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ジョニ•ミッチェル  A Case of You

たま〜に赤ワインを飲もうとする時、ある曲の歌詞を思い出すことがあります。それはジョニミッチェルの「A Case of You」

ここでの意味は、(あなたの場合)ではなく(あなたをひとケース分)飲み干せるわ、という意味で、ワインを血に喩えて何本でも飲み干すって、ちょっとドキッとする歌詞です。

Oh you're in my blood like holy wine
You taste so bitter and so sweet
Oh I could drink a case of you darling
Still I'd be on my feet
oh I would still be on my feet

あなたは私の血の中で
聖なるワインのように流れている
それはとても苦くて甘い
あなたなら、ひとケースだって飲み干せるわ
でも私は、もう酔ったりはしないわ

Joni Mictell 「Blue 」1969年
「A Case of You」

ジョニミッチェルの作品って、ポップス性が無いのでけっこうハードルが高いのですけど、このアルバムはシンプルなシンガーソングライター的なので聴きやすい方かと思います。

なかでもこの「A Case of You」は、歌詞が濃いーいラブソングで「あなたというワインならひとケース分だって飲み干すわ」と歌われます。ワインを血に喩えてひとケース飲むという表現が、感情の生々しさを伝えています。

彼女は当時すごくモテたという記事はよく見かけるのですが、正直なところ見た目は美女ではないですけど、ギターをもった途端に明らかに卓越した演奏とハイトーンのヴォーカルが美しくて、彼女は芸術的です。私は歌詞やギターの専門的なことはわからないのですが、ギターは自身が編み出した変則オープンチューニングを使い独自の展開があるらしく、歌詞も酔いしれるほど美しいそうです。見た目でモテるというよりミュージシャンとして男性を惹きつけるのです。

画像↓の人が、当時の恋人、CSNのグラハムナッシュ。「A Case of You」のYouの人です。

「A Case of You」を作詞した時点ではグラハムとは破局していたらしいです。飲み干せるけど、酔いはしないという言葉には、彼、グラハムとは決別するという彼女の強さを表現しています。彼の愛はいくらでも受け止められるけども私は次へ進むしあなたに揺らぐことはもうないという両面性を伝えています。

そしてジョニミッチェルは次の恋人ジェイムステイラーに向かいます。笑
「A Case of You」録音時でのアコースティックギターは既に新しいカレのジェイムステイラーで、ジョニが弾く一風変わった音のダルシマーというギターに合わせ、新カレはアコースティックギターを寄り添うように弾いています。ジェイムステイラーのギターは非常に繊細でかつ温かく支えます。

アルバム「ブルー 」は大名盤として扱われますが、それほどまで有名ではないのは、ジョニミッチェルがポップスではなく独自性が強いゆえなのでしょう。彼女の作品において比較的ポップな曲というと「サークルゲーム」「Both Sides Now」でしょうか。

ジェイムステイラーとのデュエット「サークルゲーム」↓はジェイムスのハモリはもう最高級ですし彼のギターの音は間違いなく綺麗なのです。もう当時の音楽界の芸術部門最高峰の男女の共演ですね。

↑ラストあと30秒程のところでジョニが歌い出しを間違えてクスクス笑うところが、可愛いらしくて、あー、彼女は新カレのことを好きなんだなあと思わせます。
この動画音源はその最後のクスクス笑うシーンが入っているのですけど、今まで私が持っていたCDには、そこが失敗と見なされて編集でカットされ急にフェイドアウトして切れて終わるんです!なんで〜!??って、ずっと思ってました。カットしないで欲しかったなぁ。

映画の話に急に変わるのですが、2022年1月、大ヒットした映画「CODA あいのうた」はご覧になりましたか。主人公が、入学試験で歌う場面で、手話で家族へ向けて歌う曲がジョニミッチェルの「Both Sides Now」でしたね。感動的なシーンでした。

この映画を観た後、ジョニミッチェルをまた聴きたくなりました。しかし彼女についてのニュースは不穏なものが続いていて、10数年前からジョニは原因不明の難病に冒され音楽活動を休止していたのです。
しかし映画の半年後の7月、ニューポートフォークフェスティバルにジョニミッチェルがサプライズで出演したというニュースが飛び込んで来ました!難病を乗り越えたようでした。さすがにもうお歳で、歌も演奏もままならない様子でしたが、お元気そうな笑顔が見られてほんとうに良かったです。


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