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水と大気中のCO2から人工石油を作り出す技術が公開された。

1. 水+二酸化炭素でラジカル水を作り、ラジカル水+種油で人工石油を作る。
1月16日、大阪市でガソリンや軽油のような燃焼力を持ちながら、水と二酸化炭素から作り出せるという「人工石油」を使った実験が始まった。
 水+二酸化炭素でラジカル水を作り、ラジカル水+種油で人工石油を作る仕組みで、製造装置は月額50万円~(予定)で貸し出すサブスク方式を採用。ひと月休まず作り続ければ、1リッター=11円あまりで製造できるそうだ。
 種油(軽油、重油、灯油など)と同じ組成の合成燃料を継続的に生成することができる。
IT Techの今中忠行氏は京大や立命館大の教授職を経歴しており、人工石油の製造特許も取得している。
 実証映像を見てみるとディーゼル発電機を回すだけの品質の燃料ができているようである。
ガソリンの生成は実現していない模様。
灯油が生成できるのは大きい。
発電機に使える品質なので、当然暖房用の灯油も作れるのだろう。
自動車のディーゼルエンジンを長時間運用できる品質ができると文字通り革命的なのだが。

2.化学合成の仕組み
140の種油と100のラジカル水から、150の合成油と90の水が出来るという説明が行われた。1回の処理で増える合成燃料は種油の10%未満ということになる。

この技術の要諦は本来は電気分解を用いて水素を取り出すところを、逆浸透膜とUVライトを用いる点にあるようだ。
ラジカル水を含んだ水素と二酸化炭素の結合を常温常圧下で行えるとしている。使用する電力はポンプを動かす電気動力だけのようだ。
 しかし、一月50万円で合成燃料装置をレンタルして本当に1リットル10円台で合成燃料が作れるのだろうか?


3.水とCO2から作る──ポルシェがこだわり抜いた合成燃料、試験生産が始まる
2022年12月22日
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/12/co2-12.php
<エンジン車と既存の給油施設が使えるCO2排出実質ゼロのeフューエルでEVを補完する技術を目指す>
『eフューエルは、水を電気分解して作ったグリーン水素と大気中から分離したCO2で合成メタノールを作り、それをさらに加工した燃料で、ガソリン車とディーゼル車に使用できる。燃やせばCO2が発生するが、このCO2は元々大気中から取り込んだものなので、CO2排出量は実質ゼロとなる。また製造工程で使用される電力は、全て風力と太陽光発電で賄われる。』
エネオスもポルシェと同じような方式で合成燃料を作るようだ。
ただ、この方式では大量の電気を必要とするので、廉価に燃料を作るのは難しいだろう。

4.廉価に燃料が作り出せれば人類はエネルギー危機から解放される。
 仙台のベンチャー企業と今中氏が取り組んでいる今回の合成燃料生成法が広く用いられるようになれば、原理的には廉価に常温で液体の燃料を廉価に得ることができる。
「常温で液体」ということが重要なのである。
天然ガスや水素のように常温で気体、極低温で液体というエネルギーは保管や運用が困難であり、費用も高くつく。
常温で液体の燃料なら、それこそポリタンクに入れて持ち運べる。
暖房用の灯油を得るために高い費用を支払う必要がなくなる。

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