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わたし、お母さんのお母さんを辞めました。

私の家はオープンである。

日本では「ぜひにうちに遊びに来てね~」と言われて、本気にして遊びに行っちゃったりすると「本当に来たの…」などと言われかねない、建前という文化がある。

我が家にはその文化はなく、「遊びに来てね」は「遊びに来てね」でしかない。そのため、母の友人や私の友人がしばしば訪ねて来てくれる。

そんなお客さんが目にするのは、バトルを繰り広げる母娘の姿…

「親に言いたいこと言えるっていいね…」

「喧嘩するほど仲がいい」

「親子のじゃれあい」

などなど、みなさん温かいお言葉をくださるものの、私はべつにこんな平和からほど遠い姿を見せたいわけではない。というか見せたくない。かなり。

基本的に私は、周りの人に優しくありたい派である。

明日死ぬかもしれないし。私も優しくされたいし。何をするかはその人の自由である。

ただ、母のこととなると、もう、全然だめなのである。

言葉のひとつひとつが気になり、訂正したくなる。(言語のIQだけ他のIQよりアンバランスにあるせいもある)

母は行動派なので、行動もしないくせに口うるさい私にイライラする。(当たり前)「細かいこといちいち揚げ足とらんでいい!」とか言う。

先日もうあまりにもイライラして、一緒にいるのが無理!!!となってしまった。(ただ、私は母と2人で助産院をしており、予定日近い妊婦さんがいるので、もうし~らない!あなたと離れたいからブラジル行くわ!とかはできない。)

頼りの姉に助けを求めてみるも「なんでそんなお母さんの言うことに反応しちゃうの。そんなことで泣くのやめてくんない?」と冷たい。

これは、自分で何とかするしかない。

そんな時に手掛かりになったのは信頼できる助産師さんのことば。「相手の言葉に反応するのは、自分の中に見つけてもらえるのを待ってる小さなわたしがいるから。」

そして、誰かが言っていた「あなたの感情の原因はあなたの中にある」。(アドラー?)


落書き帳にいらいらの原因を書いてみる。なぜ?

そしたら、わかった。

わたし、お母さんを守ってあげなきゃって思ってた。

母が高齢出産(39歳で私を出産)だったこともあり、私は幼児期、公園で母がブランコを押そうものなら、「おかあさんの手が折れる!やめて!」とハラハラして楽しめたもんじゃなかった。

おともだちの家に泊まりに行こうものなら、「私がいない間におかあさんが病気で死んじゃったらどうしよう…。」と不安に駆られて泣いていた。

9歳の時、一緒に沖縄に行った時には、わたしたち母娘のやりとりを見て、「どっちがお母さんか分かりませんね…。」と言われていた。

(病弱でか弱そうな母かと思われるかもしれないが、うちの母は若くてパワフルで、たぶん殺しても死なない。経済力のある山猿といったところである。)

また、女でひとつで4人の子供を育てており、助産院を開業して29年、経営者として頑張ってきたわけである。そこには、ひとり親であるために受ける偏見(「女が一人で成功するはずがない。危ない人たちととつながっているのではないか?」)や助産院を続けるための数知れない苦労があった。

そのなかで、私は「私がお母さんを守ってあげなきゃ」と無意識に思っていたようなのだ。

まわりの人から、お母さんが批判されないように。間違ったことを言って恥ずかしい思いをしないように。矛盾したことを言って怪訝に思われないように。関わる人を傷つけて、嫌われないように。妊婦さんとすれ違いがあって、イライラしたりしないように。より正しく伝わるように・・・

そう思って、言い方や細かい言葉の間違いを訂正したり、より誤解のないような言い方をアドバイスしてしまうのである。

向こうも素直に聞いてくれないものだから、イライラしてた。かなり。何気ない言葉も、全部私への攻撃のように感じるくらいには。


これ、完全にお母さんのお母さんしとるやん!

わたし娘なんですけど。笑

もうめんどくさ!

お母さんのお母さんするの、や~めた!


勝手に嫌われてていいよ♡ 嫌う人は嫌うし、好かれる人には好かれる。

思い込みで誰かを傷つけて、トラブってもいいよ♡ 人間にはめんどくさいことに巻き込まれる権利もある。

間違ったこと言って、恥かいてもいいよ♡ そんなあなたが可愛い。(うちの母は、超自信満々に「ズッキーニはナスとキュウリを掛け合わせたものだ」って言ってた。かぼちゃの仲間らしいよ♡)

お母さんを守ってあげたかったけど、人のことは守れないよね。

おかあさんが死んじゃうんじゃないかって、怖かったんだね、わたし。

大丈夫、人間はみんな死ぬ。それまでは勝手に生きてる。


そんなわけで、わたし、お母さんのお母さんをやめました。

ただ、歩くネタ帳みたいな人なので、ネタを集めるみたいなスタンスで、これからも生温かく見守っていきたいと思います♡



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