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効果音備忘録ー基本波形とはー

どうもお久しぶりです。noteを更新しないうちに学部4年になってしまった穴村です。オンライン授業をしている間にあっという間に一年が過ぎてしまって、若干浦島太郎状態を味わっております。
そんなことはどうでもよくて、まず始めに謝罪です。
学部3年の一年間で、学部2年の間に学んだ効果音制作についてを記事にまとめるつもりでいたのですが、新しい勉強を始めてしまったがために更新が遅れてしまいました。大変申し訳ありませんでした。
今回からは毎週金曜日に更新をしていきたいと考えております。
(宣言することで己を追い込む作戦)
現在、原稿はvol.7まで完成しているので向こう2か月くらいは少なくとも締め切りに間に合うようにできればいいなと考えております。
さて、最初の導入はここまでにして、そろそろ本題に入りたいと思います

はじめに

前回の記事が記憶に残っている方は少ないと思いますが、「次回(今回)以降からは実際にSynth1を使ってシンセサイザーの使い方、音作りの仕方について説明していきます。」という宣伝で締めくくられておりました。(私も記憶が抜けていたので読み返しました)
というわけで、今回からはようやく作業に入っていきます。おそらく皆様も知りたい内容になるかと思いますので、なるべくかみ砕いた表現で分かりやすい記事になるよう努力いたします。それでは始めていきましょう!

Oscillatorとは

今回扱うのはSynth1で左上に配置されている、「Oscillators」という項目でまとめられている部分です。以下、オシレーターと表記いたします。

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オシレーターには一番大きな役割として、「波形を決める」というものがあります。ここで波形を選択し、音色の大まかな雰囲気を決めることができます。波形が変わるとかなり音色が変わるので、かなり重要な役割を担います。

基本波形

Synth1には5種類(6種類)の基本波形があります。以下でそれぞれの特徴を紹介します。

サイン波

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この波形は倍音を含まない一番シンプルな音を出力することができる波形です。近頃大学ではやりませんが、聴力検査のときに使用される音はサイン波で生成されたものです。電子音であるにもかかわらず、優しく丸い音が生成できることが特徴。この特徴を活かして、ベルのような柔らかい音を作ることができる。基本的には単独で使用されることは少なく、別の波形と混ぜることが多いです。ノイズ波形を混ぜて打楽器系の音の再現に使用することもあります。

三角波

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この波形はサイン波の次に倍音が少ない波形です。波形の形から見て取れるように、サイン波よりは少しくっきりとした音色になるものの、優しく柔らかい印象を持つ音が生成されます。高音の優しく少しはっきりした音色を持つ楽器を再現することに長けていて、オカリナやフルート等の模倣に使用されます。一方で低音域ではゲームミュージックと呼ばれるジャンルのベースラインで使用されることもあります。サイン波と同じく、打楽器の音の再現も可能です。

ノコギリ波(鋸歯状波)

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この波形は、基本波形の中でも一番倍音を多く持つ波形で、一番汎用性の高い波形です。「ベーッ」と表現されるようなつぶれた音を出すことが最大の特徴。聴いた瞬間におそらく大半の人はゲームミュージックに使えそうだなという印象を受けるかと思います。そんな特徴に反し、ピアノのような柔らかい印象を与える楽器の模倣も可能とする波形です。ノコギリ波、侮るべからず。そして余談ですが、ノコギリ波には上にあるグラフと同じような形(上昇していって一定の値を超えるとゼロに戻る)を持つ上昇型と左右を鏡映しにした形(最大値から始まり、ゼロになるまで下降すると最大値に戻る)を持つ下降型の2種類がありますが、Synth1では下降型が採用されています。とは言っても正直な話、聴覚上の違いはほとんど見受けられません。(私も聴き比べて見ましたが、わかりませんでした)ちなみにメジャーなのは上昇型です。

パルス波

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パルス波とは、パルス幅の比率(上のグラフで言うと縦軸が1のときと0のときの横軸の長さの比のことで、この場合は25:75)が50:50になっているもの以外の方形波を指します。「方形波=パルス波」と表記されることがありますが、厳密に言うと「方形波=パルス波+矩形波」が正解。Synth1では一括して方形波という扱いになっており、「p/w」と書かれたつまみでパルス幅の比率を決めます。右いっぱいに回したときに矩形波となり、左にひねるほど比率が変化していきます。波形は繰り返されるので、25:75のときと75:25のときは同じ波形を示す為、右いっぱいが50:50という扱いになっています。

矩形波

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一つ前で紹介があったように、矩形波は方形波の中でも特にパルス幅の比率が50:50になっている波形を指します。最初に基本波形は5種類(6種類)と紹介したのは、パルス波と矩形波はパルス幅の比率が異なるだけでほとんど同じ波形だからです。とはいえパルス幅の比率を変えるだけでも大分音色が変わるので実際にいじってみて試してみてください。矩形波の音色だけ紹介すると、いわゆるピコピコ音と呼ばれる音に近い音色を生成します。ファミリーコンピューターでは三角波か方形波(パルス波+矩形波)しか使用できないため、ゲームミュージックの印象がついたとも言えます。そして、特に矩形波は奇数倍音のみを含むという特徴があり、ピコピコしたゲームサウンドとは打って変わってクラリネットやオルガンといったクリーミーな音色を持つ楽器を模倣するのに適している波形です。

ノイズ

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この波形は一概に「こう!」という決まった周期・形を持たず、ランダムに生成されます。音は文字通り砂嵐と同時に流されるようなノイズ音となります。手拍子やスネア等、ノイズを含む打楽器や環境音を作るのに適しています。単体で使うこともありますが、他の波形と混ぜて使うことが多いです。

倍音とは

さっきから基本波形の紹介をしている間に「倍音」という単語が頻繁に登場しましたので後から付け足しでご説明いたします。

波

このような図は見たことありませんか?これは私がペイントで1分もかからずに作り上げたものなので細かい調整は行っていませんが、物理や理科の授業の時にこれに似た図を扱うことがあったと思います。これが倍音の正体で、一番上のものを中心(基音)に見た場合、真ん中のものと一番下のものが倍音に当たります。弦楽器をイメージしていただくとわかりやすいかと思うのですが、振動する弦が短いほど高い音が鳴ります。つまり、倍音は基音よりも高い音になります。簡単に言えば、1つの音を鳴らしたときに別の音もおまけのように聞こえる現象があり、そのおまけの音の事を倍音という。ということなのです。
ここからは少し専門用語を交えた話になるので知りたい人のみ目を通してください。詳しく倍音についてご説明します。倍音が現れる順番は、弦の長さを1/2、1/3、1/4…というように短くしたときに発生する音高に依存します。

倍音

例えば、基音が「ド」であった場合、一つ目の倍音は1オクターブ上の「ド」であり、二つ目の倍音はその更に一つ上の「ソ」になります。そして三つ目の倍音は2オクターブ上の「ド」であり、四つ目の倍音はその更に一つ上の「ミ」になります。ここでコードやピアノ等の音楽経験がある人にはピンとくる響きである、「ドミソ(Cコード)」が出そろいます。このCコードのおさまりがいいのは、ドの音から発生する倍音で既に「ミ」も「ソ」も鳴らされているからなのです。
ここからは体験例になりますが、吹奏楽で部員全員で全く同じ音程になるように吹いた際に、かすかに1オクターブ上の音が聴こえました。当時の顧問の先生はこれが倍音だという説明をされました。倍音の音はどんどん小さくなっていくのも特徴で、4つ以上にもなってくるとほとんど聞こえません。(これが著者の耳が悪いせいだとしたらすみません。)

音程と音高

これは雑談になりますが、一応音声研究室に所属する学生の端くれではあるので、この二つのワードの違いははっきりさせておこうと思います。歌を歌ったり、楽器を演奏したりしたときに、間違えた音を出してしまったという際に一般的には「音程を外した」という表現が使われることが多いのですが、実はその使い方は間違っています。音程と音高というのは成績評価の際に使用する、相対評価と絶対評価のような違いがあります。音程というのはとある音の高さを基準としたときの差分を表すもので、音高はその対象となる音の持つ音の高さを指すものです。例えば、テストで80点を取得した時に偏差値が56だったとしましょう。テストの点数そのものを表す80点という数値が音で言う「音高」です。そして、同時にテストを受験した人たちの点数を集約し、自分が全体の中でどれほど高い点数を持っているのかを表す偏差値56という値が音で言う「音程」を指すのです。簡単に言えば、比較対象がなくとも不変である高さそのものを示すのが「音高」、比較対象を並べて音の高さがどう変化しているのかを示すのが「音程」というわけです。そのため、カラオケなどで音を正しい高さから外れてしまった時に使う言葉は「音高を外した」という表現となるのです。まぁ、日常生活で「音高」という言葉は浸透していないわけで、正しい意味ではないけれど言いたいことは伝わってしまうため、今日まで「音高」が持つ意味を「音程」が一緒くたに担ってきてしまったのです。こんな仰々しく書いていますが、私も正しい意味を知っていながらカラオケで音を外した際には「音程を外した」という表現をつい使ってしまいます。音関係の論文などには正しい意味の言葉で表記されるので、そういう類の文章を読んだり書いたりするときにここで呼んだ知識を思い出してもらえれば問題ないかと思います。

まとめ

今回はオシレーターで指定する基本波形の特徴の紹介と倍音、音高・音程の説明をしました。正直な話、吹奏楽時代に倍音がどうとかの話は知っていたのですが、かなり難しい概念で当時の私もかなり苦戦しながら理解した部分なので、説明は大分ごちゃごちゃしてしまったような気がします。ただ、「へー、そういう特徴が音にはあるんだなぁ」くらいの認識さえあれば効果音を作る程度では困らないと思いますので、もっとちゃんと知りたい人はその手の専門家のブログやnoteを参考にしなさってください。次回は今回紹介しきれなかった、実際にSynth1でオシレーターをいじる方法についてをやります。用語説明に時間をかけすぎました。それではまた来週!

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