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③心の水分補給本

この星に消灯時間がおとずれるときも手を繋いでいましょうね

からだにはいのちがひとつ入ってて水と食事を求めたりする

ばらばらですきなものばかりありすぎてああいっそのことぜんぶのみこんでしまいたい

本文より

【あらすじでもなんでもない前書き】
短歌集です。しかもベスト歌集みたいです。

【もりまゆ的推し語り】
 「んああ心が荒んでおる!!美しい言葉に触れたい!でも読む時間あんまりない!でも心の水分補給したい!!」と思った時によくこの短歌集を読んでいます。
 もう何度も読んでいるので15分の電車タイムでさらりと読み終えてしまうのですが、透明なグラスに入ったひんやりとしたきれいな水を、ごくごくと飲んでいるような気持ちになれます。

 またこの作者さん、食べ物の描写が多いんです。数えてはおりませんが、2ページに1個ぐらいの割合で出てきている気がします。

まばゆいね、まばゆいねって宇宙服きたままはじきあう青林檎

ゆでたまごの拷問器具を湯へひたしきれいなサンドウィッチをつくる

いつかきっとただしく生きて菜の花の和え物などをいただきましょう

 生きることの美しさや愛おしさ、かなしさや儚さを全部まるっと飲み込んで、優しい眼差しで受け止めてくれるこの歌集が大好きです。視点の変換や言葉選びに驚かされるばかりです。
 多くを語ろうとすると引用ばかりになってしまいそうですので、ビビッときたらぜひ読んでみてほしいです。

 3〜4年前、本書の最後の方にある「無題」という詩でこの作者さんに惚れ、この本を買うことを決めました。社会人になってから一番読み返している本かもしれません。

あなたの心に残った一句もぜひ知りたいです。

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