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リトル•フィート The Last Record Album

七年程前、就職活動中の長男とこんな話をしたことがありました。
長男「どんな仕事がいいのかなぁ」
私「営業向きだと思うよ。人との関わりの中でやっていけるタイプだから」
長男「営業ってきついんじゃないの?」
私「ひとりで地道に頑張る人じゃないでしょ?人に助けられながら自分も成長するんだよ」
タイプ的に長男は私と似てたので、私は自分の経験値で言いました。
私「船で言うと自力のエンジンのボートより風を利用する帆船タイプだしな」
長男はその後就職し営業職となり、今も順調なようです。

ブルースとスワンプ感溢れる1st

昔、何かで読んで共感した話がありまして、自分が100点だと思っていても、意外に周囲の評価はそれ程とは思われてなくて80点くらいだと。自分で80点なら周囲は60点位で見ていると。自己評価を少し下げて考える方が実は事実に近いのだと。隣の席の人が仕事ができるかどうかはよく分かるものです。そうした客観的評価の妥当性を述べた話です。

A面が全部最高!バンドサウンドになった2nd

その話にはすごく共感する意識があって、私は自分よりも経験者を重視するタイプだと思います。自分のエンジンは過信せず、経験者の力に共鳴して帆を張って進んでゆきます。その方がいい風はいっぱい見つけられます。

新たなメンバーを加えて濃厚になった名盤

noteを書いていて一番良い事はアルバムをよく聴き込むようになったことです。よく聴いてどう感じるのか、ちゃんと向き合います。

次に良い事は、note仲間ができて今までスルーしていたアルバムや未知のミュージシャンも聴くようになりました。
あの人が言うのだから「多分イイのだろう」とポジティブな聴き方になりました。今まで一人で聞いてた時は「どうせ良くないんだろう」でしたから、これは大きな変化です。

ただの口コミ力ではなくて、感性の近いnote仲間の方々の情報は身近であり信頼できます。自力エンジンはもはや先入観のようで邪魔とさえ思えてきます。
帆をいっぱいに広げて風を受け、アンテナを縦にも横にも伸ばしていきます。

トータル的にバランスの取れた私の好きな4th

前回、リンダロンシュタットとJDサウザーの関係を書きましたけど、リンダの恋人で、もうひとり重要な人物がいました。
ローエル•ジョージ
彼が中心だったリトルフィートは、初期の「セイリンシューズ」や「ディキシーチキン」が有名で、フュージョン色が強まってきた後期が見過ごされがちですが、実はこちらも充分に魅力的です。

1975年「ラストレコードアルバム」5th
1979年「ダウンオンザファーム」7th
後期のこの二枚はビルペインやポールバレルの魅力も相まって洗練されたファンキーさが深みを増しています。

という訳でリンダロンシュタットがカヴァーしたオールザットユアドリームを含む本作五作目の紹介です。

The Last Record Album   1975年 

5th

Romance Dance↓
アルバムの一曲目。コクがあるんですよね。スライドギター、ファンキーなピアノ、タイトなリズムが織りなす独特なファンクです。

All That You Dream↓
二曲目は一曲目同様、ビルペインとポールバレルの曲ですが、ヴォーカルはローエル。初期のワイルドさとはだいぶ異なる洗練されたバンドとしての進化を感じます。

Long Distance Love↓
桑田佳祐がカヴァーして有名ですね。メロウなバラードで私も好きです。沢山のブートレグ音源を聴いてきましたが、マンチェスターでのこのテイクがベストだと思います。

Down Below the Borderline↓
個人的には本作中一番カッコイイ曲です。ブラックフィーリングが溢れ、粘りっぽくてグルーヴ感があります。

そして次作6thの頃には彼は麻薬中毒が進みメンバー間との確執も致命的になります。
その二年後素晴らしいソロアルバムを一枚出した後、突如、心臓発作で亡くなりました。残されたメンバーで制作した本当のラストアルバムが、ダウンオンザファームです↓

ローエルが残した音源を残ったメンバーが完成させた

その後は、再結成し活動は継続され、2019年に長年のヴォーカルだったポールバレルが死去しました。
リトルフィートはミュージシャンズミュージシャンと言われ、すぐに良さは分かりません。私も友人の推しを得ながら、彼らの魅力を充分に味わえるまで数年はかかりました。

でも噛めば噛むほど味が出る。そして音楽をやってる人には分かる、生でこんな演奏が出来たら大きな悦びだろうと思えるとても芳醇なサウンドです。

そうそう一枚忘れていました。ライヴアルバム ウェイティングフォーコロンブス↓も素晴らしいのです。

ライヴ!

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