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#1 小さいブルーカラーを所有せよ

大学を卒業してすぐ友人と起業した
当時mixiが流行っており「出会い」を目的としたイベント会社をすることにした
mixiにはコミュニティという仕組みがありコミュニティの会員同士のオフ会が盛んに開催されており、皆出会いを欲していた
「SNSで繋がる」という文化の黎明期だった
コミュニティの掲示板に「今晩、心斎橋のBARでオフ会します!現在応募女性多数!!」といった書き込みが乱発していた
出会いの中でも異性との出会いは最上位のコンテンツだった
これは昔も今もこれからも変わらないだろう

出会い系界隈にはイベンターと呼ばれる人間たちがいた
イベンター達は安い箱を探し、そこに数十から数百人を呼ぶ
そして基本的には「飲み放題」でやる
例えば箱に支払う飲み放題のドリンク代が1500円だとしたら、オフ会の一人当たりの参加費は3000円に設定し、差額の1500円がイベンターの儲けになる
20人呼べばそれだけで30000円の儲けになる
非常に計算しやすくシンプルだ
コミュニケーション能力が高かったり容姿端麗な参加者がいればスカウトし、今後タダで参加してもokなうえに儲けの1500円のうち500円をあげるからと集客をお願いし、日々自分の分身を増やしていく
上のレベルのイベンターになれば自身のチームで300人程度の集客力があり一晩で45万円を稼ぐ
イベンター達はみな賢く、腹が出ていた

私たちの会社は関西でNo1の集客実績を持つ企業となった
私たちの集客手法は現場ではなくネットだった
mixiの出会い系コミュニティには数万から数十万人の参加者がいた
イベンター達はそこの掲示板にイベントの告知を書くわけだが、1日に数百件の告知が新たに書き込まれ自身の告知はすぐに埋もれていく
掲示板の1番上は都心の一等地、2番目3番目は地下鉄のトイレ、それ以降は田舎の田んぼの中に看板を出す、というくらいの差がある
掲示板の並びの仕組みは「新着順」になっていて、1番上を目指す方法は極めてシンプルでひたすら新しく書き込みをし続けるだけだ
朝から晩まで、パソコンの前に張り付き繰り返し同じ内容の告知をひたすら書いた
成果が出ればそのお金で人を雇いさらに早いスピードで書いていった
私たちも腹が出てきていた

mixiが廃れFacebook、インスタグラムに移り変わるとSNS人口は億近くに達した
mixiのコミュニティのような仕組みは無くなった代わりにビックデータを元にした詳細なターゲット設定ができる広告を打てるようになった
例えばgoogleで最近モテファッションの検索をした人間をターゲットにして広告を打てるようになった
ひたすら広告を打った
成果が出ればそのお金でさらに大きく広告を打った
腹だけでなくメンバー全員顔がパンパンだった

続く

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