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ボニーレイット Love Has No Pride

2022年のグラミー賞最優秀楽曲賞に、ボニーレイットの「Just like you」が選ばれました。プレゼンターの大統領夫人と並びステージでスピーチをするボニーを見ていて「よくぞここまで」と拍手を送りたかったです。何しろ、40年もの間「ボニーレイットが一番好き」と言ってきましたから。

楽曲賞として受賞した「Just like you」はボニーの自作曲です。それは、ボニーにとっては予想外の嬉しさでもあって、スピーチで本人もそこに触れていましたけど彼女としては、自作曲が評価されたことが嬉しかったのだろうと思いますね。 

実はボニーは、カヴァー曲が多く自作曲が少ないミュージシャンです。しかしファンの私から言うとその自作曲は良い曲ばかりです。名盤2ndA①②の「Give it up or let me go」「Nothing Seeme to Matter」など大好きですし、もっと自作曲を増やせば良いのにと思っていました。しかしブルースを敬愛し、ボトルネックギターを掻き鳴らす彼女は常に黒人音楽への敬意がありブルースを広めていきたいという姿勢で活動していたので、自作曲は畏れ多いという思いがあったのかもしれません。


また、黒人音楽をカヴァーするボニーですが、白人のシンガーソングライターの選曲もとても良いのです。ジャクソンブラウン、ジョエルゾス、そしてエリックカズ。

ボニーは70‐80年代のワーナー時代、アルバムには必ず1曲、エリックカズの曲を入れてきました。

私は エリックカズの曲を歌うボニーレイットがとても好きです。 
「RIver of Tears」「Cry Like A Rainstorm」「Blowing Away」
そして私が最も好きな曲
「Love Has No Pride」 

ある記事で読んだのですが、70年代の来日公演で、アンコールで「Love Has No Pride」が歌われ,、熱く感情を込めて歌う彼女の目には涙が光っていました。そして他の会場でも、この曲を歌う時、やはり目に涙をためていたというのです。私も、何年経っても、この曲を聴くと涙が出てしまいます。

もちろん、ボニーが歌うから素晴らしいのですが(この曲をカヴァーするリンダロンシュタットやリビータイタスやトレイシネルソンではダメ)作曲が、エリックカズであるからこそ、私の心が掴まれるのです。


ある時、意外なところでエリックカズの存在を知ります。ランディーマイズナーがイーグルスを脱退後のソロの2nd「One More Song」です。1stと比べてオリジナル曲中心に劇的に曲がよくなり驚きました。ランディマイズナーって、こんな良い曲を作曲するのか!?と。その理由は、実は多くの曲でエリックカズが作曲に関わっていました。

エリックカズの70年代のソロアルバムは、名盤シリーズ等で有名なところだと思いますけど、その後長いブランクを経て、2002年に「1000年の悲しみ」2015年に「41年目の再会」とアルバムを発表しています。それがまた何十年も経っているのに、また私の心を掴まれるのです。

話をボニーに戻しますと、ボニーは今や、アメリカでは国宝級のミュージシャンですが、70-80年代のワーナー時代は気の毒なほど売れていませんでした。70年代では自作が少ないのが理由かもしれませんし、あの80年代をブルースで乗り切ってきたのもその理由かもしれません。本人にとっては長い試練の道だったと思いますが、私にとっては変わらずアルバムを出してくれたらそれでいいと思っていました。

ところが、89年にレコード会社が変わり、それまでが嘘のように、突然大ブレイクします。しかしそれは私の好きなボニーではなく、モダンでキーボードまで弾く垢ぬけたボニーでした。それでも長い低迷を経てやっと大ヒットし、その勢いで来日までして、初めてライブで観ることもできたわけですから、私も少しずつモダンなボニーレイットを受け入れるようにしました。

大ブレイクから30年以上も経ちますけど、ボニーは、出すアルバムすべてが特大に売れ、私好みのブルース色やシンガーソングライター風な曲も織り込みながら、私も新しいボニーレイットに馴染んでいきました。そして、グラミー賞を10回も受賞するほどの存在になり、ついには、彼女の自作曲でグラミー賞最優秀楽曲賞を受賞したのです。大統領夫人からコールされて、受賞スピーチをしている動画を見ながら「ほんとうに良かった」と私は思っています。

おめでとう そしてありがとう
「Love Has No Pride」は、ずっと生き続ける。
ボニーレイット73歳 エリックカズ77歳 あと10年も20年もいつまでも
長生きしてほしい。



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