得た情報、JAMで得た情報、自主練の中で自ら見つけたコツなどを統合することで「これを意識するのが大事」「こういう練習が効果的」というように、技やスタイルの理解は深まっている。エアムーバーの人たちには敵わないが、3dexで求められる能力や意識、練習方法もなんとなく分かる(分かっていてもできないから、実際に3dexをやる人たちは本当に凄いと思わされる)。シッティングは得意なのでかなり自信を持ってアドバイスをしており、実際上手くなっている後輩たちの姿を見ている。本当に嬉しい。
したがって個人的には、スクールやレッスンに通う前に、まずはYouTubeを観まくって、そこで言われた通りのことをとにかく続けて、自分なりのコツも見つけるぐらいに蹴りまくるのが良いと思う。これは何も私だからこそできるということではない。みなさんも知っているように、私は大して上手いフリースタイラーではない。そんな私でも技の理解やスタイルに対する考え方を深められるのだ。私よりも何倍も何十倍も上手いみなさんにできないわけがない。まずは1人の時間でじっくり技と向き合う。
それでも尚、分からないことがあれば、まずはJAMに行って周りの人からアドバイスを聞いて、それを自分の練習に還元する。それでも尚、できないのであれば、そこで初めてスクールやレッスンを受講するのが良い。
果たしてスクールやレッスンで教わることが本当にYouTubeやJAMでは得られないことなのかどうかを考える必要があるということだ。なんせ無料ではないのだから。
ちなみに、自分がフリースタイルフットボールを始めた頃(15年くらい前?)はスクールやレッスンは一般的ではなかった。そもそもそういうものを選ぶという発想すら無かったと言っていい。基本的にはYouTubeかJAMで情報収集して、自主練に持ち帰って自己研鑽。おそらく、自分と同世代のIbuki、Shohei、SYUN-YAも同じような境遇だったと思う。スクールが無くてもJFFCのTOP4に入る人たちがいることを考えると、スクールやレッスンが上達の必要条件であるとは言えない。
もちろん「すぐ上手くなれる道を提示してくれるのだから、それを活用しない手はない。だからスクールやレッスンは出来るだけ早く受けるべき。」と考える人もいるだろう。それならそれで構わない。あくまで先に述べたのは自論に過ぎない。
ただ、既に十分なほどの量の情報がYouTubeに溢れかえっているし、人から受け取るよりも先に自分からそういう情報に喰らいついていく人がいるのも事実。そういう人は、そこで得た情報を実践に移し、動画で確認するなりして自分を客観視し、自分の中でフィードバックを繰り返す。誰かに頼るでもなく、どこかに所属するでもなく、自己成長ができるのだろう。先に列挙したフリースタイラーはおそらくそうしてきたんだと思う。
なんにせよ「この技もあの技もやりたい。このスタイルもあのスタイルもやりたい。でも、こういうことも抑えておきたい」というようにあらゆる選択肢を同時に叶えることは容易にできることではない。その葛藤の中で二者択一をする。スタイルを早めに決めるのか、まずは満遍なくいろんな技をやるのか、どっちも叶えるべく頑張るのか、スクールやレッスンを受けるのか受けないのか。腹括って自分が選んだ道を正解にするべく、全力で進むのが良い。というか、それしかない。
p.s.
スクールやレッスンを否定するような文面に見えるかもしれませんが、決してそうではありません。ちゃんと価値のあるものであれば受講すれば良いと思います。あくまで、それらを受講するにあたって、その価値を最大限享受できるかが問題なのです。自分に対してのフィードバックもちゃんとできていないのに他人に頼ってしまっては、得られる価値も半減してしまいますから。その意味で、スクールやレッスンを開いているフリースタイラーは、ぜひ料金相応の内容や価値を提供していただきたいのです。つまり「YouTubeやJAMで収集した情報を自主練に持ち帰って自己研鑽する」というサイクルだけでは得られない価値です。例えば、門外不出のコツとか、1人では到底思い付かない練習の管理方法とか、他の誰よりも的確に改善点を見抜ける洞察力とか。
あと、個人的には、最初のうちはスタイルにこだわらず満遍なく色んな技をやる方が良いと思います。アッパーもシッティングもエアーもブロックも。今は思いつかない技や、これから流行るスタイル、これまでにないジャッジ基準など色々出てくると思います。その時に「もっとアッパーをやっておけば…」とか思ってしまうのは非常に勿体無いです。必要を感じた時に練習すればいいから今はやらない、という人もいると思いますが、その人はそうすれば良いと思います。あくまで個人的な考えです。実際、最初からスタイルを決めて練習すればIbukiのようになれるかもしれませんから。どの道を進むかはあなた次第ですし、それを自由に選べるからフリースタイルフットボールは面白いと思うのです。
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