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たのしみは朝起きいでて

たのしみは朝起きいでて昨日まで なかりし花の咲ける見る時

たのしみは常に見られぬ鳥の来て 軒遠からぬ樹に鳴きしとき

うぁー誰かが私の気持ちを歌にしてくれている。
思ったことそのままの文章なのに「そうそう、私も」と共感する。
文語体なので調べもいいし、こんなふうに素直な文章を書けたらいいなと思う。

橘曙覧、名前は知っているが試験のために覚えたくらいだ。
幕末の国学者、歌人で、日常生活を詠んだ歌が多いという。
たのしみはというで出しの「独楽吟」を読んでいい気分になった。

たのしみはそぞろ読みゆく書の中に われとひとしき人をみし時

たのしみはいやなる人の来たりしが ながくもをらでかえりけるとき

たのしみはまれに魚煮て児ら皆が うましうましといひて食ふ時

「たのしみは〜時」が五十二首ある。
わかりやすい言葉で身辺の気持ちを詠む歌、もっと早く知りたかった。
「たのしみはそぞろ読みゆく書の中に われとひとしき人を見し時」
まさにこの短歌に会えたことがそうである。

日常の小さなたのしみを見つけることが、不安やよけいな心配を生まない秘訣だ。
最近は朝の柔らかな光を見るだけでたのしみを感じる。

花が少なくなった庭の今朝の、それでも小さなたのしみ。

野生のモモが根づいた
ハマユウが実に
つぼみほころぶ布袋さま
月桃も実に

雨や暑さの中でもひっそりと咲く花たち、たのしみをありがとう。

生き残っているクチナシ
露を飲んでいるシジミ
ハマユウにしがみついている昆虫

たのしみは朝に見まわる夏の庭
探せばいくらでもあるのだ、たのしみは。


今日も読んでくださってありがとうございます。

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