内部監査部門に配属されたら
内部監査部門って、多くの人にとってはあまり馴染みもないし、積極的に配属を希望する部署でもないと思います。今ではこんなnoteを書いている私も、昔、監査法人からの転職を検討していた時には、内部監査部門なんて想定もしていませんでした。しかし、ひょんなことから外資系企業の内部監査部門に入社し、気づけば日系外資系取り混ぜて4社の内部監査部門で働くという経験をすることになりました。
先日X(旧Twitter)で、内部監査部門に配属された若い方が、なぜ自分がとか、いったい何をやったらよいのだろうと戸惑われているのを見かけました。また、十分な業務経験をお持ちの方でも、例えば営業とか財務経理から内部監査部門に異動になり、どうやっていくのが良いのか戸惑われる方も珍しくありません。
このnoteでは、そんな、内部監査部門に配属されて戸惑い、驚かれている方への、何をしていけばよいのかのヒントになればと思います。後半では具体的にどういった領域を見ていけば、良い監査をしやすくなるかについても触れています。
なお、内部監査部門のリーダーとして異動された方が何をしたら良いのか、については別途考察したいと考えておりますが、本稿も監査未経験でリーダーとして異動してきた方にもお役に立つ内容となっています。また、新たに内部監査の仕事をしてみたいと思う方、公認会計士で内部監査支援の仕事をしている方、監査役を務めている方などにも読んでいただきたいです。
はじめに理解しておくこと
内部監査部門(会社によって、監査室、監査部、内部監査部など呼称は様々ですが、ここでは「内部監査部門」という用語で統一します)といっても、実はその「監査」が指す範囲は大変広く、会社によってもまちまちです。したがって、まずは自分の会社の内部監査部門が一体どんな監査を実施しているのか、監査以外に担当している業務があるのかを把握しましょう。私のこれまでの経験では、内部監査部門が担当している業務としては下記のようなものがありました。
親会社各部門や子会社に対する内部監査(一般的に内部監査と呼ばれているもの)
内部監査のうち、特にITの分野に特化した監査
J-SOX監査
ISO認証を取るための監査
グループ会社の監査役監査を内部監査部門が実施
監査役監査のサポート
会社によっては、こうした監査の種類によってチームが最初から分かれている場合もあれば、監査の都度、メンバーがアサインされてどの監査にも誰もが取り組むという運用の場合もあります。内部監査部門への配属が決まったら、まず、部門で担当している業務が一体どのようなものなのかをきちんと把握しましょう。本noteでは以下、「親会社各部門や子会社に対する内部監査(一般的に内部監査と呼ばれているもの)」が中心業務となる場合を想定して、何をやっていけば良いのかを述べます。それ以外の領域がメインとなっている場合には、作業を行うためのチェックリストなどが用意されている場合も多いと思うので、まずはそれらに目を通し、部署の上司や以前からいるメンバーに確認を取りながら業務を学んでいくのが基本となります。
内部監査を始める前にやっておきたいこと(部員編)
畑違いの部署から内部監査部門に異動になったり、監査法人などから事業会社の内部監査部門に転職してきた方を想定しています。職位としては、一般社員~部下なしマネジャーくらいでしょうか。
会社の組織構造と規程を理解する
まず、グループ含めた会社全体の組織の構造を理解しましょう。基本的に監査は部署や子会社などの単位ごとに実施することが多いので、まずは各組織や子会社が何をやっているのかをおおまかに理解しないと、これまでにやってきた監査の記録や、これからやろうとしている監査対象がどういった位置づけなのかが理解できません。
次に、会社に存在する様々なルールのうち、実際に業務を行う上で基本となる規程類にどのようなものがあるのか把握したいところです。各規程とそれを所管している部署がどこかまで分かるととても良いでしょう。各規程の適用範囲も確認するようにしましょう。親会社のみを対象としているもの、日本国内のみのもの、海外含めたグループ全体を対象とするものなど様々で、「規程に違反しています!」と意気込んで監査で指摘をしたら、「その規程は当部署は対象外です」などということを避けるために重要です。
これまでにやってきた内部監査を理解する
内部監査という仕事の難しいところの一つは、目的や手法が会社によってまちまちというところにあると思います。一応、内部監査人協会(The Institute of Internal Auditors, Inc. 以下、IIA)という国際団体があり、「内部監査の専門職的実施の国際基準」(以下、内部監査基準)を始めとする様々なガイドラインを出していますが、強制力があるものではないですし、そもそも内部監査部門のメンバーでもIIAや内部監査基準の存在も知らない方も珍しくないです。
そんなわけで、各社まちまちの監査をやっているとしか言えないのですが、まずは自社の「内部監査規程」と過去の監査の実施の記録及び監査の報告書を3年分くらい読んでみましょう。個別の監査の報告書をきちんと作成できるようになることが、通常あなたに期待されている仕事なので、それがどの程度の水準のものかを理解するためです。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?