2021年読んだ本
毎年これを振り返っているので今年もやります。昨年はこんな感じでした。
正規表現技術入門――最新エンジン実装と理論的背景
正規表現はこれまでよく理解していないまま雰囲気で書いていたので、この辺りでちゃんと理解しようと思って読んだ本。
正規表現の初歩の解説から入って、VM型/DFA型といった正規表現の実装の解説や、Rubyの正規表現エンジン(鬼雲)の解説、理論/数学的背景といったところまで解説されていてボリューム満点でした。
というか読み始めるまで著者の一人が鬼雲の作者だと知らなかったので、Rubyの正規表現エンジンの実装の解説がガッツリされていてなんだかお得な気持ちに。
数学的背景についてはやはりあまり理解できなかったので、この辺を理解できるようになるのが40歳までの目標だな〜。
フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術
別に立て直さないといけない部下と職場なんてないんですが、とはいえフィードバックを行わないといけない立場になりつつあり、そもそもフィードバックってどうやったらいいんだと思って手にとった本。
要約すると雰囲気や主観じゃなくてちゃんとファクトをとってそれに基づいて適切なタイミングでフィードバックをしなさい、みたいな話だと記憶しており、この「ちゃんとファクトに基づいてフィードバックする」というのがめちゃくちゃ大事だなと思い、これは実践していきたいなあと思った次第です。
プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける
プロダクトマネジメントにソフトウェアエンジニアとしてどう関わっていけばいいかと思って読んだ本。
アウトプットではなくアウトカムに注目しろ、みたいな話で、エンジニアとしては言われたものをただ作ってリリースするだけではビルドトラップにハマるので、ちゃんと会社とプロダクトのビジョンを理解し、達成すべき目標に対してどのように貢献できるか考える、想定していた方法よりもいい方法がエンジニア観点から見つかるならそれを積極的に提案する、みたいな理解を私はしました。
この本以降、会社や事業としてどの方向性に行きたいのか、なぜそうしたいのか、というのをより意識するようになって、仕事がより楽しくなった感じがあります。
モノリスからマイクロサービスへ ―モノリスを進化させる実践移行ガイド
タイトルからして面白そうなので読んだ本。
タイトルとは裏腹に「それほんまにマイクロサービス化するべきなんか?モノリスの方がいいことも多々あるよ?」みたいなところから始まって、実際にモノリスからマイクロサービスに移行するにあたってのかなり実践的な方法を何パターンも紹介している。
個人的には紹介されてるパターンはモノリスからマイクロサービスだけでなく、多くの技術的負債に対して普遍的に適用できるパターンだと思っていて、実際に社のプロダクトに対してもこのパターンを適用してリファクタリングしたこともあったので、マイクロサービスを採用していないプロダクトでもすぐに実践できる知見が書いてある良書だと思いました。
スクラム実践者が知るべき97のこと
スクラムに関する多くのエッセイがテーマ別にまとめられている本。
スクラムやってると悩ましいことがよく発生すると思うんですが、そういうときに近しいテーマの短いエッセイを読む、という読み方ができる、手元に置いておくと何かと重宝する本だと思いました。
HIGH OUTPUT MANAGEMENT
インテル元CEOのアンディ・グローブがマネジメントについてあれこれ書いてくれる本。
面白かったのが、「マネージャーの仕事で情報収集は重要なので、ミーティングが多いのは問題ない。むしろマネージャーの主な仕事がミーティングと言える。問題なのは突発的なミーティングが多くなっているときだ。」みたいなことが書いてあったとこですね。マネージャーになるとミーティングが増えて辛くなりがちと思うんですが、アンディ・グローブがまあそんな気にせんでええんやで、と言ってくれているのは心強いですね。
おそらくつらつらと心がけていたことを書いた本だと思うんですが、それでもテーマが経営学部で学ぶようなテーマに収束していってて、成果を出した人の思想はある程度収束していくものなのかなあとか読みながら思っていました。
LeanとDevOpsの科学[Accelerate] テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する
トレードオフの関係だと思われていたデリバリのスピードとソフトウェアの品質が実はトレードオフの関係ではない、ということをアカデミックな反証可能な形で提示されたという本。
この本で提示されたプラクティスは無条件でチームの開発プロセスに取り入れていて、特にトランクベースの開発はかなり効いた感覚があります。
texta.fm でこの本について話しているエピソードがあって、めちゃくちゃいいので是非これと合わせて読んでほしい本です。
アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
これは2009年の本で、古いのと分厚いので敬遠していたのですが、2021年読んで良かった本ナンバー1でした。
スクラムとか採用していると悩ましいことが多々あると思うのですが、それらの悩みの多くに示唆をくれる本です。実際この本を読んで以降めちゃくちゃ仕事やりやすくなった感覚があります。
ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方
普段働いていて当たり前だと感じていることが多く書いてあるなぁと思いながら読んでたんですが、その後実は弊社がほとんどユニコーン企業になっていたことがわかったので、たぶんユニコーン企業のひみつは詰まってるんだと思います。
初めてのGraphQL ―Webサービスを作って学ぶ新世代API
社でGraphQLを利用しているプロダクトに異動になったので一生懸命読みました。
「超」入門 失敗の本質
社で尊敬している方々がこぞっておすすめしていたので読んだ本。
追うべき指標を決めずに戦いを進めて意味のない勝利を積み重ねた、とかやることになってる空気があるのでやる、とかプロダクト開発においてもあるあるな事例がたくさん書いてあって、アジャイルとかプロダクトマネジメントの文脈でも参考になる示唆がたくさん詰まっている良本でした。
良質なKPIを設定するモチベーションが湧くので仕事も楽しくなりました。
ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考
会社のことをもっと知りたくなったので読んだ本。
ただ決算書の読み方が書いてあるのではなく、決算書はどう読んでいくと良いか、どういう情報が読み取れるか、ということが解説してあり、それから一般的な経営戦略についてつなげていく構成になっています。
これまで何度か決算書を読めるようになろうとしては挫折してきたのですが、この本のおかげでようやくどこをどう読んでいけばいいのかうっすらとわかるようになりました。
経営学部時代にこれ読めていると、簿記と経営戦略論が単元として繋がるのでより勉強が面白くなっていただろうなと思うので、大学の副読本としても良いのではと思います。
プログラマのためのSQL 第4版 すべてを知り尽くしたいあなたに
ISUCONに向けてSQL力を高めようとして読んだ本。
なんですが、これは正直挫折してしまいました。SQL力が全然足りなかった。
達人に学ぶSQL徹底指南書 第2版 初級者で終わりたくないあなたへ
ということで読み直したのがこちら。
レベル感としてはちょうど良くて、これまで複雑なクエリを扱うような業務をしてこなかった私にとってはSQL力を引き上げてくれる本でした。
ちなみに、この本のおかげでISUCON当日はすべてのものが釘に見えるハンマー野郎になってしまい、不要なクエリのチューニングを連発し予選敗退しました。
はじめて学ぶソフトウェアのテスト技法
CTOがおすすめしていたので読んだ本。
ソフトウェア開発者としてソフトウェアテストの技法を知っていると、テストコードを書く際はもちろん、設計や見積もりなど様々な場面で良い影響を与えてくれるなということを再認識しました。
ちなみにこの本に書いてあることは結構知っていることが多くて、どこで学んだんだっけと思ってたんですが、多分情報処理技術者試験だと気づき、あれやっぱ勉強しておいて損はないなと思うなどしました。
EMPOWERED 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
いいプロダクトを作るにはエンジニアがどれだけ自発的に行動できるかが結構大事だよな、と感じていたところ丁度そんなテーマの本が信頼できる筋から出ていたので読んだ本。
飛び抜けて優秀なメンバーが集まっている必要はなくて、チームメンバーがいかにエンパワーされているかが大事、そのためにはこんなコーチングをしていきましょう、みたいな本で、良いチームの作り方はもちろんプロダクトマネージャーの責任範囲の無限さも知れて、働き方にもいい影響を与えてくれた本でした。
社でも機能開発チームからエンパワーされたチームになろうといろいろ動いているところだったので、そういったとこでも参考になった本でした。
今年は仕事関連の本ばかり読んでしまったので、来年はもう少し関係ないジャンルの本を読みたい。
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