バッタを救った男

ある夏の 静かな午後
当時働いていた会社の
隣に 介護施設があった

ウィーン(自動ドア)

こんにちは~

まわりは田んぼが残っているような景色で、通勤時間は車で40分ほど。音楽を聴き、ときには爆歌いしながら通勤していたからそんなに苦ではなかった。

郊外にある平屋の
アットホームな グループホーム。
小さな庭で菜園をしてるみたいだ


回覧板ですー

返事がない
中に入ると
静か…だなあ

この静けさ なんだか落ち着く

フロアには
利用者さんの作品が飾ってある
習字やちぎり絵。
フロントには花瓶がぽつんと、
野の花が生けてある
小さな虫がその葉っぱの中をぐるぐる周回していた。

シーン

そうすると
車椅子のキュキュ という音が奥からしてきた。
感じのいい 背の高い男性が 車椅子を押しながら こちらに
ゆっくり向かって来る。


あーすみません お待たせしていましたか?

外の景色を見るために室内散歩されていたようだった。

いえいえ

回覧板を渡して
少しの世間話をして

利用者の方も私をみて
穏やかににっこり

にっこり返しだ

にっこり

……なんだこのゆるゆるまったり時間は!時間が流れていないかのようだ
ほっこりした

それではでは

と言って振り向き
自動ドアから出ようとした

それは一瞬の出来事だった。

振り向くと
スライドする側に バッタがはりついてる!

みえた瞬間
ヒャッだかキャッだか叫んでしまった (。>д<

なぜなら自分の踏み出した1歩で自動ドアが開くと、スライドする側にいるバッタが 隙間に挟まれて
グシャっとなるのは明らかだったからだ。

でももう踏み出した後だった。

あ もうダメだ と思って目を瞑った。 ヴィーン

ああ…バッタさん 挟まれ事件だわ…… ショック……


ガタガタッ

?!

大丈夫ですよ!!


そんな声が聞こえて
おそるおそる目を開けると
その背の高い男性が 自動ドアを手で掴んでとめていた!!セーフセーフ!

!(º ロ º๑)!!! うわぁ 私の後ろにいたのに!!

そして片方の手でバッタをつかみ
外にポイッ と逃がした

ええぇっ!!
すごい… !!
あの一瞬で?
しかも自動ドア 手でとめられるの?!

そして彼はこう言った

「僕ら介護職は いつ何がおきるかわからないから、こういう咄嗟(とっさ)の時 すぐに動けるように いつも気をはってるんですよ 」 ニコニコ

か かっこいい!!!!!!!! (灬ºωº灬)


聞くと 利用者さんがコケたりすることもあるから いかにパッと手をだして抱えられるか、瞬時に動けるかという危機管理・意識は 常に訓練しており 職員にも教育しているのだと言う。
感じのよいお兄さんは 施設長だった。

いやあ、すごいなあプロって。
あんな人の元で働ける人は幸せだろうな。

惚れてまうよね。(←以後惚れやすいです要注意)

皆さんもこれを機会に危機意識をもってみてはいかがでしょうか (誰かの決まり文句w)

ほんじゃあ また~。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?