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ティナ・ターナー Hot Legs !!
1984年頃の学生時代、私、レンタルレコード店でバイトの店員をしていました。その頃、私と店長の先輩とで「エアロビ先生」と名付けていた常連のお客さんがいまして、近くのエアロビックス体操スタジオの先生です。30歳くらいの女性でイメージでいうとタレントの松本伊代さんですね。伊代さんをハスキー声にして強烈に天然ボケを加えた感じです。
先生はレッスン用の音楽を探しによく店に来ます。さすがエアロビの先生なので、姿勢もよくて品の良い雰囲気の女性なのですが、なにしろ天然な発想をお持ちでなかなか会話が噛み合わず、数々の迷言をお店に残していかれました。私と店長先輩にとって、ほほえましい存在ナンバーワンなお客さんです。
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まず一番すごい迷言が、ソウルミュージックを韓国の音楽だと思っていたことです!たしかに韓国の街もソウルですけど笑。ある時、例によって話が噛み合わなかった時、私「ソウルミュージックぽいのとか?」、、先生「いえいえ、韓国人の生徒さんは居ないから大丈夫です」「先生、ソウルミュージックって黒人の音楽ですよ?」「え?そうなんですか…韓国のソウルじゃないの?でもお教室では韓国の歌も黒人さんの歌も使わないから大丈夫よ」と笑って意に介しません。
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次の迷言。ティナターナーはストリッパー。私「お教室、繁盛してますか?」先生「今ね、ストリップ劇場のダンサーさん達が練習しに来てるの。で、すごい頑張ってる子がいてね、その子はティナターナーみたいになるのが夢なんですって」「へえ〜今人気ありますもんね」「え?そういうお店行くんですか?」「??」。といった噛み合わない会話を経て、先生はティナターナーをストリッパー界のスターだと思っていたのです。ミュージックビデオを観て知っているはずだから「TVで、ストリッパーの音楽やるわけないじゃないですか!」とツッコむと「だって、すごいセクシーな格好で美脚を見せてるでしょ?ストリッパーの方なのかなぁと思って」と真面目に答えます。
「そりゃティナターナーに失礼ですよー、彼女の音楽って凄いんですから。それに美脚はチャームポイントであってダンスのために脚を鍛えてるらしいですよ」と言うと、先生は自分の失言を反省して、ティナターナーのレコードを借りようとしてなぜかチャカカーンを借りて行きました。
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チャカカーンのレンタル返却の時、私と先輩も、先生がただ店に入ってきただけでニヤニヤしてしまうのですけど、「チャカカーンどうでした?」「よかったわ。この人モンゴル人?」「??」と、さっそく噛み合わない会話を経て、どうやら、先生の子供の頃の家族の中でよくTVに出ていたモンゴルの怪人プロレスラー、キラーカーンとマッチングしたようなんです笑
どうも先生は、中途半端に洋楽を知ってるのが間違いの元になっていて、スターシップのことを会員制の仕事のせいか、メンバーシップと言ってたり、「クイーンのカリビアンオーシャンありますか」と、それはビリーオーシャンのカリビアンクイーンだったり、マイケルジャクソンとジャネットジャクソンが夫婦と思ってるのはまだよくて、なぜかマドンナとプリンスが夫婦だと思っていて、なんでー!??と聞くと「2人とも背が小さいしすごく売れてるから、そういうネーミングがつけられちゃった夫婦なのかしら」と分かるような分からないようなことを言います。
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ある晩、私と先生だけが店内にいた時、突然店にパンツ一枚の男が奇声を発しながら、店内に駆け込んで来たのです!そのまま店のトイレの中に走っていって、あっけに取られていると、次にお巡りさんが入ってきて「念の為、外に出ていて下さい」と言い、驚いて私は先生を避難させる感じで一緒に地下の店から外へ出ました。
結局、取り押さえられて何事も無かったのですが、エアロビ先生はその時怖かったのでしょう、その後、お店には来なくなってしまいました。
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ティナターナーが亡くなった時、エアロビ先生のことを思い出しました。そして最近noteで音楽の話を読んだり書いたりしている中で頻繁にソウルという言葉と出会うのですが、時々「ソウルは韓国じゃないよ」ってひとりで笑みがこぼれました。それから、あの乱入者が店に来た時、すぐ女性を守らなければと、先生に向かって走っていた自分の潜在的な一面も思い出しました。
エアロビ先生、その後も得意なダンスと迷言を発揮して、マイペースで過ごされていることと、思いますね。
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