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【QuestNotes】TCG風対戦ミニゲーム「MOON TO MOON」開発室

「MOON TO MOON」をボードマスターが開発するにあたっての、ゲームデザインの意図・理由などについて掲載しています。ゲームの詳細については、ルールブックをご確認ください。



はじめに

「MOON TO MOON」のボードマスター(Nightmare)がどのような意図でゲームデザインを行っているのか、という開発・運営に纏わる雑多な裏事情を羅列しています。

ルールに関わる内容ではないため、知らなくてもゲームを楽しむことに何ら支障はなく、特にMTMを始めたばかりのプレイヤーは後回しにして良いものです。基本的な遊び方を理解した中級者以上のMTMプレイヤーで、より解像度を高める情報に興味のある方に向けて執筆しています。

また、これらの情報はPLだけでなく、PCが理解している「設定」という形で扱っても良いものとします。これはメタ情報ではないかと感じられるかもしれませんが、カードが作られイベントも開催されている以上、そこに魔道具職人達の意図があるのはまず確実であり、それらの情報が共有されていたとしてもおかしくはありません。その場合は、ロールプレイに登場しないボードマスターの存在に触れないよう扱っていただけますと幸いです。


デュエル

  • 「MOON TO MOON」というタイトルは、異なる宇宙・世界に住まう文明同士が何らかの理由で遭遇・対立し、例えば先攻のプレイヤーから侵略を始める、というような物語から発想されたものです。よって、MTMのデュエルは局所的な戦闘ではなく、より壮大な戦争を思い描きながら作られています。

  • 3列のチップは、最終的な勝利のために支配が必要不可欠な領地・区域を示し、各プレイヤーはユニットを配置することでこれを手に入れます。長期的にチップを掌握し続けることで戦局が優位に傾き、ライフの減少という形で対戦相手へ被害を与えます。それぞれのチップは実際の見た目以上に離れた「別の場所」ですが、RANG3~6のユニットはその中心には踏み込まずに攻撃を仕掛けることが可能です。

  • 一方で、プレイヤー自身の立ち位置には特別な意味を持たせていません。それでも強いて役割を見出すなら、運命そのものを導く別次元の「神」に近い何かです。ユニット達からすれば、それこそ盤面のように世界を見下ろしている、根本的な上位の存在なのかもしれません。


デッキカラー

全てのデッキには、デザインのテンプレートとなるデッキカラーが定められています。デッキカラーは基本となる赤・青・黒・緑の4色に、例外的な立ち位置である無色エクスマキナを加えた全6種類です。カードのステータスや効果はそれぞれのデッキカラーの方針に従い、可能な限り逸脱しないようデザインされます。

デッキカラーの関係

さらに、青と赤、黒と緑はそれぞれ対(つい)の関係にあり、度々お互いの存在を意識したデザインがなされています。また、無色とエクスマキナには対が存在しません。

対の関係は、敵でもあり友でもあります。単に相反するという意味だけではなく、双方の弱点を補い助け合える性質を持っている場合もあり、一口には言い表せないような複雑な利害と感情を内包しています。少なくとも、相手について他の誰よりも詳しいということは間違いありません。

ただし、デッキカラーに与えられた性格は絶対に守らなければならないものではなく、必要に応じて稀に逸脱したり、全体のバランスを見て部分的に変更される可能性があります。その上で、崩さずに維持できる場合はその方が良い、としています。

赤(ラファーンレッド)の傾向

  • 感情的な火の印象を軸とするデッキカラーです。その日の気分や思い付きに任せ、後先のことはあまり考えずに行動します。少なくないカードがラファーン火山を由来とし、無形・悪魔などが主力です。

  • 平均レベルが低い軽量級です。

  • レベル1ユニットを好み、レベル4ユニットを嫌います。高いATKと低いHPが特徴です。レベルが低めで倒されやすい分、マナの回復は早めです。

  • スペルは1枚で、レベル1~2を使用します。レベル1ユニットを好むため、詠唱は比較的狙いやすいと言えます。

  • 能力のバリエーションは平均的で、バーン・追加の召喚・マナコストの踏み倒し・マナデスなどを得意とします。HPダメージ・範囲攻撃も使用します。あまり使いたがりませんが、稀にATKマイナスも取り入れます。

  • 青とは対の関係です。高いATKに対抗してくる敵であり、低いHPを補ってくれる友でもあります。赤は度々、頑固で理性的な青を粉々に打ち砕く方法を考えます。また、黒緑の対と比較すると赤青の対は両者共に極端な思想を持ち、敵味方に関係なく過激なやり取りになりがちです。

青(ニメリーブルー)の傾向

  • 理性的な水の印象を軸とするデッキカラーです。将来を見据えて丁寧に布石を打ち、計画的に行動します。少なくないカードがニメリー湿地帯を由来とし、水棲・無形などが主力です。

  • 平均レベルがやや高いですが、基本的には中量級です。

  • レベル2ユニットを好み、レベル1ユニットを嫌います。高いHPと低いATKが特徴です。レベルが高めで倒れにくい分、マナの回復は遅めです。

  • スペルは2枚で、レベル1~2を使用します。レベル1ユニットを嫌うため、詠唱はやや狙い難いと言えます。

  • 能力のバリエーションが多く、キャントリップ・永続効果・デッキアウト・マナドレイン・ドローソース・詠唱禁止などを得意とします。ATKマイナス・回避も使用します。

  • 赤とは対の関係です。高いHPに対抗してくる敵であり、低いATKを補ってくれる友でもあります。青は度々、自由で感情的な赤を抑圧し黙らせる方法を考えます。また、黒緑の対と比較すると赤青の対はお互いに極端な思想を持ち、敵味方に関係なく過激なやり取りになりがちです。

黒(オービアブラック)の傾向

  • 死と堕落の印象を軸とするデッキカラーです。目的のためには手段を選ばず行動し、躊躇いなく危険な橋を渡ろうとします。少なくないカードがオービアの森を由来とし、不死・人などが主力です。

  • 平均レベルがやや低いですが、基本的には中量級です。

  • ユニットは1~2のローレベルが中心で、レベル3を使いませんが、本人に好き嫌いの意識はありません。マナレシオはステータスだけ見れば優秀ですが、制約やコストを要求します。マナの回復は平均的です。

  • スペルは1枚で、レベル1を使用します。平均的です。

  • 能力のバリエーションは平均的ながら強力で、HPダメージ・墓地利用・ハンデスなどを得意とします。範囲攻撃も使用します。あまり使いたがりませんが、稀に回避も取り入れます。ただし、ライフコスト・召喚制限・デッキコスト・生贄などの重いリスクを抱えます。

  • 緑とは対の関係です。優れたマナレシオに対抗してくる敵であり、リスクの重さを補ってくれる友でもあります。黒は度々、力に頼って慢心しがちな緑を罠に陥れる方法を考えます。また、赤青の対と比較すると黒緑の対はお互いを表裏の存在と認めており、心の奥底では強く意識しつつも態度はどこか落ち着いています。

緑(シソイドグリーン)の傾向

  • 命と繁栄の印象を軸とするデッキカラーです。変わった行動は起こさずに真っ直ぐ歩き、単純な力押しで目的を成し遂げます。少なくないカードがシソイド洞窟群を由来とし、人・植物などが主力です。

  • 平均レベルが高い重量級です。

  • レベル3ユニットを好みますが、嫌いなレベルはありません。バニラユニットをやや多く採用します。固有の能力を除けば、ステータスやマナの回復は平均的です。

  • スペルを使用しません。一度追い詰められると逆転がやや困難です。

  • 能力のバリエーションは少なく、マナ加速・アクション不可・攻撃強制などを得意とします。

  • 黒とは対の関係です。幅広いユニット層に対抗してくる敵であり、能力の単調さを補ってくれる友でもあります。緑は度々、狡賢い技ばかりで臆病な黒を真っ向勝負で斬る方法を考えます。また、赤青の対と比較すると黒緑の対はお互いを表裏の存在と認めており、心の奥底では強く意識しつつも態度はどこか落ち着いています。

無色(カラレス)の傾向

  • 【スターター】など、いずれのデッキカラーにも該当せず、なおかつエクスマキナでないデッキが該当します。

  • 軽量級に寄っていますが、あらゆるレベルに関心があります。

  • ユニットは強いて言えば1~2のローレベルに寄っていますが、特にこだわりはありません。バニラユニットを多く採用します。ステータスやマナの回復は平均的です。

  • スペルは1枚で、レベル1を使用します。平均的です。

  • 能力のバリエーションは平均的で、ライフゲイン・HPパンプアップなどを得意とします。特定のステータスを持つユニットに対してのみ有効な能力なども好みますが、基本的にはあらゆる能力に関心があります。

  • 対の関係を持たずに中立を保ちます。エクスマキナと比べると社交的で、どのデッキカラーに対しても可能な範囲で協力を試みます。

エクスマキナの傾向

  • エクスマキナを採用するデッキのみが該当します。

  • 平均レベル0で、それ以外のあらゆるデッキに無関心です。

  • レベル0でないあらゆるユニットを嫌います。全てのユニットがエクスマキナで統一されています。固有の能力を除けばステータスが貧弱で非常に倒されやすく、マナの回復は早めです。

  • スペルは1枚で、レベル0を使用します。手札にさえあるなら、ほとんどタイミングを問わずいつでも詠唱できます。

  • エクスマキナのパンプアップに特化した能力を使用し、それ以外のあらゆる能力に無関心です。

  • 対の関係を持たずに中立を保ちます。無色と比べると排他的で、どのデッキカラーとも対話せずに無視を貫きます。


伝説のユニット

  • 【堕落の騎士マルゴ】のように、ユニットの名前がそのまま使用されているデッキが存在しますが、開発室はこれらのユニットを「伝説のユニット」と呼んでいます。

  • 伝説のユニットとそのデッキは、赤・青・黒・緑・無色いずれかのテンプレートをベースとしつつ、少しのアレンジを加えるような形でデザインされています。このため、特に平均レベルや固有の能力などについては、従来のデッキカラーの傾向と必ずしも一致しない場合があります。このほか、伝説のユニットでの採用をきっかけに、ベースのデッキカラーへ傾向が逆輸入・後付けされることもあります。


ゲーム展開の方針

  • 開発室は、チェックメイトまでの道筋を真面目かつ丁寧に積み上げたプレイヤーに勝って欲しいと考えています。このため、極端な逆転要素を実装することに対して否定的です。その一方で、ある程度の逆転要素がなければゲームとして面白くないことも承知しており、僅差を逆転させるカードについてはやや肯定的です。この役割は、特にオーラとスペルに対して担わせています。

  • 開発室は、投了による決着を可能な範囲で推奨したいと考えています。MTMはデュエルにやや時間がかかり、大差から逆転する方法も限られているというのが主な理由です。ただし、誤解なきよう説明しますが、絶対に投了しなければならないということはありません。最後のあがき自体がロールプレイであるとか、負ける前提でカードの挙動を実験しているなどの可能性もありますし、そもそもチェックメイトであることに直前まで気付けなかっただけかもしれません。投了を催促するのはそれこそマナー違反になりますので、絶対に止めましょう。


能力の方針

開発室は、QuestNotesの仕様に由来する技術的な問題、またはゲーム性の問題から、以下の能力及びカードを原則作らないものと定めています。

  • 選択肢:全体イベントによって対戦相手が操作できてしまうため、並びにゲーム内容の複雑化を防ぐため、手札・墓地・山札などから対象を選択したり、複数種類の効果から任意に1つを選んで実行するカードは実装されません。ただし、プレイヤーが対象を選択することができない場合はこの限りではありません。

  • 手札コスト:使う予定だったカードが効果によって手札から失われ、アクションを決定していたにも関わらず不成立となってしまう現象を防ぐため、自身の手札を減らすカードは実装されません。手札操作は、対戦相手に対するハンデス、またはピーピング(手札公開)などに限定します。

  • リアニメイト、またはサルベージ:技術的な敷居の高さ、並びにゲーム内容の複雑化を防ぐため、墓地のカードをチップ・手札・山札などに戻す効果は実装されません。ただし、墓地の枚数のみを参照する場合はこの限りではありません。

  • バウンス:技術的な敷居の高さ、並びにゲーム内容の複雑化を防ぐため、チップに置かれたユニットを手札・山札などに戻す効果は実装されません。除去はあくまでもHPダメージによるものを中心とします。

  • 新しいカードタイプ:コンストラクテッド(構築戦、通常のレギュレーション)で使用可能なカードタイプは、ユニット・スペル・プレイヤー・オーラの4種類です。ゲーム内容の複雑化を防ぐため、これ以上増えることはありません。なお、ユニットトークンはルール上カードではないため、ここには数えないものとします。

  • インスタント・タイミング:ゲーム内容の複雑化を防ぐため、対戦相手のターン中にリアクションとして手札から使用可能なカードは実装されません。それぞれのプレイヤーが支配する時間を遵守します。


シークレットカードの方針

  • 開発室は、一部のプレイヤーだけが使用できるシークレットカードについて、魅力的な側面を認めつつも公平でないと考えています。このため、シークレットカードは現在実装されているものを最後に、これ以上の追加はしないものと定めています。

  • 開発室は、既にシークレットコードを所持しているプレイヤーに対して、ロールプレイの展開や人間関係などの様子を見つつ、必要に応じて未所持のプレイヤーにも配ることを推奨しています。ただし、あくまでも必要に応じての推奨であり、判断基準は全てプレイヤーに委ねられます。


イベント運営の方針

  • 開発室は、今後も定期的にデュエルトーナメントを開催し、MTMを盛り上げていきたいと考えています。また、各プレイヤーの使用デッキや戦績などの蓄積されたデータを参考に、ゲームバランスの調整を実施します。

  • 開発室は、純粋な勝敗のみを競うデュエルトーナメントだけでない、カジュアルプレイヤーが楽しめるイベントを構想しています。ただし、アップデートとデュエルトーナメントの用意だけでも忙しい現段階で開催するには、提出されたクエストログのチェックや集計作業を行うスタッフの存在が必須であり、残念ながら難しい状況にあります。カジュアルイベントについて興味のある方は、"目隠しの魔女"またはボードマスターまで問い合わせください。

  • 開発室は、有志のプレイヤーが開催する非公式イベントを応援しています。日程の合うものであれば必要に応じてお手伝いもできますので、お気軽にご相談ください。


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