高市早苗 自民党奈良県連会長による奈良県知事選に関する経緯説明

奈良県知事選挙に関して「自民党分裂」の旨を報道するメディアの記事に、あまりにも誤情報が多い上、私の所には取材にも来られないので、今まで我慢していましたが、正当な手続きを経て自民党奈良県連が推薦を決めた平木しょう氏に迷惑がかかりますので、順次、反論させて頂くことにしました。

「奈良県連は、独自に実施した世論調査の結果をもって平木氏の支援を決めた」「県連が実施したという世論調査の結果を党本部は認識しておらず、世論調査の信憑性にも疑いを抱いている」(自民党関係者)との報道も。世論調査は自民党本部が10月22日~23日に実施したもので、県連実施は誤報。

10月に「荒井知事が立候補するなら、維新が『多選批判』を掲げて候補者を立てるようだ」という噂が流れ、自民党本部が10月22日~23日に世論調査を実施してくれました。荒井知事・維新候補・共産党候補の3択の調査でした。平木しょう氏が立候補を決意する前の調査です。

10月に党本部が実施した世論調査では、維新は候補者未定でも荒井知事に2桁台のリード。16年間の荒井県政を「評価しない」が過半数。奈良県選出自民党国会議員団の思いは「私達が選挙の度に応援し、長年の激務をこなされた荒井知事に、落選という形では終わって欲しくない」というものでした。

党本部の厳しい世論調査結果を受けて、奈良県選出自民党国会議員で話し合い、荒井知事には「名誉の勇退」をお勧めした方が良いという結論になりました。知事から見ると「若造」である私からお話するのは失礼なので、私より年配の県議会議長が、党本部の調査結果を携えて知事に会って下さいました。

荒井知事は県議会議長の説得には応じられなかったそうです。維新相手の厳しい選挙戦でも「必要なら出馬する」と仰る若い首長も居り、奈良県選出自民党国会議員団は、私達が応援してきた知事が多選批判に晒されたり落選で引退される事態を回避する為、新人候補者を検討するべきとの結論に達しました。

「もともと党本部から、知事の多選はだめだというお達しがあった。そこで高市先生が、総務相時代に秘書官だった平木氏を引っ張ってきた」(県連幹部)という報道も誤報です。私が平木しょう氏に出馬依頼をしたという事実はありません。もっと総務省で活躍し続けて欲しかった人材ですから。

平木しょう氏の名誉の為に書きますが、彼は自らの故郷である奈良県の知事選出馬を決断した後に、過去に上司だった私に挨拶に来ました。「念願だった自治財政局の課長になれたのに、退官は勿体ない」「自民党も含めて、どの党も推薦しないかもしれないよ」と、出馬を思い止まるよう説得した程でした。

総務省の幹部も「平木君は総務省のエースです。局長コースに乗っているのに、選挙に出るなんて勿体ない」と言っておられましたが、12月頭に平木氏は退官し、完全に退路を断って奈良県に帰って来てしまいました。早々に記者会見を行い、自民党を含む各政党に推薦依頼を出しました。

平木氏の出馬会見後の12月議会で、県議が荒井知事に出馬の意向を質問されましたが、知事は熟慮する旨の答弁で出馬表明はされませんでした。「着手した仕事を後進に委ね、名誉ある勇退をされるのだろう」と、東京に居た奈良県選出自民党国会議員団は安心しました。知事を応援してきたからこそです。

年明けに突然、荒井知事が出馬会見、自民党に推薦依頼を提出されました。党本部のルール通り「知事推薦は3期まで」にするべきですが、4期目の前回選挙では「やり残した仕事があり、あと1期」という御本人の意向もあり、他の候補も居なかったことから、前執行部が例外的に推薦を決めたと聞きました。

奈良県連の平木氏推薦決定について「選対委員会で採決もしていないそうです」(党関係者)と、手続きに瑕疵があった旨の報道。選対委員会では平木氏を推す委員が圧倒的多数。投票箱を用意したのに、「県連会長一任」の声に皆が了承。票数が報じられると知事に恥をかかせるという「武士の情け」でした。

権限が集中しがちな知事について、自民党は、多選(4期以上)の候補者には党本部推薦を出しません。荒井知事は多選ですから、党本部推薦は出せません。1月15日に正当な手続きを経て奈良県連推薦を決定した新人の平木しょう氏にも未だ党本部推薦が出ない理由は不明です。

自民党本部推薦が遅れて困るのは、他党との関係です。公明党には県本部推薦という制度が無く、町村議会議員まで全て党本部推薦なのだそうです。公明党奈良県本部は、自民党本部より先に推薦するわけにもいかないと気を遣って待って下さっています。

立憲民主党奈良県連(馬淵澄夫会長)は、平木しょう氏の「支持」を決定。「子育て負担の軽減」や「教育への投資拡大」など、県連と平木氏の基本政策が一致したことを理由に挙げておられました。荒井知事を推薦しない理由は「多選」とのことでした。

平木しょう氏の早期の自民党本部推薦を求めて、奈良県からは、幹事長はじめ県連役員、市長会長、町村会長、議会議長会長、県議会議長、党友好団体代表など多数の方々が度々上京しては、茂木幹事長森山選対委員長を訪問して下さっています。

最新の党本部世論調査でも、維新、平木しょう氏、荒井知事、共産党の順。平木氏と知事の1本化をしない私を批判する報道も多々拝見しました。知事には面会を申し込みましたが、拒否されています。立候補の権利は保障されていますので、奈良県の未来を誰に託すのかは知事のご判断です。

何故か自民党本部推薦は未だ出ませんが、元々、「自分の身一つでも、故郷の為に働きたい」と心を定めて総務省を退職した平木しょう氏。毎日、早朝から駅頭演説や地域廻りに、明るく元気に励んでいる様子。立派だと思います。

*2023年2月27日 高市早苗 氏のツイートより


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