こぼれ落ちた感情は。
さらさらと、手のひらからこぼれていく。言葉にする端から、捉えきれない細かな想いが。
砂みたいだな、と思う。浜辺で掬った砂が、こぼれ落ちていくように。小さな想いが気づかないところに残っていて、じゃりじゃりするのも、靴の中で取りきれなかった砂粒みたいだ。
形に残しておきたい、と思って作った砂のお城も何時かは崩れる。人の気持ちも何時かは変わる。あの日書いたあの言葉も、見返すと共感できなかったり。
こぼれてしまった想いは、もうどこに行ったのかもわからない。それは、どうでも良いような事のような気もするし、とても大切なことのような気もする。
自分の気持ちですら、すべてを言葉になんかできやしない。自分の言葉にある、小さな違和感がなくなる日は、きっと来ない。
それでも、言葉を紡ぐことで、何かが伝われば。
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