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B5は何倍してもA4にはならない、という話

■JIS P0138

 A4=210mm×297mm、B5=182mm×257mmといったいわゆる紙の「正寸」はよくご存知だと思います。これを規定しているのが『JIS P0138』 JIS規格なのだそうです。

あらためて一覧表にすると以下のようになります。

 A0の面積がおよそ1平方m、B0の面積がおよそ1.5平方mとなるよう規定されているそうです。長辺と短辺の比は、√2:1、つまり短辺と同じ長さを一辺に持つ正方形の対角線と長辺が等しい、と規定されています。以下A1はA0の短辺 × 長辺/2と規定されており、小さくなるにつれてその上のサイズの長辺を半分にした長さを基準に図形が出来上がります。その結果、各図形は相似となるとされています。

 しかしここでJISのサイズにあまり取り上げられない問題があります。上のサイズの長辺を半分にするにあたりmm単位で割り切れない(長辺が奇数だった)時には、小数点以下を切り捨てるようサイズ規定がなされています。そのためサイズによっては必ずしも相似にはならないケースがあり、今回書いている話題の元凶になっています。

 A列もB列も、本来であればどこまでいっても形は相似であるはずですが、小数点以下の切り捨てによってA4とB5を比較するとタテヨコ比が違ってしまっています。

 B5=182mm×257mmを拡大してA4サイズにしたい、というとき実際に計算してみるとその差に気がつきます。

182 × a = 210 → a = 210 / 182=1.15384615......

257 × b = 297 → b = 297 / 257= 1.15564202.....

なんだ、この程度かと思われるかも知れませんが、この1.1538...と1.1556...の差が大きな計算結果の差を生みます。

実際に双方で計算してみると、

1.1538...の場合 209.99999993... ×296.538460...

1.1556...の場合 210.32684764...× 296.999999...

となります。短辺/長辺とも0.4mm近い誤差が出ることになりこれは印刷的にはかなり大きな数字といえます。

■組版の不備

 もう一つ問題点として上げられるのが、見開きデータを作る際の不注意です。A5見開きのリーフレットを作ろうというときに、見開きだからということでA4ヨコ(タテ210ヨコ297)で作られたデータが入稿されてくることがあります。お気づきと思いますが、A5見開きはタテ210ヨコ148×2なのでヨコは296が正解です。あまり問題が顕在化しにくい部分ですが、ノドに文字がかかっていたりすると、どこをセンターに設定するかによって製品の仕上がりが違ってきます。実際に起こる問題として製品が見開きのヨコ寸法296とする場合、組版データを左から流していって右1ミリを削るのか、センタ—をとって左右0.5ミリを削るのか、右から流して左1ミリを削るのかで、出来上がるものに差が生まれてきます。

 DTP・印刷にたずさわる方だったら、頭の片隅に入れておいて損はないと思いますです念のため。

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