5月 初回。はじめまして!
青い空と新緑に恵まれた5月。
爽やかな風と眩しい太陽に包まれて、2016年度初回の「森と里の楽校」がはじまりました!
お久しぶりの子も、初めましての子もいて、
集合場所ではみんなドキドキな様子……。
「どこへ行くのかな、何をするのかな…」
「お友達と仲良くできるかな…?」
そんな不安や緊張も抱えながら、子どもたちはスタッフと一緒に森へ向けて出発します。
「行ってきます!」
お父さんお母さんと離れて不安げな子もいたけれど、「行ってらっしゃい」という父母の温かなお見送りを受け、声援とぬくもりを感じながら森へと歩き出しました。
フィールドにつくと、冒険に行きたい子とフィールドで遊びたい子にわかれて行動開始!
冒険組は、落ち葉のカサカサという音を踏みしめながら、一歩一歩森の中を進んでいきます。木々が生い茂っていて、清々しい!
道中は、みんなでお宝を探しながらの冒険でした。
「あ!あの穴なんだろう!何か住んでるかも…」
「みてみてー!木のトンネルがあるよ!」
「ここは、アリさんのマンションだ!」
歩きながら、みんなの「見て見て!」が止まりません。笑
「あ!」とだれかが指差したところへ、みんなが一斉に目を向けます。
そこにある「何か」に注目している時の静けさは、なんともいえない素敵な空白。
だれかの「みてみて」にみんなの眼差しが寄り添っているこの瞬間は、
はじめて森に来た子も、もう何度も来ている子も、みんなが同じドキドキを共有して息を呑んでいました。
こうやって一緒に発見や感動を分かち合うことで、もう最初に抱いていた不安や緊張なんて、どこかへ飛んでいってしまったみたい。
『伝説の小屋』と子どもたちが呼んでいるところまでたどりつくと、
「昔むかしの人が作ったんかなぁ?」
「誰かが住んでたんちゃう?」
小屋の窓をあけたり、階段を上ったり、小屋付近をちょろちょろ散策。
「お神輿みたい!」
「わっしょいわっしょい!」
あっちにもこっちにも、
ひとりひとりの興味関心の芽がたくさん見つかって、
それぞれに目を輝かせる森での時間が過ぎていきます。
さて、冒険も楽しんだどんぐりーさん。
そろそろおやつを食べるために森を出発!
いざ、きっこりーさんのいるフィールドへ向かいます。
太陽の光いっぱいの空の下を、
みんなで食べるおやつのために歩いていきます。
大きな畑を横目にトコトコ、、
ときどき ウロウロ、、
土手からひょっこり!
それぞれが色んなものを目にしながらしばらく歩いていると、古池でザリガニ釣りをしているきっこりーさんたちと出会いました。
この日、午前中の葉んぐりーの時間にザリガニを見つけた男の子たち。
「おやつよりもザリガニ釣りに行きたい!」と、フィールドを抜け出して池へとやってきていたのです。
「あ、いた!」
ザリガニは思ったよりもすばしっこい。
さぁ、どうやって捕まえよう?
「このツルでおとりをつくろう!」
「この袋、罠にできるんちゃう?」
アイディアを出し合って、たくさん失敗して、逃げられて。
悔しい思いもしながら、チャレンジ、チャレンジ、またチャレンジ…
「あ、かかった!かかったよー!」
喜ぶお兄さんたちの声に、見守っていただけのどんぐりーさんもそわそわし始めて…。
「僕もやりたい!」
「ちびさんにはまだできひんわ」
「~ッ!僕も捕まえるんだーっ!」
そんな兄弟喧嘩も始まるけれど、大丈夫。
ほらね?
ひとたびザリガニに向かうと、そんなことは忘れちゃう。
様々な工夫と諦めない心が実を結び…、
ザリガニゲットーー!!
本当に嬉しそうな、ちょっぴり得意げな笑顔が弾けます。
生きものの存在はいつでもどこでも子どもの心を掴むんですね。
そんな盛り上がるザリガニチームを横目に、どんぐりーさんの中でもおやつを食べたい子とザリガニ釣りに挑戦してみたい子が出てきたので、どんぐりーさんはここで二手に分かれることになりました。
ザリガニ釣りに盛り上がっている様子を微笑ましく眺めて…ふと横をみると、
「早くおやつ食べたい」の図。
ということで、ザリガニ釣りのみんなとはお別れしてきっこりーフィールドへ再び出発!!
フィールド(おやつ)まであと少しです!
さて、その頃きっこりーさんのフィールドでは……
こんなに大きな機械を操ってみたり、
お喋りしながら大きなブランコでめいっぱいお空に近づこうとしてみたり。
「押して押して!」
「今度は交代ね」
「もっと高くやって」
「そっと押してよー」
そんなやりとりが自然と生まれて、ちゃんと順番交代でブランコを楽しんでいました。
子どもたちは本当に自由。
帽子ひとつ、小枝ひとつ、小石ひとつであっという間に遊びを創り出します。
さてさて、冒険に行っていたどんぐりーさんチームも合流すると聞いて、きっこりーフィールドにいたみんなでおやつ作りの始まりです!
今日のおやつはよもぎ団子。
午前中に葉んぐりーの子たちが道端で採ってくれたよもぎを使って作ります。
きっこりーフィールドで遊んでいた女の子を中心に生地をこねて…、
煮立ったお湯の中に生地を落とし、茹で上がったらきな粉をまぶして完成!
どんぐりーさんがきっこりーのフィールドに到着する頃には、既にきっこりーのみんなはよもぎ団子を頬張っていました。笑
最初は「えーお団子?」なんて言っていた子たちも、お団子に爪楊枝を刺して差し出すと、みんな巣の中のヒナのようにちょうだいちょうだいと集まってきます。
やっぱり、たくさん遊ぶとおなかがすくんですね…!
たくさん歩いて喉も渇いたし、お団子も食べて少し休憩…。
春の香りの詰まった美味しいおだんごに、どんぐりーさんもきっこりーさんもみんな大満足のおやつタイムでした。
今回初めてスタッフとして参加したわたしですが、
実は一番心に残ったのは「いってらっしゃい」と「おかえり」のシーンでした。
不安でいっぱい、緊張してドキドキ…。
「お友達はできるかな」
「上手にお喋りできるかな」
「怪我はしないかな」
そんな心配や不安は、きっと子どもたちもお母さん・お父さんも一緒なんだと思います。
ぎゅっと繋いでいた手を離すとき、どんなに信じていても、
やっぱりほんの少しだけ、心配になったりもする。
けれど、ちゃんとその足で。
小さいけれど逞しいその足で、前に歩いていくんだよ。
あなたは大切な、自慢の息子・娘なんだから。
お母さんやお父さんはここで待ってるよ。
だから思いっきり、遊んでおいで。
自分の可能性を信じて歩けるように。
いっぱい笑って、時には泣いて、
そうやってちょっぴり大きくなって、
お母さん・お父さんのところへ帰っておいで。
そんな、子どもたちへの信頼を寄せた「いってらっしゃい」。
不安でいっぱいで、立ち止まって、
とぼとぼと歩いていた子がお友達と色んな発見をして、
気づけばその足で、自然の中を駆け回っていく時間。
その目でたくさんのものを見て、吸い込んで、
色々なことにチャレンジしてみる森の中。
そうしていっぱいに詰まったこころを抱えて、
自分の足でしっかり歩いて告げる、「ただいま!」の声。
それをあたりまえのように、
「おかえり」と出迎えて笑うお母さん・お父さんの姿。
帰り道にはまた、手を繋いで帰っていく背中があって。
子どもたちはほんの少し、
来た時よりも誇らしげな顔をしていたりもして。
きっと子どもたちも、お母さんたちも、
毎日毎日を少しずつ前へ歩いていて、
何気ない一瞬の光景の中であったとしても
ちょっぴり勇気を持って手を離したりしているんだなぁと、
そんな気がして。
手と手が紡ぐその関係が、すごく愛しくて。
この「森と里の楽校」には、
ぎゅっと詰まった“たいせつなもの”があるんだなと
教えてもらうことができた一日でした。
2016年度の「森と里の楽校」は、どんな色に染まっていくのでしょう。
未来を歩く子どもたちが少しでも、
「自分の足で進む可能性」を信じる根拠を体感し、
自分への信頼を得られる場になったらいいなぁと
個人的にはひっそりと、そう願いながら。
今回参加してくださった親子の皆さん、
素敵な時間を本当にありがとうございました!
次回は6月11日。
また素敵な笑顔がたくさん見られることを楽しみに、
ふれあった子どもたちの可愛さを噛みしめているスタッフすずかでした。