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それが完璧じゃないからこそ、湧き上がる創造欲求

なんの音楽もきかないで、無音で歩いて帰りたい、そんな夜ってある?

この日私の帰り道はまさにそんな感じ。
書きとめたい思考やアイディア、やりたいことが浮かんできて、ただしずかに歩みを進めるのが楽しかった。

マッチングアプリでマッチした方がお洒落なカフェを教えてくれるというので、初めてきく名前の駅に行ってみた。

なるほどお洒落なカフェだった。
前日ふと食べたくなったチョコテリーヌ、
いやそんな名前で売ってなかったけど
なめらかな口どけのスイーツを味わい、
お話を伺い、街をぶらぶら。

そんなときに、まさに自分が作りたいと思っていたコンセプトの場所に出会った。
ふいに。

自分が作りたいと思ったら世界は既にあったりする。
ふわっと、ふいに、忘れた頃に現れたりする。

喜ばしいことに、この場所(お店)は私にとっての完璧、至高ではなかった。

私ならこうしたい
これはこんなデザインに
これはもっとこんなふうに…

私の妄想スイッチがはいる音がした。

そんな帰り道は、目は開いているけどずーっと遠くを見つめて、自分の思考以外の音は要らない。この溢れるアイディアを書き留めたい。

帰ったら机に直行し、時間を忘れて手帳に向かった。

そのアプリの人からは、その後連絡はない。
彼が居なかったら、きっと行くことのなかった駅。
思い出すことのなかった「やりたいこと。」

彼のように関係性が続かなくても、大切なインスピレーションをくれる出会いというものがある。
というか私の人間関係の8割はその場限りの一期一会だ。

彼は自分の家をデザインするなら、その要素に
「想起」を入れたいと言っていた。

想像がふくらむような。
小さいスケールから海のような壮大なものに連れて行ってくれるような、そんな仕掛けを。

彼自身、わたしにとって「想起」の人であった。
街角をのぞいてみる、小さなアクションから
忘れていた夢につながる、そんなしかけそのものだった。

こんなふうに、私のような人間はアプリをしている目的をしばしば忘れる。

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