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まだ見ぬベナンの風の色

これまではずっと都心部のコトヌーばかりを訪れていましたが
今回初めて農村部のドボ(Dogbo)という場所に訪れました。

コトヌーから車で西へ3時間。
これまで私が全く見たことがなかったベナンの姿でした。

赤土が広がる道をバイクで抜けると
ちらほらと家が見えてきて、
外国人が来た物珍しさに子ども達が集まってきます。
はじめて出会う私たちを、村の人たちは
「遠くからよく来たね」
と快く出迎えてくれました。

この日はイベントもあって人がたくさん

今回、ベナンにやってきた目的のひとつは
1月10日の「死者の日」という
ブードゥー教のお祭りを見に来ることでした。


ブードーゥーの神様、ザンベト。動きます。

ベナンにはブードゥー教という土着宗教があり、
一言でいってしまえば、すごくスピチュアルな宗教で
神様が人に降りてきたり、
ものを瞬間移動させたり、
憎い相手に呪いをかけたりすることもあります。

今回は、地域で毎週行なわれる儀式をお見せいただきました。

毎週日曜に開催されるセレモニー

ブードゥの神様が人に降りてきて、踊り狂う姿、
鳴り響く太鼓の音に感じたのは「凄まじさ」でした。

一部、動物を屠殺し、生の肉をそのまま食べたり、血を飲んだり
目を覆いたくなるシーンもあるのですが、
これがここの文化であることをただ受け止めるばかりでした。

白い服の「シェフ」は村の中で1番偉い人



無心になって踊る少女たちを見て、
なんとも言葉にできない強さや美しさを感じました。
何のぶれや迷いもなく、
彼女たちが自分をまっすぐ生きている姿を
目の当たりにしたような感覚です。

神様が降りた後の人たちは服を着替え、顔が白くなる。

今回のベナン滞在をコーディネートしてくれていた
日本に8年滞在経験のあるボナ(Bona)は
生まれがこの村で、この文化の中で育ってきました。
日本語が流暢なので、他のベナン人とは違う日本の感覚で
親しみのある人なのですが、
彼の故郷の村の人たちと一緒に踊っている姿は、
今までに見たことのない活き活きとしている姿でした。

左手オレンジのTシャツがボナ。楽しそう!


人がそれぞれ持っている自分の文化がどれほどに大切なのか
エネルギーを与えてくれて、尊いものなのかを教わったようでした。

初めての村の滞在。
水を得るにも小学校の上級生が1時間歩いて
井土に汲みに行く場所。
親を無くした子どもたちが、親戚に引き取られて
小さなキッチンで過ごすような暮らしの中に
子どもたちの活き活きとした無邪気な姿があって
助けあって暮らす人たちの姿がありました。

地域の学校へ
家の中を見せて頂く。キッチンで4人で過ごすそう。

「アフリカは発展途上国で支援が必要」
とよく言われることもあれば

「アフリカの人たちはみんな笑顔で楽しそう」
と聞くこともよくあります。

私はこのどちらにも違和感を感じます。

「経済の発展か心の豊かさか」
というような、よその誰かの基準で切り取った
表面的な二択の選択肢ではなく
ましてや旅行者の私たちが彼らの幸せを
ジャッジするようなことでは一切なく
ただここに彼らの文化があって、暮らしがあって
出会った彼らの生活を尊重し、幸せを願い、繋がり続けたい。

写真を撮られるのが大好き

初めて見た村の景色、出会った人たちのお陰で
また一層にベナンが愛しく、大好きな場所になりました。

ドボには、日本滞在歴8年、関西弁がペラペラのボナと
元協力隊で現地の雇用支援をしている
NGO・Salu Totaを立ち上げ活動をするのようこさんの
Ekeご夫婦が暮らしています。
かわいい2人の子どもたちと共に。

Ekeご夫婦と一緒に

ベナンに行った際には、コトヌーから足を伸ばして
ぜひドボに立ち寄ってください。
ご家族、そして村の人たちがきっと温かく歓迎をしてくれます。

最後まで読んでくださった方へ
私の異文化理解のバイブル
ディズニー映画「ポカホンタス」の
“Color of the Wind”
が大好きで、ドボの滞在はまさに
この音楽の世界に自分がいたかのような感覚でした。


イギリスからアメリカ大陸にやってきた青年が
ポカホンタスが語るネイティブアメリカンの文化、信仰に触れるうちに
心が動かされていく、そんな物語です。
それぞれの土地が持つ文化の美しさを教えてくれる音楽なので
ぜひ一度聞いてみてください。


最後になりましたが、
世界の見え方がまた変わる
そんな貴重な経験を頂きました。
Ekeご夫婦、ドボのみなさん
本当にありがとうございました。



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