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1年くらい前に書いてたけど載せてなかった日記

住んでいるアパートの上のほうの夫婦がときどき喧嘩をしていて、怒鳴り声や叫び声が聞こえてくるときがあります。初めて聞いたときは驚いたけど、翌日には何事もなかった感じで2人でどこかから帰ってきてたりするので、だんだん喧嘩の声が聞こえても「またやってるな〜」ぐらいにしか思わなくなっていました。

昨日の夜もまた喧嘩の声が聞こえてきて「またやっとりますな」と始めは思ってたけど、なんだかいつもよりも激しくて、全然おさまる様子がありません。声のボリュームもいつもよりすごく大きくて、叫び声がいつもよりすごくて、なにかドン!とかダン!とか音も聞こえて、なんかまずそうな雰囲気が漂っています。不安になって、でもどうしたらいいかわからなくて、窓の外を見てみたら向かいのアパートの人びとも、ざわざわ騒然としている感じになっていました。誰かが「警察呼ぼうか?」と呼びかけているのが聞こえます。

喧嘩の声と叫び声と何かわからない物音はずっと止まなくて、時間はもう23時半くらいです。わたしはもうベッドにいて布団をかぶっていて、気になりつつもどうしたらいいのかわからなくて、こういうときにどうしたらいいかわからないことがすごく悔しくて悲しくて、でも、ただ聞き耳を立てていました。

そしたら今まで男の人の怒鳴り声と女の人の叫び声だったのが、いったんやんで静かになり、かわりに男の子の泣き声が聞こえてきました。そこの夫婦にはたぶん中学生くらいの男の子がいて、おそらくその男の子の泣き声です。その泣き声に対して「病院行くって言いよろうが!」というめちゃくちゃ大きい怒鳴り声が聞こえてきました。

そのあとしばらく静かになったあとに、たぶんその男の子の「うあーーーーーーー!」という叫びが、聞こえてきました。叫びというか怒りというか、本当になんて言ったらいいかわからない、キレたっていう表現じゃ全く足りない雄叫び?のような悲しい声が5回くらい響いて、そして最後に「くそじじい!」と叫んでいました。
そのあとくらいに、パトカーが来ました。

わたしは最悪の想像をしていました。お母さんが死んでしまったんじゃないか、、

音しか聞いてないけど、パトカーから警察の人がおりてきて、階段を登っていって、その喧嘩してた夫婦の部屋に入っていきました。
それからしばらく何も聞こえなくて
なので、すぐに救急車がくるとかはなかったので、怪我とか、死とかじゃないんだ、と思いました。

たぶん30分後くらいに警察の人たちが帰っていきました。
なので、みんな無事だったのかなと、想像しています。


翌朝、その夫婦の旦那さんのほうはいつものようにたぶん出勤していました。

ーーーーーーー
この昨日のできごとで、わたしは自分がなんにもできなかったなと思い知りました。
考え直しても、今の自分の知識と経験では何をしたらよかったのかわかりません。
もうちょっと早く警察を呼んであげれてたら、とだけ思います。
なかなか判断が難しいけど、もしあのとき本当にお母さんかお父さんか息子が、死んでなくてもひどい怪我でもしてたら、と思ったら
めちゃくちゃ余計なお世話だとしても、介入してもいいんじゃないかと感じました。

それぞれ価値観がちがうし、なにが幸せかとかは人それぞれで、それを人に押し付けることとかにはわたしはすごい嫌悪感を持っていると思っていたけど
いざ身近でそういうことがあったときには、とにかく「全員無事ですように」と祈っている自分がいて、結局自分はそうなのか、と思いました。

死ぬことは悪いことじゃないと思っているつもりだし、家族円満とかどうでもいいと思っているつもりで、なにがどうなっても、それが良いか悪いかとか誰にも判断できないし
やりたいようにやるしかないし、なるようになるしかないし、
それで良くも悪くもない、みたいに思ってるつもりなのに
昨日の男の子の叫びを聞いたら、「どうにかしたい」と思っていました。
全員がとにかく無事だといいって思って、喧嘩とかいくらでもしていいから死なないでって思っていました。
不思議です。
とっさの反応っていう感じでしょうか。

あとそういう方向の気持ちと、もうひとつは、普段いろんな自分の中の理想とかを考えたり、社会のことも自分なりに考えてみたり、しているつもりだけど、いざというときに身近な隣人に対して、こんなに何にもアクションできないんだなと思いました。

でも最近ときどき、わ〜こうすればよかった!とかひどく後悔するときとか、些細な場面でいろいろあって、でもそれは初めてだったり咄嗟の場面でうまくできなかった訳で、次に似たような場面がきたら今度はこうしよう!みたいに、次に活かすしかなくて、実際また似た場面がきたときに前回の後悔を活かして行動できたりして
なので、できなかったことは仕方ないなと思ったし、2回目3回目でどうにかするしかできないなと思いました。1回目はもう仕方ない。だからとにかく経験していくしかないと思いました。
いろんな後悔とか恥ずかしいのとか経験して、のたうち回ってしか、体得できないなと思いました。
そうやって次にちょっとでもできたらいいです。

男の子の叫び声が忘れられないです。
心からの声でした。
わたしはもうちょっとがんばりたいって思いました。


この出来事からたぶんもう1年以上経ちました。
夫婦も子供も元気そうです。
喧嘩の声は全然聞こえなくなりました。

男の子の叫び声のことを思い出したら、すこし心が潤う感じがします。

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