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透明な水に浸りたかった。



かねてよりいきたかった高知の仁淀川

例によって無計画に出発を決めた
しかもこの時期。
埼玉から大阪までのバスはとれたが
大阪から高知までのバスはとれず。

わたしがこんなに惹かれているということは
「行ける」ということなんだろう。
やるだけのことをやるのみ。

着いた先の早朝の大阪で、
券売機をチェックしたら
一席だけ空きがあった。

わたしの席はあるのだ。

高知駅からは電車とバスを乗り継ぎ。

小さな駅のスロープをぞろぞろとおりてゆく乗客。
気怠い暑さなのに下りで勢いがついて歩く様は遠足にワクワクして向かう小学生のよう。

アナログな運転方法、私が運転手ならこっちの方が楽しそう。
手触りや身体性と結びついた運転。
指さし確認は茶道みすらある。

景色よし、ここちよい揺れと涼しさで食べるお弁当最高。
(1駅乗り過ごして30分くらい歩いた)

3日間で
中津渓谷
にこ淵
安居渓谷
を回った。

1日目 中津渓谷

透明な水が好きだ。
ほんのり薄緑の青。

雨竜の滝 雨が少ないのでスリム
完璧な浸り&浮かびスポット

中津渓谷の川は
ちょうどいい冷たさ。
絶妙な深さと流れ。
いつまでも浮いていられる。

夜は居酒屋さるはしさんに。

青のりと衣でサクッと揚がった蓮根の甘みがたまらない。
地元の動きも詳しく伺えて
また来るのが楽しみになった!

2日目 にこ淵

昼寝が気持ちよくて、12:16発のバスに間に合わず。ヒッチハイクをこころみる。

親切な看護師のお姉さんが乗せて下さったのだが、30分ほど乗って逆方向と気づく。

再びヒッチハイク。
愛媛に向かっていた土佐市のご家族が乗せてくださり、バスの乗り継ぎが厳しいことを知ったお父さんがにこ淵まで一緒に来てくださった。
近くのキャンプ場に行ったことはあれど、にこ淵はなかったそう。
(地元民ほど地元の名所に興味ない、あるある。)

階段の途中から、この青である(フィルターなし)

にこ淵は神聖な場所なので泳げない。
人もいっぱい。

にこ淵
角の岩に座って描く

絵を描いて味わう。
絵を描くことは
対象に飛び込むことにちかい。

3日目 安居渓谷

安居渓谷は宿泊先からのアクセスが悪くて
(狩山口でのバスの乗り継ぎ間が2:45もある。
その間にあるいたら着くわ。)

おかげでたくさん歩いて
その間は眼下の川を独り占め。

かなり高いところからパシャリ。巨石が多く、これが転がってきた様を思うと自然の力(物理)を感じる。



ふと、夏休みと仲直りした感覚があった。

私は濁った川や海が怖くて苦手だ。
家族と行ってもどこかその不快さを緊張しながら無視していた。

いま、目の前に広がる透明な水を湛えた川
こんな川で夏休みを過ごしたかったのだ。

それをいま、自分に叶えてあげている。

当時の私は知らなかったのだ。

こんな透明な川が現実にあること。
(だから夏休みはぼくの夏休みに没頭してた)
私はここまで透明な川じゃないと嫌だってこと。
綺麗な川のためなら私はどこまでもゆけること。

川に向かって愛でることばをかけながら
渓谷入り口へ向かう。

おひるは宝来荘で、アメゴの山賊焼き御膳。

アメゴ=アマゴ


アメゴの脂と味噌と山椒の葉っぱ。
この場所にこんなにも合う料理があるだろうか。

いつなのか分からないベストタイミング
(多分真昼)を逃さないよう
足早に水晶淵、砂防ダムに向かう。

水晶淵



岩を乗り越えた先、
そこには、足がそこから離れられなくなりそうな景色が広がっていた。

砂防ダム

一緒に見た名も知らぬ人たち
みんなこの景色が大好きで
はるばる来てしまった仲間のように思えた。

透明になりすぎた水は
水であることをやめて光の揺らぎになる。

帰り道、ここは!というスポットで泳ぐ。

生きた、動いている宝石。
その一つに、飛び込める、ひたれる幸せ!
(そう、宝石も大好きだった)


顔までの深さのところでも
自分のつま先の爪まではっきり見える透明度

この安心感たるや。

(でも大きなアブが飛んできて痛かったので
転びながらあわてて服をきた。ワァワァと甲高い声で叫んでる若い人に「はしゃぎすぎ。笑」と思っていたけど、彼ははしゃいでいなかった。自然の脅威にガチで叫んでいたのである。もちろん私もワァワァ叫んだ。
次はハッカ油をつけて行くか。ヒマシ油と混ぜたらとれないかしら。)

ふるふる小刻みに震えている川石も
その上に落ちる金色の網のような光も
わたしのお気に入りに加わった。

金の網


安居渓谷から高知駅の最終バスは13:09。
とても間に合わないし
(バスで行ったら、着く時間=出る時間)
これだけ沢山の車がいたら一台は乗せてくれる方がいるだろうと16時すぎまで川で過ごす

高知駅までは、弘瀬まで北九州からのご家族の車に乗せていただき、素晴らしいタイミングでバスに乗り継ぐことができた。駅には18時には着いた。

台風接近中、どう帰る?

飛行機は火曜まで満席
台風7号のために東京方面への新幹線はとまり
大阪行きのバスも翌日の夕方まで全滅。

高知駅から東京までの直行の夜行バスで帰ることに決めていた。

もちろん満席で予約はとれなかったが
でもそれ以外はなかった。
(18日の早朝の飛行機で北海道に行くため。17日の夜までに成田に着かなくてはいけない。無計画、ここに極まれり。)

わたしの席はあるのだ。

20:00発の東京行きバスが出て
(キャンセルなし満席)

20:20発のバスも出て
(キャンセルなし満席)

20:20発の最後のバスも出ようとしたとき
(キャンセルなし満席)
1人の男性客が出発時間になっても現れなかったので
その席で帰れることになった。

バスの中で目を瞑ると、
川のあの薄い青緑と
川底のくっきりとした石が
瞼の裏に鮮やかに浮かんだ。


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