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効果音備忘録ーOscillatorの使い方ー

こんにちは!学部4年の穴村です。学部3年の一年間がすっぽり抜けてしまったので未だに自己紹介やプリントに記入する際に「3年」と口や手を滑らせております。

はじめに

前回予告した通り、今回は本格的にSynth1でのOscillatorsの使い方について紹介します。倍音と音高・音程の説明に時間を使いすぎてしまいました。それではさっさと本題に移ります。

Synth1でのOscillatorsの使い方

基本波形の選択

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この波形を簡略化した記号をクリックすることで波形を選択します。Synth1では3つの波形を混ぜることができます。厳密に言うと、サブオシレーターはオシレーター1と混ぜて使用し、更にその混ぜたものにオシレーター2を混ぜるという手順になります。サイン波はオシレーター1とサブオシレーターにのみ用意されており、その分オシレーター2のみノイズ音が選択できる仕様になっています。それぞれの記号は波形の見た目を表しており、オシレーター2の右下にある記号はノイズを表している。

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このつまみはオシレーター1, 2, subのいずれかでパルス波を選択した際に効果を発揮します。基本波形を紹介した時にもさらっと説明はしましたが、右いっぱいに回すと50:50の矩形波となり、左にひねるにつれて比率が変化していきます。

音程調節

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・det (デチューン)
 あえてジャストチューニング(後程説明します)でなく音高を少し上下させた音を出力させることで少し音に広がりを持たせるものです。オシレーター1にのみ作用します。

・FM
 Frequency Modulationの略で周波数変調を行うつまみです。Synth1ではオシレーター2で選択した波形を人にはビブラート(細かく音高を上下に揺らすこと)だとわからないくらい高速でビブラートをかけてオシレーター1に混ぜる処理を行います。そのため、これはオシレーター1にのみ有効。ここの値を変化させることで金属音や機械音(ex:ベル)を生成することができる。

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・pitch(ピッチ)
 これはオシレーター2の音高を変化させるつまみで、半音単位で調整ができます。ちょうど1オクターブ音高がずれるごとに左上のランプが点灯します。5オクターブ下から5オクターブ上まで設定可能。楽曲制作中、ハモリを入れたいときにとても便利な機能です。

・fine(ファイン)
 このつまみもpitch同様にオシレーター2の音高を変化させるつまみで、cent単位で調整できます。1centは半音を100分割したうちの一つ分を指します。人間の耳には聞き分けることは難しいレベルでの違いですが、あえてオシレーター1と異なるチューニングで同時に再生することで単音ではなくなるため、音の厚みや広がりがでます。synth1では-62cent~61centの範囲で設定可能です。

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・oct
 サブオシレーターにのみ用意されているこのボタンはサブオシレーターがオシレーター1の音高で音を出力するのか、1オクターブ下で出力するのかを決めるボタンです。0octが同じ高さ、-1octが1オクターブ下の高さの音を出力します。

モジュレーションエンベロープ

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・m.env
 これを押して左のランプを点灯させるとモジュレーションエンベロープが起動します。モジュレーションエンベロープとは時間経過によって音を変化させる機能の事で、synth1のオシレーターに用意されているモジュレーションエンベロープではオシレーター2のピッチ、FM、p/wの3項目のうちどれか一つを変化対象に選ぶことができる。ここではADSRのうちAとDのみ設定ができ、変化の度合いも決めることができます。(ADSRについては次回のAmplifier編で詳しく説明します)

・A, D, amt
 ここのつまみで打鍵中(鍵盤を押している間、もしくは自分で打ち込んだ音が鳴っている間)、どのようにピッチ、FM、p/wを変化させるのかを決めます。Aはアタックで音を鳴らし始めてから一番変化が大きい点に到達するまでの時間を表していて、このつまみをゼロにすると鳴らし始めから最大に変化した状態から鳴りはじめます。Dはディケイで一番変化が大きい点に到達してから元の音(変化前の音)に戻るまでの時間を表している。このつまみをゼロにするとAで指定した時間が経過して最大に変化した直後に元の音に戻るような動きになります。amtはアマウントで、Aで決めた時間が経過した時点での変化量を決めます。右にひねるほど変化が大きくなります。

・dest.
 ここを押すことでモジュレーションエンベロープの変化対象を変更できます。その隣にあるosc2、FM、p/wを直接押しても変更可能です。ランプが点灯しているものが変化対象です。

全体の調整

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・key shift
 一番上の“00”と表記されているパネルで打鍵した音と出力する音との音程を決めます。0の場合は入力した音高をそのまま出力します。楽曲制作中に後から調(≒楽曲の主音)を変更したくなった時などに有効です。

・mix
 ここでオシレーター1と2の音量バランスを決めます。12時方向にあるとき、50:50で、左にひねるとオシレーター1が、右にひねるとオシレーター2が大きくなります。

・p/w
 ここは波形のときに説明しましたが、パルス波の幅の比率を決めるつまみです。右いっぱいに回したときに50:50となり、左にひねるほど比率が偏っていきます。

・phase
 音にうねりを加えるエフェクトの一種で、いわゆる「空間系」に分類されます。原音とユニゾン音の位相を同期させるものです。これを設定することで発音のタイミングによって音のニュアンスが変化することを防ぎます。左いっぱいに回すとオフになりますが、値が小さければ小さいほどより詰まったような尖ったような音になります。

・tune(チューン)
 チューンもファインと同じようにcent単位でピッチが変化します。これはオシレーター1も2も変化させるので厚みを持たせる効果はありません。音全体をわざとジャストチューニングからずらしたいときに使用します。

リングモジュレーションとオシレーターシンク

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・ring
 これはリングモジュレーションといって、オシレーター2にしかない機能です。オシレーター1と2の周波数を足したものとオシレーター1の周波数からオシレーター2の周波数を引いたものを同時に出力して金属のような音にするものです。簡単に言えば、周波数の和と差の音を同時に出力する機能です。オシレーター2のピッチをいじると音の変化が面白いので是非やってみてください。

・sync
 これはオシレーターシンクといって、これもオシレーター2にしかない機能です。オシレーター1に無理やりオシレーター2を同期させるもので、モジュレーションエンベロープ(オシレーター2のピッチが変化対象)と一緒に使うといわゆる「シンクサウンド」が出力される。ここに関しては習うより慣れよの感があるので、実際に音を出力してみて聞いてみるのが一番良いと思います。

トラッキング

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・track
 これもまたオシレーター2にしかない機能です。トラッキングは打鍵した音をそのまま出力するかどうかの設定で、基本的にランプは点灯状態にして使用する。このボタンを押してランプを切るとどの音を入力しても一様に「ラ(A)」の音しか鳴らなくなります。私はまだ一度も使用したことがありません。

ジャストチューニング

 今回何度も「ジャストチューニング」という表現が出てきました。吹奏楽器経験者や弦楽器経験者はこのワードはむしろ耳にタコができるほど聞きなじみのあるワードだと思います。音というのはドレミのように言葉で指すことができる音だけではありません。むしろ先に様々な音高を持つ音の中から楽譜を作成する都合上人間が勝手に音を等間隔に分割してちょうど分割点に名前を付けただけなのです。「ド」と「ド#」の間は半音の差があります。しかしこの間にも中途半端な音高を持つ音があります。ギターやベースの弦を弾きながらフレットを抑える指をスライドさせるとなめらかに音高が上がったり下がったりするのは聞いたことがありますでしょうか。この時に中途半端な音高を持つ音が沢山鳴らされているのです。聞いたことがない人は「ギター スライド」で検索して出てきた動画から適当なものを視聴してみてください。
 このように音には私たちがよく知るドレミ以外に言葉では表現することができない中途半端な音高を持つ音が存在することが分かったところでジャストチューニングの話をします。字面の如く、「ちょうどの音高」を示します。つまり、私たちがよく知るドレミにちょうど該当する音高を持つ音を示しているのです。例えば、「ド」のジャストチューニングが指すのは「ドから1cent低い音」でも「ドから2cent高い音」でもなく、「ちょうどド」であることです。
 余談ですが、このジャストチューニングというのはなかなか難しいもので、ほんの少しの気温の上下や楽器の変形、奏者の姿勢によってチューニングが変わってしまいます。時間がある方はスマホなどにチューニングアプリをダウンロードして声をある一定のチューニングにぴったり合わせることを試してみるといかに合わせることが難しいかを理解できるかと思います。

まとめ

 今回はOscillatorsの使い方を説明しました。この項目だけでも十分に音を作りこめるので、それぞれの機能をよく理解しておくといいかなと思います。こういった仕組みなどを紹介する記事を読んで理詰めでやり方を覚えるよりは参考程度に読んだらあとは実際に手を動かすことが一番だと思うので、ぜひ沢山試してみてください。あと、音楽用語系の説明を前回から行っていますが、アマチュア音楽経験者が経験で身に着けた程度の知識でお話している内容になるので、詳しく知りたい人はその手の専門家の記事を参考にされるとより理解しやすいと思います。次回はAmplifierの使い方を説明します。

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