宇宙人と音楽

宇宙人は地球人の音楽に共感しないのかもしれないな、とふと思ってツイートしました。なんてことない思いつきだったけどちょっと面白かったのでいろいろ考えたのですがせっかく考えたので書いておこうと思います。

自然にあるもの

だいたいの芸術は自然にあるものかありそうなもので作られているように思います。
風景画や人物画はもちろん、宗教画の天使だって人間や羽根はありものですし。
彫刻もそう。ダリのぐにゃぐにゃの時計だって、「ぐにゃぐにゃ」や「時計」はありものです。

ファンタジー小説だって、中世風の王国もお城ありものですし、ドラゴンだってトカゲとかの連想でしょうし、ケンタウロスは騎馬民族がモデルみたいな話も何かで見たような。

例外は抽象画とかでしょうか。
あまり芸術に詳しくないので、もしかしたら他にもっとあるのかもしれません。
ダンスもそうかな。人間が自然にはしない動きをしますね。

音楽

音楽の場合、自然にメロディや和音が鳴るということはない。波の音も風の音も、自然のあらゆる物音が作られた音楽のように鳴ったりしない。

どこかで見た綺麗な景色を再現するために絵を書くのは分かるし、かっこいい人間を立体的に作るために彫刻を作るのも分かるが、どこにも流れていない音を作るために大勢で紐を棒でこすったり筒に息を吹き込んだりするのは、よく考えると、全然意味がわからない。すごい。

仮に宇宙人がいたとして、自分の星の風景を絵に書くのは分かるし、かっこいい宇宙人を立体的に作るために彫刻を作るのも分かるが、音楽は地球人と似ても似つかないものになるんじゃないか。そんなことをふと思った。


宇宙人が音楽で共感してくれなさそうな理由

先に宇宙人が音楽で共感してくれなそうなセンから考えよう。
いっぱいある。

五感

人間には五感がある。加えて、重力なんかも感知できる。
視覚がなければ絵画はないだろうし、聴覚がなければ音楽はなさそうだ。
触覚や嗅覚、味覚、重力感覚に訴える芸術があっても良さそうだけど、ふかふかのソファーとかアロマとか料理とかブランコ・ジェットコースターなんかが相当するんだろうか。

まず聴覚があるかどうかが分からない。
地球上の動物でさえ、例えば蛇には耳がない。蛇使いは笛ではなく、膝とかの動きで蛇を操っている。(耳にあたる器官は残っているらしい。自分の体に伝わった地面や草の振動は分かるそうだ。遠くの危険よりも身近な危機に対応しているんだろう)
蛇が進化した人類がいたら、音楽には興味がなさそうだ。

深海魚は視覚が退化しているから、深海魚から進化した人類は絵画を楽しまなさそう。こういう人達の間ではその分、べつの芸術が発達するんだろう。

宇宙人が音楽や芸術で地球人と共感してくれる可能性

じゃあ可能性は低いのかなと思いつつ、一方で逆の考え方も浮かぶ。

収斂(しゅうれん)進化という言葉があるらしい。お互いに影響がないはずの動物が、似たような進化をしていることをいう。
例えばイカの目の仕組みは人間と似ているそうだ。当然、イカと人間はめちゃくちゃ原始生物な段階で進化が枝分かれしているから互いに影響しているはずもない。
この他、サメとイルカは魚類と哺乳類で全然違うのに、水中生活に適応した結果、似たようなフォルムに落ち着いている。
コウモリと鳥と昆虫なんかも、羽根で空を飛ぶ仕組みは同じだ。プロペラで飛ぶ生き物がいても良さそうなものなのに。

収斂進化というものがあるのなら、宇宙人もなんだかんだで、言語はやっぱり視覚や聴覚が便利だろうし、光や音の伝わり方は早さと距離がすごいので、地球人と似たような感覚器官をもっている可能性はある。

聴覚でいうと、耳がない昆虫も空気の振動を感知する器官がある種が多いそうだ。
また、植物にも光、空気の振動、空気中の化学物質などを感知することができるらしい。生き物一般にとって、光や音は重要なんだろう。


音楽にも共感してくれるかも知れない。

では、聴覚さえありそうならばこっちのものなのではないか。

「ドレミファソラシド」の音階は数学的に定義されている。

高いドの周波数は低いドの2倍。
ギターとかの弦楽器だと弦の震える範囲が半分になるように押弦すると、1オクターブ上の同じ音になる。
ソの周波数はドの3/2倍。レはソの3/2倍。ラはレの3/2倍
こんな感じでドを11回、3/2倍するとファの音になって、さらに3/2倍すると、7オクターブ上のドに戻ってくる。

(実際にはちょっと誤差がある。2も3も素数なので、何乗しても同じ数字には永久にならない。あと平均律とかの説明は省く。詳しくないですし。知りたいかたがおられたら面白いので調べてみてください。
それから、数学的に定義されているその前提にはもちろん人間の感覚があって、周波数が2倍の音はきれいに混じりあうという経験則があってのことだと思う。その次にきれいにまじりあうのが3倍の音だったので、こんな感じで決めていったんでしょう、たぶん)

こんな感じで基準の音と相性がいい12音を選抜したのがピアノなんかで見る白鍵+黒鍵の12音になっている。

これを考えたのは古代ギリシャのピタゴラスだというのが有名だが、古代中国でも三分損益法といって同じく1.5倍を繰り返して音階を作っていたそうだ。互いの影響なく独立して、同じことを考えていた。

収斂進化に似ている。数学は普遍的なものだから、そういうこともあるんだろう。
ギリシャと中国で発生したんだから遠い宇宙で発生してもおかしくない。宇宙人によっては似たような仕組みの音楽になっているかも知れない。
宇宙でも忘年会でカラオケに付き合わされる宇宙人とか、隣の家の宇宙人が歌ってうるさいとかがあるのかもしれない。

いずれ宇宙人が地球にやってきたら、どんな音楽を楽しんでいるのかも興味深いですね。

(ちなみに、1オクターブが12音なのは西洋音楽が勝手にそうしているのが世界的に普及しているだけで、いろんな国のいろんな音階があります。なので宇宙人も12音階でやってるとはやっぱり限りません。でもだからこそ興味深いなあと思います)

以下、全記事おまけ部分有料にすることにしているだけのものなので買わないで大丈夫です。

〇おまけ

話が煩雑になるので本編では避けましたが、宇宙人に地球人にはない感覚器官があれば、それに相当する芸術があるはず。ただ、これが全く想像がつかない。人間の感覚器官にないものは、まず概念がない。

なので、AIが人間みたいな人格を備えるかも、というSFは難しいと思っている。例えばいま僕がタイピングしているノートパソコンには、視覚と聴覚はあるが味覚や嗅覚、触覚はない。

インプットされるものの質が違いすぎる。

人間の人間性にはおそらく、こういう感覚器官に由来するものが多いはずなので、AIが人格を持つことがあっても人間みたいな性格になることはまずないんじゃないかと思った。

と、ここまで書いて、人間の体みたいな外付けデバイスをUSBでつなげば、インプットすることはできるなと思った。そういうことができればAIが人間性を備えるということはあるのかも知れない。

くわえて言えば、毎日何時間もこのPCに首っ引きになっている僕はもしかしたら指先で接続された、このPCの外付けデバイスなのかもしれない。

変なオチですが眠いので、おまけお終い。

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