つまらない国民性

◯ここがじいちゃんの母国シヨモナ共和国か。初めて来るのになんでだろう。懐かしい感じがするな。あの、すみません！

●はいはいはーい！！

◯僕日本という国から来たんですけど村はどうやって行けばいいか教えてもらえませんか？

●村はここに来るバスに乗リまくってくーださーい！15分で着きますまーす！すらすーら！

◯…ありがとうございます。

●いえいえいーえ！しかしシヨモナ語上手でーすねーねーちょんちょん！！

◯…おじいちゃんから教わったんです。おじいちゃんがもともとここの国の人で。

●そうなんですかーかーーはいやー！

◯…おじいちゃんがどんな国で生まれてどうやって育ったのか知りたくてやってきたんです。でもなんとなくわかってきました。

●え！？もうわかったの！早すぎるんるんるん！

◯おじいちゃんの母国の人は…みんなクソすべっています。

●え！？なにそれ！それそれそーれ！

◯それだよ。おじいちゃん昔からあなたみたいに面白くないのにひょうきんさだけで乗り切るようなタイプの人間で毎日クソすべってたんです。別に悪意はないんですよ。ただ毎日一緒にいると胸焼けするというか本当殺意が湧いてくるんです。そこで僕は考えたんです。生まれに秘密があると。思い切っておじいちゃんの母国であるシヨモナ共和国にきたら案の定みんなクソすべっているじゃないですか。店で水買おうとしたら店員にお湯渡されるし、メシ食おうとしたら隣の席の人が変顔してくるし、トイレ入っていたらいい歳したおじさんが上からのぞいてくるし。クソ寒いんだよ！ここの国のやつら全員！あるんだな！つまんないという国民性って！

●いや、でもスウェーデンとかそれこそ日本の人達は無口でほとんどジョークを言わないらしいじゃないか！そっちの方がつまんないだろ！

◯無口に害はねえんだよ！無口はボケてねえからすべってもねえんだよ！てめーらのは人に迷惑かけてんだよ！お前らだけでやる分にはいいんだよ。他国の人間に迷惑かけんな！クソが！

●すみませんでした。

◯俺も言いすぎたよ。実は俺さ、日本で芸人やってんだよ。

●え？芸人！？お笑いの？

◯うん。でも全然売れないんだよ。多分じいちゃんの血引いてんだろうな。ライブのエンディングの平場とかでちょっと前出ようとするとすげー変な空気なるんだよ。だからあんた見てたらそれが自分に見えてきて余計に腹立っちゃったんだ。ごめんな。八つ当たりして。

●いえ。いいんですよ。あ！だったらこうしませんか！？あなたこの国でお笑いやればいいじゃないですか！

◯え？

●だからシヨモナ共和国でお笑いやるんですよ！だってみんなお笑いのレベルあなたより低いじゃないですか！あなたなら絶対天下取れますよ！どうですか！？

◯うーん。

●何をそんなに迷うんですかーかーか！！？

◯なんかわかんねえけど芸歴18年でもう一回NSC入りなおして主席目指すみたいな感じでダサいからいいや。俺、日本で頑張るわ！またな！

●よくわかんないけど、わかりました！お元気で！…もしもし。お疲れ様です。あなたの言う通りにしたら、お孫さんちゃんと日本に帰られましたよ。良かったですねーーねー！