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「なんで?なんで?星人」の女子高生。

2001年9月11日、同時多発テロが発生。
2003年3月、アメリカがイラクを攻撃。いわゆるイラク戦争だ。

同時多発テロのとき、わたしは中学2年生。
お風呂上りだったか、寝る前だったか、リビングで両親と一緒にいる時間に、テロ直後のニュースを観た記憶がある。
両親は事の重大さが分かっていたようだが、中学2年生のわたしにはイマイチ、ピンときていなかった。

高校に上がる前の3月、イラク戦争が起こった。
こちらの方が、わたしの関心を引いた。
ニュースでしか情報を得ることはなかったが、
「地球の裏側で、今、戦争してる。今、人々が戦争で死んでいる。」と思った。



高校生になったわたしは、中学生のときから聞いていた洋楽にさらにのめり込み、若気の至りもあって、パンクロックを好んで聞いていた。

2004年、パンクロックの大御所green dayが、
アルバム「American Idiot」をリリース。

アルバム全体が交響曲のようにストーリー仕立てになっていて、
全編にわたって、イラク戦争と当時のブッシュ大統領を痛烈に非難する内容だった。

そんなアルバム、何度も聴いた。
何度も聴いたのは、反戦の歌詞に共鳴したから、という理由ではなく、パンクロックのキャッチーで駆けぬけるような爽快な旋律が10代のわたしの耳にフィットしたから、という単純な理由からではあるが、
断片的に理解できる歌詞から、イラク戦争とブッシュ大統領をおもいっきり皮肉っているなぁという印象は受けた。

高校1年生のとき、英語の教科担任だったK先生。
(小学6年生のときのエピソードを書いた記事で担任だったK先生とは、まったく別人)

わたしの両親と同世代で、やはり洋楽から英語の世界に入っていった先生。
英語の授業でも、堅苦しくないエンターテインメントネタで私たち生徒を楽しませ、とても人気のある先生だった。
ちなみに、以前書いたこちらの記事で、自分のお気に入りの1曲を英語でスピーチする課題を出したのもこの先生。

クリスマスも近づいたある日、ある動画を観るため、視聴覚室で授業がおこなわれた。
そこで先生が観せてくれたのは、

John Lennon「HAPPY XMAS (WAR IS OVER)」

言わずもがな、ジョン・レノンの平和を歌う代表作。
だが、このとき観たのは、ジョンやオノ・ヨーコたちが歌うミュージックビデオではなかった。

第二次世界大戦、ベトナム戦争、イラク戦争…
様々な戦争での衝撃的な映像が曲に合わせて編集されまとめられている動画だった。

今、「johnlennon」公式チャンネルでアップされているが、「この動画は、一部のユーザーに適さない可能性があります」という表示が出て、「理解したう上で観る」という確認ボタンがある。

イラク戦争などで犠牲になった人々。
亡くなった家族のそばで泣きわめく人々。
ぐったりした我が子を、呆然と抱く男性。
死者。負傷者。逃げる人々。荒廃した街。兵士。一般市民。
原爆被害者の一場面もある。

まったく見れたものではない、というほどではないが、
目をそむけたくなるギリギリのラインの映像が続く。

まさに、「心に訴える」ミュージックビデオである。

こんな凄惨な現場が…今、この地球上にある。
「なんで?なんで?」

まるで、「なんでなんで星人」の我が子(5歳と4歳)のようだ。

平凡な公立学校での教育しか受けてない、
行動範囲はまだ岐阜の一部だけだった
井の中の蛙の16歳女子高生にとっては、わからないことが多すぎた。

エンターテイナーたちは、
「この戦争はおかしい」と声を上げている。
わたしも、多くの一般市民も「おかしい」と思っている。

でも、

なんで、戦争は始まってしまうのだろう?
なんで、戦争という殺人行為が、肯定されてしまうのだろう?

しかも、2つの悲惨な世界大戦を経験している現代において。
「人の命を奪うことはいけないよ」って、小さな子どもでもわかっている、そんな初歩的なことを、大人たちはなんで忘れてしまうのだろう…?

地方都市の一角で暮らす、無知で無力な女子高生が抱いた
どうしようもない、だけど、漠然とした「なんで?」。

エンターテインメントの世界から受けたこれらの衝撃は、
その当時はまったく無意識のうちだったが、
わたしの「興味関心」にしっかりとプログラミングされたようだった。


・祖父たちの戦争体験や人生
・わたしがこのテーマに至るまでのライフストーリー
・戦争体験継承活動
について、記録や思考整理を目的にした記事です。自分が語り継ぐ活動をしていく上でのネタ帳ですが、情報発信も兼ねて投稿します。
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