印刷屋製版・出力がCMYKプロファイルを軽んじる(無視する)のは、どうして?

DTPのCMYK値(指定)にはふた通りの文脈があります。

プリプレスにおける色指定は、かつては文字通りの「アミ指定」でした。
版下の上にかけたトレペに墨藍朱黄(CMYK)の%を書き込んで色指定(アミ指定)し、製版への指示としていました。製版はその指定を金科玉条として厳守するのが原則。
藍100って書かれてたら、藍はベタ・墨朱黄に何か入ったらアウト。
オフセット印刷の網点(スクリーニング)という中間調表現手法を鑑みて、「色指定」がされておりました。
この流れから、DTP作業でもCMYK値で『アミ指定』しているのが一つ目の文脈です。スミベタで指定した文字が刷り物になったら4cに割れてたら、何でやねんてなるでしょ?
CMYK値の設定で、パーセント一桁端数を嫌い10%刻み、細かくても5%刻みで指定する(したい)のはこの流れかと。

もう一つの文脈が、DTP・デジタル表現におけるカラーアピアランスです。
「この部分がどうアミ点化されるか」ではなく、色をどう表現するのかという基準でCMYK値での『色指定』です。
ただし、これには「どんな色空間(CMYK)で印刷されるのか」という前提が本来なら必要です。それがCMYKのカラープロファイル。
現在、日本のDTP界隈でもっとも普及しているのではないかと思われるCMYKプロファイルが『Japan Color 2001 coated』。その後継ともいうべきものが『Japan Color 2011 coated』。策定時期の他、その策定基準からして全くの別物で、それぞれのプロファイル上の同一カラー値(CMYK値)で示すカラーアピアランスは異なります。
それでも『標準カラープロファイル』っていえるものができたことで、それなりに救われる部分もありまして。

オフセット印刷の製版作業においては、たとえ入稿データにCMYKプロファイルが付いていても多くの場合そのCMYKプロファイルは無視され(ると思い)ます。なぜか。
それは、入稿データに付いてくるプロファイルを全部鵜呑みにしていたら、変わっちゃいけないCMYK値が変わっちゃうから。

先に述べた、一つ目の『アミ指定』の文脈が、強く縛りをかけています。

ところがそのデータをPODで出力しましょう、ってなると、カラーアピアランスの一致(オフセットの刷り物と色み揃えたい等)が優先され、また「アミ点」への関心が薄れて、
「CMYKプロファイル生き→出力プロファイル使用のCMYK-CMYK変換有りでの出力」
が求められます。

オフセット印刷の製造方法としての割合が変化してくると、『アミ指定』あたりの縛りも意味が薄らいでくることが予想されます。
プロファイルに関しては、「付けれるものはなるべく最後まで付ける、使わないなら最後に捨てればいい」と思っています。
残念ながら、現状の環境ではAdobeのDTPアプリがカラープロファイルをうまく処理できないケースが多々ありますが、将来的に綺麗に整理されていくと確信してます。
なので、RGBでは確実に、CMYKでも可能であれば出来るだけ、カラープロファイルは付与していきましょう。


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