人生で最も読んだ本


何か書き出す時に、「本の感想を云々」と薄い字で毎回出てきますね。
以前書いたように、山ほど本は読んだものの、何も身に付かなかった、と身も蓋もない話をしましたから、さて、何を書いたら良いものか…そこで、お奨めやガイドなどは出来ないので、自分の「記憶」だけを頼りに書いてみます。
レース活動中、ろくに結果を出せず怪我と予選落ちを繰り返し苦悩していたので(笑)、かなりライディング関係の本を買って読み漁りました。まさに「溺れるものは藁をも掴む」で、必死に浮上するきっかけを捜しましたね。

そんな中、何度も何度も読み返した本が1冊だけありました。元世界GPライダー、福田照男氏が執筆した本です。

当時、引退されて間もない時期からバイク雑誌に積極的に自身のライディング方法を実践&活字で掲載して、にわかに話題になりつつあった頃ですね。
この後、ライディングビデオやレース雑誌の連載、世界GP中継の解説と、最も人気のあるジャーナリストとなりました。

自分がこの本に惹かれた理由は
・当時日本人で誰よりも世界GPチャンピオンになる可能性が高かった。
・ライディング理論が、当時の最大の主流である「ダートトラックレース上がりのアメリカ人ライダーが席巻している」走り方を元にしている事。
・日本人やヨーロッパのライダーが苦戦しているライディングとは明らかに異なる事。

この時は既にダートトラックレースを経験していたので、自分の中の「ライディング回路」が継がりやすく、とっても腑に落ちました。

内容は、レースへのアプローチの仕方や、メンタルの重要性、そして実際の技術解説。
この合間に、恐らくかなり吟味したであろう素晴らしいクオリティーのGPトップライダーの写真が使われていたり、イメージを掴みやすい工夫がそこかしこに散りばめられていて、飽きる事なく読み返せました。

実際にレーシングスクールで御本人からアドバイスを頂いたりもしたのですが、僕は先述したように大失敗して終わりました。

時は流れ、現在は世界GPからMotoGPと名称が変わり、バイク自体も「世界で数人しか乗りこなせない」マシンではなく、「本当の全開での限界走行でなければ誰でも乗れる」特性に、ライダーもヨーロッパ勢が上位を独占しています。規制されてはいるものの、電子制御でライディングアシストは雲泥の差です。

そもそも、世界GPはヨーロッパがメインに進めてきた歴史であるので、またアメリカ人が活躍するようなバイクやルールには決してしないであろうと思います。

なので、福田さんが提唱された「アメリカンライディング」をマスターして体制を整えればGPで戦える状況とは、残念ながらならないだろうと思います。

時代を問わず基礎として通用するような、入門編とは異なる高度な内容なので、「永遠のバイブル」と言う訳にはいきませんね…
それでも、歴史的な名著であると言う事は出来ます。
何か、良い位置付けが見つかれば良いと思う、「最も読んだ本」の話でした。

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