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ホンモノにフォーカスしなきゃいけない時代

先日、しらどうまさふみさんの
「2015年はあなたにとってどんな時代か?」
というインタビュー記事の投稿がありました。

これに答えてわたくし、もりしーはあまり考え込むこともなく真っ直ぐに、
「ホンモノにフォーカスしなきゃいけない時代」
というコメントをさせてもらいました。

このインタビュー記事に対する回答がたくさん集まったとのことで、しらどうまさふみさん自らとても興味深いまとめ記事を投稿なさってます。

https://note.mu/shirado/n/n0f33fcab5112

そこで、もりしーの考えた
「ホンモノにフォーカスしなきゃいけない時代」
というのはどういうことなのか?
少し解説してみたいと思います。

この言葉、実は2つの事象を指して言っているのですが、今回はそのうちのひとつについて考えてみます。

長文ですがしばらくお付き合いください。

(ここから)

かつて重厚長大と表現された時代がありました。それが軽薄短小と言われるようになり、経済は発展しましたがバブル崩壊で暗転し、軽薄短小路線の限界が見えました。

簡単にこう書くと重厚長大から軽薄短小に移り、やっぱりこの路線は間違っていたから重厚長大にもどったと、日本国民の意識が移り変わったかのように見えますが、そうではありません。昔は良かったといってそのまま昔にもどったわけではなく、厳密にはホンモノと直接関係のない部分がこの過程で削ぎ落とされようとしているのです。

昔は膨大なお金と設備と人脈と情報を手に入れなければ、もしくは草の根的に地道な活動を根気良く続けていかなければ、メディアを持つことなどできませんでした。

でも今は違います。お金がなくともSNSやアプリで昔と同じレベルの設備機能を個人が簡単に手に入れることができ、素人でも自分のメディアを持って万人に向けて発信することができるのです。

音楽なんてその典型です。

昔は高度なレコーディング技術と音響設備を持ち、レコードやCDなどのプレスができる大がかりな設備も持たないと、音楽を流通させることはできなかったわけです。そして大手のレコード会社のみがそれを可能にしていました。

それが今ではどうか?

パソコンやスマホにインストールされたDTMツールなどがあればだれでも手軽に音楽を製作し発信できます。それらは大手レコード会社のシェアをも脅かしているわけですが、そういったDTMツールには、ど素人でもカンタンにそれっぽい音楽をちょちょいと作成できる機能なんてのもあるわけです。そうして作った作品をSNSなどで発信するなどというのはもうなんの苦労もありません。

ムービーにしても書籍にしても同じような事情になっています。このことから言えるのはこういうことだと思っています。

昔は、重厚長大だった時代は、モノを作ることは目的とするそのモノだけでなく、それを作る手段もふくめて「ホンモノ」のうちだとみなされていました。でも軽薄短小の時代を経験してわかったのはその「ホンモノ」の中でも、金がないと如何ともし難いが金にモノを言わせりゃ何とでもなるという「ホンモノかどうかは問われないエリア」があるということです。

それを浮き彫りにしたのが昨今の技術進化というわけなのですが、「ホンモノかどうかは問われないエリア」は技術の進化によって淘汰されようとしています。

「ホンモノかどうかは問われないエリア」のハードルを下げつつある現在は、ゆえにだれもが発信できる時代になりました。それは、才能を埋もれさせないという意味で良い時代になったとは思うのですが、反対に価値のないつまらないシロモノを氾濫させる原因にもなってきています。

ちまたでは、初心者でもカンタンに始められるDTMだとか、テンプレートに合わせて写真素材を貼り付けていくだけであなたもかっこいいムービーを作れるだとかいうセミナーもあったりして、初心者がつまらない作品をじゃんじゃん量産する機会は増えています。

プロもしくはプロにも引けを取らないクオリティの高い作品を発表していると自負しているクリエイターのみなさまはかかる状況をどのような目でご覧になっているでしょうか?

「あんな至れり尽くせりのアプリが出ちゃったら素人との差別化が図れないよー…とか、もう商売上がったりだよ…とか…」

ホンモノクリエイターでそんなことを思っている方はいらっしゃらないでしょうが、もしいたとしたらそれは、もともとがホンモノではなかったということなのです(≧∇≦)

ホンモノを自負するのであれば、そんなニワカクリエイターたちの高機能アプリが作り出したテンプレート作品など圧倒せねばならないはずなのです(≧∇≦)

これまでクリエイターとしての資質以外のところで差別化していた要因というのはこれからの時代ではどんどん排除されていくはずです。つまりクリエイターは、ホンモノでないとできない部分によりフォーカスして、そこに力を注いで行かねばならない時代になっているということです。

「発信できる」というだけではもはや力にはならないのです。

だからこそホンモノの作品作りに磨きをかけていきたい。私はそんなふうに考えています。

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