なんでもない日がいい
秋風がくすんだ教室に、ふたりの影が映っていた。
『あなた、いつも一緒にいてくれるの?』
女子高校の卒業したばかりの女子高生・音が、そう尋ねると、そばにいた男子のラグビー選手・翔は、ため息をついて答えた。
「うん。いつも一緒にいるよ」
そう言うと、翔は音の手を取り、柔らかく握ってくれた。
音はその手を胸に押し付けると、おどおどと照れながら、いつもの笑顔になった。
ふたりは、偶然の猫が繋いだ仲だった。
偶然にも、音が自宅で飼っていた猫が外に出ていってしまい、翔が住むアパートの近く