優しいネタ?

M-1面白かったですね。ミルクボーイさんは昔から見ていたので嬉しいです。歴代優勝者で、個人的な嬉しさでは一番です。

昔からあの形で変わっていないと思っていましたが、ここの所、「オカンが言うには」というかたちに統一していたそうですね。言われてみれば納得で、駒場さんが相反する情報を出すよりも説得力がありますし、内海さんも駒場さんの言うことよりもお母さんが言うことのほうが尊重するモチベーションがありますし何気ないようでものすごい発明ですね。すごい。

ぺこぱさんのツッコミは、普通の漫才をフリにしてひっくり返したものなので、本当は「いやツッコまへんのかい」と言ってくれる3人目のツッコミが必要なはずで、その3人目のツッコミを観客にゆだねているように思います。ツッコまないことが面白いというのは、ツッコミを入れるのが普通だという常識が共有されてこそです。加えて、優しいこと自体でウケているというより、その擁護の仕方が独特な角度なほうがウケている。

個人的には3人目のツッコミが必要なネタが目だったように思います。ミルクボーイのネタも、普通の会話なら「そんなたべものは存在しない」もしくは「お前のオカンなんやねん」と言うのが普通ですが、そういうセリフは客に委ねてしまっています。和牛さんもそうです。「別の不動産屋行けよ」「”いいね”やあらへん」と、客が3人目になって突っ込むことで成立している。

「突っ込んでしまうと話が常識のラインまで戻ってしまうので、根本的な部分にはツッコまずに乗っかる」という仕組みのものは、やっぱり自動的にある程度優しくなっちゃうんじゃないでしょうか。

こういうネタにはリスクもあって、ツッコミが人間としての自然な行動をしてくれないのでご都合主義的に見えると一気に冷めてしまいそう。昔のM-1に多かったような、観客の漫才への理解を前提にしたシステムが多かったというのが印象的でした。良くも悪くもマニアックになったという事だと思います。こんなにマニアックな漫才目白押しの回が、過去最高と言われるくらいの評価なのは、いちお笑い好きとしてとても嬉しいです。今後も、オーソドックスなものから風変りなものへ、流れが揺れては戻ることを繰り返すものなのかもしれません。

あと、ツービートでたけしさんが毒を吐いてきよしさんが「よしなさい」とたしなめるのも優しいネタではないけど優しいツッコミとは言えそう。優しいネタが好まれるというなら、この仕組みでもっとツッコミに比重を置いたような漫才とか作れそう。

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