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マリアマルダー と エイモスギャレット

思い返すと、本格的に音楽が好きになっていった瞬間、がある。それが、マリアマルダーの「Midnight at the Oasis」での、エイモスギャレットのギターソロを聴いた時だっだと思う。

私は楽器ができないし、歌詞の英語もよくはわからない。ただ、感性で音やリズムを楽しんでいるだけで、そんな私にでも、幸い、いい音楽は、私の感受性や感情を豊かにさせてくれる。そのはじまりを思い起こさせてくれるのが「Midnight at the Oasis」のギターの音だった。とてもロマンティックで、とろけるようなギターの音色だった。

本格的に音楽を好きになる以前、高校生の時、TOTOやフォリナーやシンリディが好きだったけど、音楽は、夜ラジオを聴く程度で、レコードも数枚しか持っていなかったと思う。その後、バイトをしてお金を自由に使えるようになってから、いろいろレコードを買って、アメリカンルーツ音楽へと踏み入れ始めた頃、「Midnight at the Oasis」のギターソロを聴いて、本格的に音楽へ目覚めていった気がする。ノリノリの商業ロックから、内省的な歌や土着を感じる音楽へと感性が広がって、大人になっていく感情の源泉はここにあるのだと自分で思う。

エイモス•ギャレット

下記は、1973年、ブルースハーブ奏者のポールバターフィールドの名盤で、ここでの、エイモスギャレットのギターと、マリアマルダーの元旦那さんであるジョフマルダーのヴォーカルが、とてもいい。黒人のディープなブルースだといまいち分からない私は、こうした白人のアーヴァンなブルースは聴きやすくて好きだ。

多分30年程前、新宿で、目の前に、マリアマルダーかいた。観客は30人程、ホールでもない、ライブハウスでもない、広い会議室みたいなスペースに、高さ四段の手作り的なひな壇の席に座って、会場の入り口では、ライヴに手慣れてないような運営の方々がいて、お金儲けではない何か良心的なイベントの雰囲気だった。それがなんのイベントだったのか、そこがどこだったのか、なぜあんな小さな会場だったのか、思い出せない。ネットでも見つけられない。新宿区のとこかだということだけは、覚えてはいるのだけど。
マリアは、観客がほんとに少なくて反応も薄いので、ちょっと不機嫌になったりもして、曲が終わると、お手上げポーズをしたりして、こっちが申し訳ない気持ちになったのを覚えている。とはいえ、憧れの歌をあんなに間近で生演奏で聴けて、1番好きな 「lt ain’t the meat it’s the motion」も演奏してくれた。そう、1stばかりが有名だけど、この曲や、I’m a woman がある2ndも素晴らしいのだ。

下の動画は95年のライブで、少し体が大きくなって貫禄あるマリア様と、少しお歳をとられたエイモス卿が久しぶりに共演している。元夫ジョフマルダーが歌った曲を、今度は、マリアが歌っている。

新宿で見た彼女は、この動画の少し前の頃だと思うけど、その後もよく日本に来ているらしく、ライブの直前に会場横の居酒屋で飲んでいるところを目撃されていたりする(笑)。そういう庶民的で行動的なところが好きだ。
行動的という証拠に、驚くことに、1973年のデビューから2021年の最新作まで、毎年1枚程のペースで、実に30枚以上のソロアルバムを出しているのだ。ソロ前も含めると40枚にもなる。

とても小柄な女性です

私の好きな女性アーティストは、ボニーレイットとマリアマルダーだ。2人とも70年代前半にソロデビューして、ブルースやジャズ寄りの道を歩んで来たので、リンダロンシュタットやエミルーハリスのようにヒット曲とは縁が少ないけれど、それでも、信念をもってアメリカンルーツ音楽をやめなかった2人の絆は、強いのだと思う。
今や国宝級なスターのボニーレイットは、今でもそれほど有名とは言えない歳上のマリアマルダーへ、誕生日には、お祝いのメッセージを送っている。それを読むと、50年以上も地道に活動を続けるマリアマルダーに対して、大きな敬意を払っている様子が窺える。

2019年

驚くことに、2018年、75歳でのアルバムが、ほどほどに渋くありながら若々しく溌剌としていて、こちらまでハッピーな気持ちにさせてくれる最高の作品なのだ。ほんとに、ボブディランより凄い!(私には)

75歳 2018年

最後におすすめの5枚です。

1973年 Maria Muldaur
1974年 Waitress in a Donut Shop
1992年 Louisiana Love Call
2001年 Richland Woman Blues
2018年 Don't You Feel My Leg: The Naughty Bawdy Blues of Blue Lu Barker

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