全て足りなかった

啜り泣く音も歓声も演者の言葉ですら全て記号のようにただそこにあるだけのものに思えた

視覚と心が連動していなかった

もっと意志を燃やさないと、思考を爆発させないと、と
ステージを傍観している自分に焦っていた
傍観していないと立っていられなかったのかもしれない

あの時あの会場に存在していた全てのものに本来のキャパシティを遥かに超えた魂が宿っていた

怖かった

自分にはこんな空気を作ることは出来ないと
負け惜しむなんて柄じゃないと
あの場の一部始終を全て目撃してもなお強がる自分が痛々しくて
傍観している私の心にすらあの人の言霊が侵入して内側から震わせる狂気が止まなくて

1日経った今ですら余韻が鳴り止まない

オーラなんて言葉では薄すぎて表現するための言葉すら存在しない
唯一無二の神と宣う器を完全に有して使いこなすあの姿を

直視するには全てが足りなかった

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