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もののあわれ

「もののあわれ」は日本人の情緒を表す言葉だと本居宣長はいう。
感じるほかに「もののあわれを知る」のが大切だとも。

「『あはれ』といふは、もと見るもの聞くもの触るる事に、心の感じていずる嘆息の声にて、今の俗言にも、『ああ』といひ、『はれ』といふ、これなり」(源氏物語玉のお櫛)

折々にいろいろなことを感じるほかに、それを認識し思いをめぐらせる、人の心を感じ、知ることがもののあわれを知ることだ。

江戸時代は源氏物語はその内容からあまり評価されなかった。
それを覆したのが本居宣長である。
そして小林秀雄が晩年、「本居宣長」を書く。

秋はとくにあわれを感じる季節だ。
月を見ても、葉の落ちた樹木も虫の声にも心が動く。
古い記憶が思い出されるような、しみじみとした感情が湧き上がってくる。

母はよく私に言った、
「あわれね、あわれな生き方をして!」と。
このあわれは「哀れ」の意味だ。
私はちっとも思ってないのに母にはそう映るのだろう。

あはれは、哀しい、可哀想など以外にも、深く心を惹かれることも含まれる。
嬉しい時も悲しいときも、「ああー」とため息がでる、これがあわれなのだ。
そういう感情が、何か書いてみたくなったり、物語が生まれるというのだ。

物語を読むのも、もののあはれを知ることだ。
少しづつ夜が長くなっている。
最近は随筆ばかり読んでいるから、面白い物語を、秋の夜長に読みたく思う。
「精霊たちの家」イザベル・アジェンデのチリを舞台にした物語を県立図書館に頼んでいる。
海外の物語からも、もののあはれを感じられるだろうか。

もののあはれというちょっと難しい言葉を、臆面もなく書いてしまった。
人それぞれのあはれがあるということで読んでほしい。

あはれを感じた虫
ストレリチアレギナエ
大型のストレリチアニコライ

あわれは感じないが、極楽鳥花(ストレリチア)が咲いていたので撮った。
白いのは以前に撮ったものだ。

風鳥(極楽鳥)に似ているので付けられた名前だ。
ストレリチアは学名である。
来た当初、普通に咲いているのを見て感嘆したが、風が強いのできれいな姿はなかなか見られない。
すぐ切り花にしたほうがよい。


今日も読んでくださってありがとうございます。



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