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皐月メイクライ
サトノフラッグが笑顔でゴールテープを切った。そして、ダーリントンホールがその後ろで優しく微笑む。
コントレイルは明らか妨害され、悔し涙を浮かべながら中山を後にした。
そんな夢を見た。前回は武さんが泣いている夢。
俺には特殊能力がある。G1がある日の前日は必ず夢を見る。そして競馬の神が俺に何かを告げるのだ。
今回の夢は明白だった。前回は武さんの涙を嬉し涙か悲し涙か見極めることができなかった俺の実力不足だが、今回は違う!
コントレイルは来ない…!
しめしめ、サトノフラッグからの馬連で俺の勝ちだ。微笑みながら俺のニート友達とzoom競馬をする。
ヴェルトライゼンデが来る!と汚い口で喚きながら、騒ぎ立てるデブ。
マイラプソディが熱い。とボソッと呟いたのは、日本語もよくわかっていない外国人留学生。
もう1人のニートも何かほざいていたのだが、あまりにも的外れな見解だったため覚えてもいない。
一方、俺はサトノフラッグからサリオス、ダーリントンなど有力な馬を流し、完璧な布陣。
哀れなニート共を横目に笑いをこらえる。
だ…駄目だ。まだこらえるんだ…。しかし…。
まるで夜神月のように勝利を確信していた。
そしてレースは始まった。もちろん夢の通りコントレイルは進路を妨害される。そしてサトノフラッグとサリオス、ダーリントンホールは前の方で順調にレースを進める。
何もかもが思い通り。やはり俺は競馬の神に愛されている。
かわいそうなコントレイル。仕方がなしに大外ぶんまわしで最終コーナーを曲がる。これじゃあ前には届かねぇよ。
順調にサトノフラッグとサリオスが前に出る。
勝機!
今日の夜飯はウーバーイーツでくら寿司だ、わっほーい!
そのときちらりと後方に目をやった。
なんとコントレイルがサトノフラッグと並んでいた。
そして目にをも追えぬスピードでサトノフラッグを抜かし、ついでといわんばかりにサリオスも抜いていった。
…サトノフラッグの…霊圧が…消えた?
その瞬間、俺のMONEYの霊圧も消えた。
今月の収入は無い。先週も負け、今週も負け。俺のネット銀行は赤い数字で埋め尽くされている。
競馬は二度とやらない。やってもサトノフラッグには賭けない。コントレイルの単勝に五万賭けます。さようなら。