見出し画像

島日記 初日

はつひでなく、しょにちだ。
演劇や相撲、展覧会等の最初の日の「初日」のこと。

今日は今年初めてのポンカン収穫の日だが、昨日からの雨が残り、今にも降りそうな気配である。
準備は整ったが、行こうか行くまいか躊躇している。

所属していた農業支援センターは去年やめたので、今は農家から直接の依頼で作業に行く。
それも長年の付き合いだし、年齢もあるので融通がきくのだ。
センターはこちらからは断れない。

脚立に乗り、上を向いてハサミを使うので、雨が降ってなくても滴が残っていれば、びしょびしょになる。
今頃の雨は身体が冷える。
ポンカンは皮が柔らかく、繊細に扱わなければいけないし、裏側は黄色くなっていないので、タンカンよりも大変だ。


「よかったー」
今日はやらないと連絡がくる。

初日のことを書くつもりだった。
毎年やっているのだが、中断すると、その最初の日は緊張する。
以前は緊張と言っても、手順とか、道具の忘れ物はないかなどであったが、この歳になると、「大丈夫だろうか、できるだろうか」になる。

「案ずるよりは産むが易し」なのだが、これからはそうもいかなくなりそうだ。
免許返納が話題になっている。
じぶんの思っているより身体が衰えていることは確かだろう。
有終の美を飾ったほうがいいのか、もがいてやれるところまでやり抜くのか選択を迫られる。

民宿の仕事時間を増やしてほしいと言われていることもあり、農家の仕事をどうしょうかと考えている最中である。

野外の作業も捨てがたいのだ。
柔らかい日差しと風に包まれて、ミカンを収穫するのは、少々肩が痛くなっても愉しいものだ。
まだ皮も新鮮なミカンをふんだんに食べられるし。

「初日」から外れてしまっったようだ。
初めの日と、終幕が肝心だということで締めさせてもらおう。

ポインセチアが咲きはじめた
原種のハイビスカス
デュランタの実
黄菊がにぎやか

ちなみに、
劇場などを新築落成して、初興行を行う日のことは「杮落とし」(こけらおとし)という。
「柿」(かき)ではなく、市の字がつながっている「杮」だ。


今日も読んでくださってありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?