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『お仕事展をふりかえって。くるりっ。』

さて、なんだかはるか昔のことのような気がしますが
展示の感想を書くまでが展示ということで
ようやくお仕事展をくるりっとふりかえってみます。
とりあえず長いので時間があるときにでもどうぞ。

展示に関しては毎回自分の中での何かテーマを決めて
それを考えるために展示をしているようなものなのですが
今回はお仕事展ということで、「お仕事」とは何かということを
ずっと考えてました。

で「お仕事」に関していうと自分のことについては
外向けに書くことでもないし、
一般論としても結論としては、それぞれが自分にとって
正しいと思う道を歩んでいくしかないよね、
と常々思っているので外向けに書く気をいったんなくしたのですが(笑)
今回、若者にお仕事について聞かれたのに、うまく答えれなかったのと
今年も中学生の職場体験があるので、そのための頭の整理、そして
宿題を出されたので(笑)ちょっと書いてみます。

ということで今回の展示「お仕事」という枠の中で
大きくわけて「仕事」と「人」という2つのことについて
あらためて感じたことを書いていきます。

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■お仕事展をふりかえって(1)/『仕事』

さて「仕事」です。

イラストレーターはすごく大きくざっくりなくくりでいうと
・作家的なイラストレーター
・商業的なイラストレーター
がいて、ぼくは後者寄りなのですが
今回、お仕事展に展示していた
若者からお仕事について聞かれときに困ったのは
「自分の絵をどうやって売っていくか」という
前者の方が多かったのです。

なぜ困ったかといえば、自分の場合
「絵が好きで自分の絵で食っていきたい!」というのの延長線で
イラストレーターになったわけでなく
仕事として独立をするにあたり、身近で少しなんとかできそうなものが
絵を描いたりとかだったので、そのあたりを軸に
なんとかやってみようという感じでなったイラストレーターのため
後者の中でもはじっこのはじっこというのがはじまりで
少なくとも10年ほどはその考え方だったので、
作家的に売っていくという方法がわからないのです。

例えば、直接的に展示して「絵」の販売や・出版広告関連での展開など
色々な選択肢はあるんでしょうけど、生計を立てるために
どんな感じのアプローチをしていけばいいのか
やっていけばいいのかわからない。

こうして文章にすると絵の販売をのぞけば
自分も同じようなことをやっている感じなのですが
自分の場合は、多くは依頼者さんがつくりたいものありきで
その世界をつくることが仕事であり
絵を描くのはあくまでもその1部という感覚なので
結果的にはぼくの絵を描くことになるのですが
あまり絵描きの実感はなく
それで、どう答えていいのか正直よくわからんのです。

だから今までは、なかなかむずかしーよね、くらいしか
言えなかったのですが(笑)

ただ、今回あらためて考えていて
もう少し引いて「仕事」ということで考えると、

例えば、
絵を描き展示販売をして、それを見にきたお客さんが
欲しいと思って買って家に飾るということも、

こんな企画で本を作りたいと思う人がいて、
その本にあった絵の人を探して依頼して、
そこで話合ったりアイデア出したりしてつくっていき
ひとつの本を完成させるということも、

何かを必要とする人と
その何かをつくる人との間で
その価値を理解してくれてお金が発生する。
という根底は、同じなのかなあと。

なので、作家的な人の場合は
よりよい絵を描く(その価値を高めていくこと)はもちろんなのだけれども
その価値を理解してくれる人・場所(市場)を探していくことが
なにより大事なんだろうなあと。
理解というのは、すごいーかわいいー♪だけでなく
そこにきちんとお金を出して認めてくれるという意味です。
現実的に仕事という意味では
食えないことにはどうしようもないですからね。
まあ、漠然とした話で具体的にはこれ以上出てこないので
何の参考にもならんので(笑)作家的な話はこの辺にて。

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さて、一方の商業的なイラストレーターについては
一緒に展示したちこ*ちゃんに相談とかされて
絵について、具体的にじゃこうしたらいいかもねーなんて
最近話してたりしたんですが、

展示に会いにきてくれた心の友のイラストレーター山下光恵さんと
3人で話していたときに
「あぁ、それは絵の問題じゃなくビジネスの問題だね」と
さらりと言われてすごくハッとしたんです。

自分の中では、絵について話したつもりだったんだけど
この市場だと、こういう感じがいいんじゃないという
ビジネスの話をしてたのかぁ。と。

どうしても絵を描いている以上
もちろん作家的でなくとも、よりよい絵を描いていく宿命は
あるので、ついついいい絵を描くためにがんばらなくちゃって
机に向かって手を動かすことに力を入れてしまいがちだけど
商業イラストレーターの場合は、
やはりビジネスとして経営するという視点を
より意識するといいんだろうなってあらためて思いました。

そういう意味では
「手を動かしつつ、足も動かす」というのが
大事なのかもしれません。

でもってそうなると、やっぱり、作家的でも商業的でも
仕事である以上は結論は同じだなあ、と。
つまり棒グラフみたいなものがあるとして
ぼくらが売るべきもののその成分が
【絵+なにか+なにか+なにか+なにか】みたいな感じで
自分よりの絵の比重が大きいと作家的にみえて、
そうじゃないと商業的にみえたりするけど
実際は明確なくくりなんてあるもんじゃないので
それぞれが自分の資質および
自分が大切にしたいことと向き合いながら
絵も含めた自分なりのものを売っていくことが
ぼくらの「仕事」なんだろうなって思いました。

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■お仕事展をふりかえって(2)/『人』

さて「人」です。

特にフリーランスともなると一番長く向かい合ってるのは
パソコンくんだったりして日々孤独な作業なんですが
あたりまえだけど、「仕事」はひとりではできません。

お仕事展では
今まで仕事でつくった本を並べていたのですが
その1冊1冊の「本を作る」というひとつの円の中には
編集さんがいたり、デザイナーさんがいたり、著者さんがいたり
印刷屋さんがいたり、営業さんがいたり、本屋さんがいたり
カメラマンさんがいたりとか色々な人がいます。

直接のやりとりは編集さんの場合がほとんどではありますが
でもひとつのプロジェクトをみんなでつくりあげる
というのが、ぼくはやっぱりすごく好きだなあって
今回、完成された本や商品をみてあらためておもいました。

それは、ときには自分が最初に思ったものを
くつがえされることもあったりもするけれど
ただ、だからこそ生まれてくるものもあり
なんというか自分の中だけは完結しないおもしろさ。
人が重なりあうことで生まれてくるもののおもしろさ。
そういうものがやっぱり好きなんです。

また、今回のヨリドリ+という展示は
PEACESUMMERというイベントの流れを組むイベントで
それに10年ほど前に出ていたのですが、今回ひさしぶりに
帰ってきて当時そこにいたみなさんとひさしぶりに会えたのも
すごくうれしかったですし、今回こういう機会で
はじめましてで色んな人と出会いお話できたのもうれしかった。
今回のには出ていなかったけれど、PEACESUMMERからの
10年以上付き合いのあるみんなもそれぞれ自分の道をがんばって
歩んでいて、そんな仲間がいることもうれしいです。

そんなこんなで、日々は孤独な作業だったりするけど
ふと顔をあげたり、今回みたいにふらりと外に出たりすると
あらためて今回のイベントに限らず、いろんな「人」の存在を感じて
刺激になったり、元気をもらったり、笑ったり、時には嫉妬したりもしながら
それが仕事をしていく上でもやっぱりチカラになるんだなぁと
あらためて思いました。

というわけで関わってくれているみなさん
いつも本当にありがとうございます。
そして、これからもよろしくおねがいします(^-^)
20171029 森のくじら

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