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第51話 手をふって

屋久島から鹿児島に向かう飛行機の窓から外を見ると、
JALの整備士さん達が並んで手を振ってくれている。
冬の冷たい雨の中にも関わらず、寒いだろうなと思いながらも、嬉しくなる。
手を振って見送られるのは、人を嬉しくウキウキした気持ちにさせる。
電車の車窓から外を眺めていると、遠くで手を振っている人がいる。
待合せの場所で、相手を探していて見つかるとお互い手を振ってしまう。
別れの時も手を振ってしまう。
船のデッキから出航の際に多くの人が手を振る。
岸壁でも、多くの人が手を振っている。
知り合いがいるわけでなくても、思わず手を振ってしまう。
振りながら、デッキからも振り返されると何故か嬉しくなってしまう。
気をつけていってらっしゃい、行ってきますという会話を
言葉を使わずしているのだろう。

何故人は手を振るのだろうか?
通り過ぎて行く人に何故手を振るのだろうか?
そう言えば、うちの宿に泊まりに来てくれた人が出立の際に、
時間が合えばメイさんと共々車が見えなくなるまで手を振って見送る。
来てくれてありがとう、楽しそうでよかった、気をつけて帰ってね
と思いながら手を振るのである。
そこに何か一期一会のゆるい繋がりがあるように思える。
手を振るとなぜか嬉しくなる。
振られているのを見ると少し気恥ずかしいけど嬉しくなる。
手を頭の上まで挙げて大きく振る人、胸の辺りで小さく振る人、様々だけど、
手を振ること、振られる事は嬉しいことなのは確かだ。

手を振ることは、言葉以上に多くを語り伝えることができるようだ。
会えて嬉しい
さようなら 寂しいよ
気をつけてね
元気でね
よく来てくれたね
ありがとう
世界中で多くの人達が、手を振りながら語っている。
さぁ、僕らも手を振ろう。
みんなが幸せでありますように。


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